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黒耀石研究センター

長野県広原遺跡群発掘調査2013(第3次調査)が実施されました

2013年06月17日
明治大学 研究・知財戦略機構

長野県広原遺跡群発掘調査2013(第3次調査)が実施されました

 長野県長和町に所在する広原遺跡群の第3次調査は,2013年4月27日~5月12日にかけて実施されました。第3次調査は,広原第II遺跡の第2調査区(EA-2)の発掘調査と広原I遺跡,II遺跡の地質ボーリング調査でした。
 
 広原II遺跡の遺物を包む層(暫定的に土層名を冠し文化層と仮称)
1.第2a・2b文化層:縄文時代早期前半の押形文土器群,鍬形鏃・穀磨石・礫器。土坑が検出されました.
2.第3文化層:漆黒の黒曜石製の打面調整石刃とスクレイパー(杉久保系と推定)を含む石器群,
3.第4a文化層:黒曜石集石1(及び3)に伴う基部・二側縁・部分加工ナイフ形石器,台形様石器,ノッチ,平坦打面厚手石刃を含む石器群(長和町追分IV文化層,関東V~IV下層初頭に相応します).姶良Tn(あいらたんざわ)火山灰は、4a層下半部(試料No.25)に最も厚く分布しています。
4.第4b文化層:黒曜石集石2に伴う透閃石岩製の局部磨製石斧,平坦打面薄手石刃を指標とする石器群(関東IX層上部~VII層下部段階).5層以下は無遺物層です.

 特に注目されるのは,4b文化層から出土した局部磨製石斧です.これは、後期旧石器時代前半期前葉(約40,000-約35,000較正年前)の指標石器です。局部磨製石斧は、長野県内では野尻湖遺跡群で多数出土していますが、標高1400mの中部高地の黒曜石原産地発見されたのは、今回が初めてです。

※以下に,発掘調査の様子を撮影した写真を掲載いたします。