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黒曜石試料の国際標準化

黒曜石試料の国際標準化

 明治大学黒耀石研究センターでは、黒曜石試料の国際標準化プロジェクトを推進しています。黒曜石遺物の非破壊化学分析、さらに、黒曜石遺物の化学分析値の共有化と検証の為には、黒曜石の標準試料が世界共通で、共有されることが必要不可欠です。2011年度に黒耀石研究センターが開催した黒曜石の化学分析に関する国際ワークショップでは、北海道の黒曜石原産地巡検を実施し、参加者である国内外の研究者で露頭・産状を確認後、黒曜石試料(4種)の採取と分配を行いました。試料はそれぞれの研究室で、蛍光X線分析(XRF)、電子線分析(EPMA、SEM-EDS)、プラズマ分析(ICP-MS)、放射化分析(INAA)されますし、明治大学黒耀石研究センターは、波長分散型蛍光X線分析装置を用いた化学分析を実施します。そこで各研究所で得られた試料の岩石記載、化学分析値の取りまとめを当センターで行いました。

Yoshimitsu, S. et.al. 2018 Inter-laboratory validation of the WDXRF, EDXRF, ICP–MS, NAA and PGAA analytical techniques and geochemical characterisation of obsidian sources in northeast Hokkaido Island, Japan
Journal of Archaeological Science: Reports 17, 379-392.

 次に、明治大学黒耀石研究センターは、黒曜石標準試料を用いた黒曜石遺物の非破壊化学分析法の開発、化学分析値に基づく黒曜石遺物の産地解析のプロトコルの整備を目指しています。「化学分析」と「産地解析」を切り離すことにより、化学分析値と公表値を用い、誰もが客観的に遺物試料の産地解析を実施・検証できるものと期待されます。さらに、レーザー気化導入型ICP質量分析計(LA-ICPMS)など最先端の機器による分析をおこない、黒曜石にまつわる分析化学・岩石学・考古学を横断した学際研究を推進します。