Go Forward

総合数理学部

【総合数理学部】宮下芳明教授がEC2026で一般セッション優秀賞を受賞

2026年09月14日
明治大学 総合数理学部

登壇発表風景1登壇発表風景1

登壇発表風景2登壇発表風景2

登壇発表風景3登壇発表風景3

表彰状表彰状

2026年9月1日〜9月3日に京都産業大学で開催されたエンタテインメントコンピューティング2026(EC2026)において、総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 宮下芳明教授の「味覚メディアのための味物質ワンソース発酵」が、一般セッション優秀賞を受賞しました。本シンポジウムにおける一般セッションは、口頭発表後にデモポスター発表も実施する形式であり、この賞はその一般セッションに投稿された研究の中で優れた研究に授与されます。

宮下教授はこれまで、基本五味の溶液を混合して任意の味を再現する「味のプリンタ」の研究を進め、香料や増粘剤、ビタミン・ミネラル溶液を加えることで、香り・食感・栄養へと対象を広げてきました。しかし装置の構造がプリンタである以上、「インクが切れたらどうするか」という課題は残ります。本研究はこの問いに対し、味物質そのものを「育てる」というアプローチを提示したものです。

具体的には、デンプンとタンパク質を併せ持つひよこ豆を単一の原料(ワンソース)とし、発酵や焙煎などによって四つの味を作り分けます。米麹のアミラーゼでデンプンを糖化して甘味を、その甘味液を乳酸菌で発酵させて酸味を、大豆麹のプロテアーゼでタンパク質を分解して旨味を、焙煎と水出しで苦味を得ます。麹菌も乳酸菌もひよこ豆を餌に育つため、追加の資源をほとんど必要としません。育てることのできない塩味は備蓄で賄いますが、100年分でも一辺47センチの立方体に収まると試算されています。試作では、甘味液がBrix37.1、酸味液がpH3.51、旨味液がグルタミン酸2880mg/Lを示し、混合すると梅干し、コーヒーゼリー、甘酒、味噌のような味が現れました。

本研究は、昨年のEC2025で一般セッション優秀賞を受賞した「味覚・嗅覚・栄養のメディア化による食の再構築」で構想された、食材そのものを自給する「究極の調味家電」の原理を検証したものと位置づけられます。植物(今回はひよこ豆)は、水と空気と光で自らタンパク質や炭水化物を生成する装置の一部ととらえられるからです。宮下教授は「味も香りも食感も栄養もある多様な食べ物を、空気からつくりたい」という展望を述べ、100年間毎日贅沢な食事を味わうために必要な元素はわずか22種類、その99.6%は酸素・水素・炭素・窒素であることを示して、食の材料は地球上のどこにも等しく存在すると発表を締めくくりました。