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植村直己の精神を伝える 2011日本冒険フォーラム いまこそ、冒険文化を伝える

パネルディスカッションの様子 第10回植村冒険賞を受賞した永瀬忠志氏(右)が、サハラ砂漠の砂上をリヤカーで横断した際に使用した、埋もれたタイヤを引くための道具を紹介

明治大学は創立130周年記念イベントとして5月15日、兵庫県豊岡市が主催する「2011日本冒険セミナー 冒険の伝説—こんな日本人がいた そして 今もいる」を駿河台キャンパス・アカデミーホールで開催した。植村氏の功績を後世に伝えようとファンや登山家など約1,000人が参加した。

このイベントは、本学OBで国民栄誉賞を受賞した植村直己氏(1964年農卒・1941—84年)の出身地である兵庫県豊岡市が、1996年に創設した「植村直己冒険賞」が、今年で15年目を迎えたのを機に企画された。

フォーラムでは、山岳部OBで植村氏と同期の廣江研氏(1964年経営卒)が「我が友、どんぐりは生きている」と題した講演を行い、植村氏との学生時代の思い出を交えながら「人に見えないところで努力を重ねてきた人、嫌なことでも自ら率先して行動でき、常に向上心をもっていた。彼の人柄もあったからこそ多くの人に支えられてきたのだと思う」と紹介した。

つづいて、日本トレッキング協会理事で女優の市毛良枝氏、天野和明氏(登山家・2001年法卒)、松原英俊氏(鷹匠)らによるパネルディスカッションが行なわれ、冒険の魅力についてユーモアを交えたトークで会場を盛り上げた。

このイベントは、明治大学創立130周年記念事業の共催イベントとして開催されており、明治大学代表としてあいさつした日髙憲三経営企画常勤理事は、「植村直己さんは、いかにも明治大学らしい自分を持った人。本学はこれからも『前へ!』の精神で、社会に貢献できる人材を育成していきたい」と述べた。

最後に、東日本大震災を受け、『いのち』について深く考えることの重要性、復興に立ち向かう全ての人びとに対するメッセージとして、日本の冒険文化を考える「冒険・チャレンジ提言書」が宣言され、中貝宗治豊岡市長が「ぜひこのイベントを継続していきたい」とあいさつして閉会した。

若い世代の冒険心を失わないように、未知の世界へ挑戦することのスピリットを未来に繋げていくために、我々が、いま何ができるかを大学や自治体そして市民がともに考え、連携して取り組むことが求められる。