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大船渡で復興ボランティア実習 いのちの再生力について学ぶ

国際的な災害復興支援ボランティアAll Handsのメンバーと 道路側溝の土砂の除去作業の後、自分たちの手で復興を進められる実感があって嬉しい

文学部の平山満紀ゼミナ—ル(臨床社会学コース3年生)はテーマを「震災と復興の臨床社会学的研究」として 開講し、8月と9月にはゼミの実習として正味3日ずつ岩手県大船渡市の復興ボランティアに参加した。同市ボランティアセンターを通して、道路側溝の土砂の 除去作業、避難所から仮設住宅への引っ越しの手伝い、瓦礫の中から見つかった写真の洗浄、個人宅の床下の清掃など、炎天下や雨の中、全国から集まったボラ ンティアと力を合わせて作業した。9月の実習では、国際的な災害復興支援ボランティア団体All Handsに加わって、外国からはるばる来た方達と共同で作業も行った。

さらに今回の実習では、明治大学震災復興支援センター『浦安ボランティア活動拠点』のオープニングにも携わっていただいた大船渡市議会議員の佐藤寧氏の ご協力により、被災者のお話を聴く会を催すことができた。避難所を自主運営したリーダーの方達、天井近くまで水が入った部屋で奇跡的に助かった方。そのリ アルなお話から、非常時の人間心理や行動、人間の力を引き出す組織のあり方、復興における国・県・市と個人の関係など、多くの知恵や考えるべき課題を学生 達は得ることができた。

All Handsへの参加も、学生たちにとって驚きと感動の連続だった。メンバーは100人近くで、津波のニュースを聞いて、日本国内はもとより欧米など世界各 地から飛んできてハードな復興作業に従事している。苦しんでいる人達のために自分の力を使いたいという純粋な思い、その思いをためらわずに行動に移す力、 互いを思いやる暖かい心に至る所で触れられた。こういう外国人たちと一緒に行う作業は、非常に仕事の質が高く、喜びに満ちた楽しいものだった。異文化に触 れ、学生たちには貴重な種が蒔かれた。

これからも平山ゼミでは、そのつどの復興に現場で携わりながら、学生も教員もいのちの再生力について深く学んでいきたいと考えている。

持続的・長期的な復興支援にむけて

大船渡市は、三陸の海の幸を集める漁港としても、豪快な奇岩など名所の多い観光地としても知られる海と山に 擁された街だ。しかし津波で港町はほぼ壊滅し、地盤沈下して繁華街跡は海水に浸されている。復興の道のりは遠そうだ。死者・行方不明者は市内で450人以 上を数える。

明治大学では7月27日、復興支援ボランティア活動を助成する制度ができた。学生のボランティア活動に伴う交通費および宿泊費の一部を助成し、意欲ある 学生の経済的負担を軽減し、ボランティア活動が継続的に行われるよう後押しする制度だ。今回のゼミ実習でも大変助かった。

9月の実習では、「被災地でボランティアをしたいけれど、つてや情報が無く相談した」という他学部生3人も同行した。明大生の中には、気持ちはあるけれど踏み出しにくい人たちはまだまだいるだろうと思う。

そこで平山ゼミでは、持続的・長期的な復興支援のために、大船渡への交通手段や宿泊などについて情報発信を手掛けていく。

まずは、平山ゼミおよび大船渡の情報についてのお問い合せをメールで受け付けている。

hirayamazemi2011@gmail.com

(平山満紀・文学部准教授)