Go Forward

食と農のシンポジウム「今こそ前へ! 震災復興と農村再生へ向けて」

約500人が来場した「食と農」シンポジウム 「震災を機に、価値観の多様化を」と語る福島県飯舘村の菅野典雄村長

明治大学と、JAグループなどでつくる「食と農の研究ネット」は2012年12月8日、食と農の未来を考えるシンポジウム「今こそ前へ! 震災復興と農村再生へ向けて」を駿河台キャンパスで開催。東日本大震災で多大な被害を受けた福島県飯舘村の菅野典雄村長の基調講演をはじめ、震災ボランティア学生報告や、著名人らをパネリストに迎えてのパネルディスカッションなどが行われ、約500人が来場した。

「農村再生から震災復興へ ~飯舘村の経験を世界へ」をテーマに講演した菅野村長は、震災に伴う原発事故の影響で、今なお全村民が避難生活を余儀なくされている現状などを訴えた。その上で「効率やスピード、お金を優先した価値観が進んだ結果、今があるのではないか。それらも大事だが、もっと多様な価値観を考えねばならない時代に来ている」と問題提起し、地産地消や心の豊かさなど、新たな価値観を大切にする同町独自の取り組み「までい(真手)ライフ」を紹介。「“ないものねだり”をやめて、“あるものさがし”をしていきましょう」と呼びかけた。

続いて、岩手県出身の学生らで構成する震災復興支援団体「地域支縁団体ARCH」代表、佐藤柊平さん(農学部3年)が、震災ボランティア活動について報告。「元に戻すことが復興ではなく、農村再生など地域課題を解決することも含めて復興。できれば卒業後、岩手に戻って復興に関わりたい」と締めくくった。

「震災復興から農業・農村再生を考える」と題したパネルディスカッションには、菅野村長のほか、JA岩手県中央会常務理事の畠山房郎氏、日本サブウェイ株式会社の伊藤彰代表取締役社長(明治大学OB)、タレントの松尾貴史氏、大東めぐみ氏、小田切徳美農学部教授がパネリストとして参加。小田切教授の司会のもと、震災復興における「食と農」の役割などについて活発な意見交換を行った。

大東氏は「若い人には、日本の食料自給率は低いということを理解した上で、もっと食や農への興味を持ってほしい。国には、若者の就労支援などにもっとお金を使ってほしい」と語った。