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博物館・商学研究科が特別講義を実施 百貨店の手工芸品販売戦略をテーマに

注目を集め教室が満席に

12月14日、リバティタワー1021教室において博物館と大学院商学研究科の共催、商学部の後援により、他専攻科・学部の院生・学生や一般社会人にも門戸を開いた特別講義が実施された。博物館は商学部教員と共同で、手工芸品産業の製造・流通・販売に関する調査・研究を進めており、その成果報告として特別講義を例年開催している。
1990年代初頭のバブル景気終了後、手工芸品産業は凋落傾向が顕著だったが、2000年代に入ってしばらくの後、従来とは違ったマーケティングの動向が見られるようになった。今回の講義は小売りの現場をテーマに百貨店の最新動向に注目、(株)松屋のリビング・呉服・美術部MD課長である秋山功一氏をゲストに招き、「手仕事新時代:百貨店における工芸品販売のリフレーミング」をタイトルとした。

講義では、松屋銀座が半世紀にわたるデザイン、クラフトという生活観の発信によって築いた基盤を背景に生まれた手工芸品販売イベント「銀座・手仕事直売所」が紹介され、質疑応答が行われた。「直売所」は、従来のモノ中心のテーマ設定を見直し、売り場で作り手が直に顧客に応対するという“売り方”をコンセプトとするリフレーミングが特徴となっている。単なるスペースの提供ではなく、百貨店がプロデュース役としてセレクトした作り手との双方向コミュニケーションによってイベントを企画・運営しているのが特徴で、直売にオンライン情報を組み合わせた新しい型の「作り手—使い手」の関係づくりや、生活観に基づいた商品のセレクトによるスタイルの提案という手法が印象的だった。

なお、この講義の抄録は『明治大学博物館研究報告』24号(2019年3月31日刊行予定)に収録される予定となっている。(博物館事務室)