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論壇 本学図書館の利用状況と課題 図書館長 南保 勝美

大学は、学部の種類、規模等に応じ、図書、学術雑誌、視聴覚資料その他の教育研究上必要な資料を、図書館を中心に系統的に備えるものとされ(大学設置基準38条1項)、図書館は、上記資料の収集、整理及び提供を行うほか、情報の処理及び提供のシステムを整備して学術情報の提供に努めるとともに、上記資料の提供に関し、他の大学の図書館等との協力に努めるもの(同条2項参照)とされている。このように、大学図書館は、必要な図書等の資料の収集・管理・組織化・提供を中心とした大学における教育研究の支援ばかりではなく、他の大学図書館との連携や社会連携の機能をも担っている。

現在の明治大学図書館は、4つのキャンパスにそれぞれ図書館施設があり、2017年度1年間の入館者延べ人数は160万人を超えている。2000年から開始した8大学での山手線沿線私立大学図書館コンソーシアムも20年目を迎え、他大学からの入館者数も2017年度には4千人を超えて、加盟大学中で本学図書館が一番利用されている(なお、図書館の現状、具体的数値・統計等は、図書館のwebサイトに掲載している図書館年次報告書を参照されたい)。また、ネットワークからデータベース・電子ジャーナル・電子ブック・リポジトリ(研究成果を電子的に収集・提供するシステム)を利用する者の数は、膨大である。こうした状況を踏まえて、利用サービスの一層の充実を図るべく、図書館一丸となってさらなる改善に取り組んでいるところである。

施設面では、中野キャンパスについて、第2期の整備計画との関連で、図書館の拡充やラーニング・コモンズ(学生の自主学習の支援を意図して設けられた場所や人的・物的環境)の設置など、中野図書館の機能を充実させるため、図書館としての意見が取り入れられるような体制作りを大学に要望している。開館して50年を経過し改修工事などで対応している生田図書館の改善・整備も大きな課題である。

機能面では、とくに、価格が高騰する電子ジャーナルへの対応が大きな課題となっている。これに対処するため、各学問分野の研究コミュニティや大学図書館界において学術論文のオープンアクセス化を推進するさまざまな活動が行われており、本学の機関リポジトリも一層充実させていくことが重要である。本年度の私立大学図書館協会東部の館長会でも、オープンアクセス化が取り上げられ、リポジトリ化の推進が議論された。オープンアクセス化が進めば、無償で学術論文を利用できる。引用数の増加も期待できる。本学においても、図書館からリポジトリ化を促進する「オープンアクセス方針」の策定を発信していきたい。

(法学部教授)