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東アジア出版人会議で土屋学長が基調講演

謡本を手に基調講演を行う土屋学長

6月27日から29日にかけて「東アジア出版人会議」が、駿河台キャンパス・アカデミーコモンを会場として行われた。これは、日本の出版人を発起人として2005年に発足した非営利の任意団体で、各国を持ち回りで会場として東アジアで共通するテーマや課題について議論を行うもの。このたび、2019年の会場として本学が選ばれ、会場を代表して土屋恵一郎学長が基調講演を行った。

「大学における読書と出版」をテーマに講演に立った土屋学長は、まず本学が2012年にリニューアルを行った和泉図書館について言及。本を集積し、貸し出すという機能以外に、カフェや談話スペースなど、人と人の間のコミュニケーションの媒介となるメディエーター(仲介者)の機能を持たせるというコンセプトがあったと述べた。

さらに、能の稽古で用いられる謡本を紹介。謡本には原作となる日本の和歌・漢詩、物語など古典文学が集積され、本でありながら、声を出して歌うなどコミュニケーションメディアとしての機能を担っていたと解説した。

これらを踏まえ、「読書」とは単なる知識の伝達のみならず、身体の行為であり、人間の関係の結び方であり、コミュニケーションツールとして形が変わっていくものだとした上で、一方で、14世紀からある謡本と大きく変わっていないと力説。これからの出版人は、本を巡るコミュニケーションの場を演出するデザイナーやコーディネーターとしての役割が求められるようになっていくと述べ、それを大学の変化にもつなげていきたいとまとめた。