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理工学研究科総合芸術系 シンポジウム「動物のいのち2」を開催

吹き矢を実演する人類学者の奥野教授(写真=篠田優)

ヒトは全面的に他の動物たちに依存しながら生きてきた。そのような私たちの生の条件を、人類学や文学、さまざまなジャンルの芸術から見直したらどうなるか。11月30日に明治大学中野キャンパスホールで開催されたシンポジウム「動物のいのち2」(理工学研究科総合芸術系主催)は、そういった問題意識に立つ多様な視点を提示した。

シンポジウムでは、舞踏家の今貂子氏、声のアーティストの山崎阿弥氏、立教大学異文化コミュニケーション学部の奥野克巳教授、理工学部の倉石信乃教授など14人のプレゼンテーションが行われた。遊牧民族の写真、吹き矢の実演、鵜匠の人生論、ペットの猫の生涯、和歌に描かれる鹿、福島の被災地に取り残された牛など、どれも強く引きつけられる話題ばかりで、100人を優に超える聴衆が4時間半に及ぶシンポジウムを堪能した。

今回のシンポジウムでは、特徴的な取り組みとして、パフォーマンスの発表が行われた。白塗りの体で生命の根源にふれる踊りを見せた今氏、およそ人間とは思えない声でホールを満たした山崎氏は、客席に深い衝撃を与えた。

今回は、すでに伝説となっている2014年のシンポジウム「動物のいのち」の続編。ヒトがよりよく生きようと思うなら、動物たちとの関係を問い直さずには済まされない。地球環境の激変を含め、課題は山積みだ。本シンポジウムの記録は、今春、文芸誌「すばる」に発表される予定。
(理工学部教授 管啓次郎)