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博物館・商学研究科 特別講義を開催 信楽焼商品開発の展開について



博物館は商学部教員と共同で、伝統的工芸品の製造・流通・販売に関する調査・研究を進めており、現在は滋賀県の信楽焼の研究に取り組んでいる。その成果報告として、2019年11月29日、リバティタワー1021教室において商学部の後援により、他研究科・学部の院生・学生や一般社会人にも門戸を開いた特別講義「進化する信楽焼の伝統—陶器の流通・販売についての多様な可能性—」を開催した。

NHK連続テレビ小説「スカーレット」が放映中ということで話題になっている信楽焼だが、初回となる本講義においては、信楽焼振興協議会の長谷川善文氏を招き、まずこれまで信楽焼がどのような商品を開発してきたか、歴史的な変遷について基調報告が行われた。

続くディスカッションでは消費地に対するPR戦略や訪問客の誘致、商品開発の動向や流通、後継者育成のあり方が話題となった。

主なトピックスは以下の通り。訪問客の誘致では、大阪・京都・兵庫南部からの自家用車による日帰りの入り込み客が多いことや京都観光の外国人の立ち寄りについて。商品開発では火鉢から植木鉢、屋外用インテリアへというように需要の変化への柔軟な適応ができてきたことや、テーブルウェアは後発ながら、若い人に訴求力のあるデザイナーとのコラボレーションなども試みられていることなどである。最後に、中間流通機構の弱体化による製造者と小売業者の直取引という全般の傾向に対し、産地卸売商が存在感を維持、その業態も産地での直売、陶芸体験、飲食店経営など多角的なものに進化していることなど、信楽焼ならではの興味深い動向が紹介された。

この講義の抄録は『明治大学博物館研究報告』25号(3月31日刊行予定)に収録される予定となっている。
(博物館事務室)