大阪・天王寺高校で特別授業を実施~7/27朝日新聞(大阪本社版)朝刊で掲載~
2021年07月27日
明治大学 広報課
文系クラス29名、理系クラス34名の生徒が受講した
技術の発展がもたらす格差社会への影響を説明する島田准教授
歌声加工のデモンストレーションを紹介する森勢准教授
生徒の動きや表情に応じながら、対面ならではのきめ細やかな授業が展開された
授業が終了して1時間以上、個別質問が絶えず続いた
大阪府立天王寺高等学校の生徒63名が6月16日、明治大学の教員による特別授業に参加しました。この取り組みは、最先端の研究と主体的に学ぶ重要性を高校生に伝え、進路選択や大学で学ぶ意義を考えてもらうことを目的に実施。
新型コロナウィルス禍であっても、生徒の学びを刺激する体験を止めてはいけないという高校・大学双方の考えが一致し、感染症対策を徹底した上で、対面での授業を行いました。
新型コロナウィルス禍であっても、生徒の学びを刺激する体験を止めてはいけないという高校・大学双方の考えが一致し、感染症対策を徹底した上で、対面での授業を行いました。
授業は文系クラスと理系クラスの2教室に分かれて開講。文系クラスでは情報コミュニケーション学部の島田剛准教授が、理系クラスでは総合数理学部先端メディアサイエンス学科の森勢将雅准教授が、それぞれ講師を務めました。
国際経済学が専門の島田准教授は「コーヒーカップの向こう側—グローバル化する世界と格差」と題した授業を展開。
コーヒーの生産国がなぜ貧しいのかを紹介したうえで、国連・JICAなどで20年以上途上国の援助に関わった自身の経験を交えながら、多面的に物事を考えることの重要性を伝えました。
そして最後に「もし世界が100人の村だったら、大学に通える人は1人しかいない。どこの大学に行くかも大切だが、得た知識や経験を生かして、どんな問題解決をするのかがより重要。皆さんの力を社会のために使って、フェアな社会をつくってほしい。」という激励のメッセージで授業が締め括られました。
音声解析を専門とする森勢准教授の授業テーマは「音声・歌声情報処理の現在と未来」。男性の声を言語情報はそのままに、声だけ女性に変える技術などを例に挙げ、歌声加工のデモンストレーションを紹介しながら、高品質音声分析合成について解説しました。
さらに、音声技術のツールや数学の関係についても説明。「今はあらゆるツールが公開されていて、自由に試せる時代。高校生だからといって臆することなく、音声を分析・加工してもらえると嬉しい。そして、さらに奥深く理解するには、数学的な知識が必要になる。楽しそうな研究をするには、基礎となる勉強が避けて通れないということを知ってもらえると嬉しい。」と生徒たちへメッセージを送りました。
参加した生徒たちからは、「フェアトレードについて、制度だけ整えば解決するわけではないと痛感した」、「途上国のアンフェアな経済体制の一部に自分も関わっていることが衝撃だったが、行動次第で解決しうる部分もあることに希望を感じ、課題解決に貢献したいと感じた」、「人間の声を人工的に作り出すという行為自体に興味がわいた」、「音は波形で分析するものだと思っていたので“ミックスジュース”に例えた考え方が新鮮だった」などの感想がありました。
講義終了後には生徒から、大学での学びや研究、進路に関する質問が多数寄せられ、有意義な機会となりました。
講義の採録は2021年7月27日(火)の朝日新聞大阪本社版朝刊で掲載されました。