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図1 再生可能エネルギーインスティテュートの研究分野

 地球温暖化対策の観点から長く期待されてきた再生可能エネルギーであるが、3・11の東日本大地震とそれに続く原発事故によって、ますます研究と実用化の加速が社会的要請としてクローズアップされています。再生可能エネルギーの創生はもちろん重要ですが、その貯蔵と有効利用も一体となって意識されるべき重要な課題です。本インスティテュートでは、これらの課題を一体として捉えて研究開発を進めることで、エネルギー革命に対する社会的な要請に応えることを目的としています。すなわち、本研究インスティテュートの研究対象は、「創エネ」「省エネ」「畜エネ」にバランスよく取り組むことにあります。(図1)

 再生可能エネルギーとその貯蔵および有効利用に関する研究は、今日的な中心課題のひとつとして世界中の研究者が鋭意取り組んでいます。再生可能エネルギーの中心となる太陽電池では、照射太陽光エネルギーを電力に変換する変換効率の向上と、発電コストの低減技術が、もっとも重要な研究課題です。我が国では、エネルギー先進国として持続的な経済成長を支え、次世代産業を育成する観点から、文部科学省(科学技術振興機構:JSTなどを含む)や経済産業省(新エネルギー・産業技術開発機構:NEDOなどを含む)が、多面的な観点から研究プロジェクトを実施しています。特に、オールジャパンで産官学の力を結集したコンソーシアム形式の研究組織と、研究拠点の形成が近年のプロジェクト運営の特徴です。

 現在進行中のNEDOプロジェクトでの本学の担当が、共通基盤評価技術であることに示されているように、本学が得意とするエレクトロニクス材料およびデバイスプロセスの評価を中心に研究拠点を形成し、オールジャパンのコンソーシアムに貢献しています。その成果はプロジェクトに参加する企業に還元されて、我が国の産業に貢献することが期待されています。同時に、積極的に国際学会、論文発表などで社会に発信しています。幸い本学ではこれらのプロジェクトを通して、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、物質・材料研究機構(NIMS)、神奈川県産業技術センター、フランフォーファー太陽エネルギーシステム研究所(ドイツ)などと共同研究を遂行し、特任教授、客員教授、招聘教授などの立場で著名な研究者を多数迎えている。本インスティテュートの発足に伴い、これらの研究成果を一元的に取り扱い、対外的なアピールにより効果を発揮すると期待しています。
 
 次に、本インスティテュートの研究内容を、「創エネ」「省エネ」「畜エネ」に分けて紹介します。