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令和6年1月15日 当院は、おかげさまで開院3周年を迎えました

こころの病気のお話

原因のわからない体の症状や、ふだんとは違う行動は、 

言葉にできない心のメッセージ。

私たちは、それに耳を傾けるところから始めます

第1回 子どもの精神科について

   最近は、「○○メンタルクリニック」「△△こころの診療所」などと書かれた看板を、街で見かけることが多くなりました。これらは精神科、心療内科を専門にする診療所ですね。なかには子どもを診る「児童精神科」も、チラホラって感じで増えてきています。
それでは、どんなときに子どもを精神科に連れて行ったらいいのか、みなさん、わかりますか?
 話が小児科ならそんなに難しくありませんよね。高い熱が出てなかなか下がらないとき、おなかをひどく痛がるとき、ひきつけを起こしたときなど、いろいろあるものの、経験に照らせばだいたいわかります。
 これが精神科となるとどうでしょう。なにが病気の症状なのか、どんなときに医者にみせたらいいのか、そこからしてよくわからないのではないでしょうか。
 心の病気の場合、病気の症状は体の不調として現れるもの(身体症状)と、ふだんと違う言動として現れるもの(精神症状)とがあります。両方が混在して見られることも少なくありません。
 身体に症状が出ているときは、順番からしてまず身体の病気を疑いますから、精神科より小児科です。そこで診察や検査をして、どうも身体の方じゃないようだぞとなると、精神科を紹介されるというのがおきまりのコースです。
 ふだんと違う言動が見られたときは、精神科の出番ですが、この場合は迷わずすぐに! というわけにもいかないでしょう。やはり、それなりの見極めが必要です。ポイントは、なにがどうして子どもがそうなっているのか、その見当がつくかつかないかにあります。
 一般的にいって、子どもには身のまわりに起こる出来事や自分の置かれた状況を理解する力が足りません。そのうえ、心の中を見つめて自分の感情の動きを把握する力もついていない。したがって、自分の体験を心の中で整理することや、感情を言葉にして人に伝えることがじゅうぶんにできません。
 ですから、子どもの心の問題は、言葉で語られるよりも、身体の病気やいつもと違う行動として表現されやすいのです。逆にいえば、子どもが見せる身体症状や問題行動は、かれらの言葉にならないメッセージだということです。
 私が「見当がつくかつかないか」といったのは、このメッセージを読み取れるかどうかという意味です。最近、しきりに目をパチパチするようになった、一日に何度も手を洗うようになった、元気がなくなって無口になった……。この子にいったい何があったのか、いろいろ考えてはみたがどうにも見当がつかない。そんなときに精神科にご相談ください、というわけです。
 子どもの精神科は、そのような形で「SOS!」を発している子どもの身になにが起きているかをつきとめ、余計な苦痛を取り除き成長を助けるためにはどうすべきかを、ご家族と一緒に考えるところ。私たちは、そんな考え方に基づいて、医師と心理師が手を組み肩を組み、みなさんのお役に立ちたいと思っています。