2021.1.15 OPEN♪

2021年1月15日(金) 開 院

こころの病気のお話

第3回 発達障害とは?
発達障害のおもなものには、次の4つがあります。
 
 ①自閉症スペクトラム障害(“Autism Spectrum Disorder”以下ASDと略す)
 ②注意欠如多動性障害("Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder" 以下ADHD)
 ③学習障害("Learning Disorder" 以下LD)
 ⓸知的障害
 
  これ以外にも発達障害に分類される○○障害はありますが、とりあえずこの4つを知っていれば大丈夫でしょう。
  それでは「発達障害」とは、そもそもどういうことをいうのか。おおざっぱにいえば、「知的能力やコミュニケーション能力がバランスよく育っていないために、社会がその年齢に期待することが上手にできない」ことです。これは、人生のかなり早い段階から始まり、その特徴ゆえに本人は生活上さまざまな面で不便や不自由を感じます。周囲の人々にも対応に苦慮する事態が生まれます。
  しかし、逆に言えば、発達障害の特徴を備えていても、本人がそのことでとくに苦痛を感じず周囲もそれを認めて受け容れることができていれば、「障害」として浮かび上がってくることはありません。もちろん、医者の診断も必要ありません。
  いま「上手にできない」と書きましたが、なにが上手にできないかはそれぞれの障害の特徴に応じて決まります。
 
 ①ASD:感情を読み取る力が足りないため人間関係を上手に作れない、集団になじめない。また、独特の強いこだわりがあるため       変化に弱く、上手に気持ちや行動を変えられない。
   ②ADHD:注意力が足りないため上手に集中できない、多動や強い衝動性のために上手に待てない、我慢ができない。
   ③LD:全体的な知能は平均範囲でも能力別には凸凹が目立ち、上手に読めない、書けない、計算ができない。
   ④知的障害:知能の発達がおしなべて滞るため、いろいろなことが上手にできない。
 
  これまた乱暴なまとめ方ですが、発達障害全般のイメージ、個々の障害の違いはつかんでいただけるかと思います。ここでいちいち「上手に」と入れているのは、上手にできなくても成長するうちにその人なりにできるようになる、みんながみんな上手にできなくてもいい、と言いたいからです。そもそも、なにからなにまで上手にできる人などいません。できないところはほかのところでカバーする、誰かがフォローする。そういう発想が大事です。また、できるできないを評価するのは他人であり社会です。場合によっては余計なお世話です。「障害」についても同じことが言えます。
 さて、発達障害のASDから話を進めましょう。ASDは発達障害の代表格である自閉症の大きなグループです。単に自閉症といわずに「スペクトラム」と付くのはなぜでしょう。
これは「連続体」という意味です。なにが連続かというと、たとえば赤い色が濃い赤から桃色に近い薄い赤まで連続しているように、同じASDでも特徴の「濃さ」が人によって違うということです。
 あるいは、裾野の広い山を思い浮かべ、ASDと診断された人々が特徴の濃い順に頂上から裾野の方へと分布している様子をイメージしてもらうといいかもしれません。障害としての重さ、すなわち生活の不自由度、支援の必要性は、頂上に近いほど高いということになります。そして、その裾野は診断を必要としないその他大勢の人たちのところにまで続いています。赤い色が限りなく白に近づいても真っ白にならないのと同じ話です。
  ASDの診断の根拠となるのは、上と別の言い方をすると、社会的コミュニケーションや対人関係にさまざま支障を生じること、言動や興味、関心に独特の強いこだわりが認められることという二大特徴です。これらの特徴がどれだけ濃く現れていて、どれだけ日々の生活の障害となっているかで、医者は診断を下すわけですが、それはもちろん数値や画像で示せるものではありません。ですから、当然、見る者、聞く者によって判断が違ってきます。先ほどの山のたとえでいうと、頂上付近の人ならともかく、裾野に行くほど診断が難しく、かつ医者によって意見が分かれることになります。なにしろ裾野まで地続きですから、ここからが「障害」とはっきりした境界線が引けるものでもないのです。
  ASDの「スペクトラム」という考え方は、じつはASDに限らず発達障害全般にあてはまります。ADHDでもLDでも、上手にできない「できなさ」には、人によって濃淡があります。それを考えれば当然ですね。そして、発達障害は互いに合併すること、特徴が重なり合うことも多くあります。だから、ADHDやLDと診断された人が、ASDの特徴を備えているということも珍しくありません。裏返せば、ADHDやLDにASDの特徴が被っていてもいいわけです。
  ここまで述べたような発達障害の基本的な考え方を知っておくと、たとえば、「発達障害のグレーゾーンって言われちゃったけど、障害なの?そうじゃないの?どっち?」とか「うちの子、ASDなの?ADHDなの?どっち?」とか、悩まずにすむのではないでしょうか。