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明治大学博物館友の会 行事予定
<第28回古代史講演会>(会場視聴のみ) 「黥面からみえてくる邪馬台国」
講師 設楽博己 氏(東京大学名誉教授)
倭人伝の黥面
3世紀の『魏志』倭人伝には、「男子は大小となく皆黥面文身す」という記述があります。「黥」は顔のイレズミです。倭人伝は地理、風俗、政治の3つの単元からなりますが、黥面文身の記述は風俗の筆頭に位置します。その理由は、『三国志』の編者である西晋の陳寿の使者が、倭人の風俗で一番驚いたのがイレズミだったからでしょう。なぜならば、彼ら漢人にはイレズミの習慣がなかったどころか、刑罰だったからです。
黥面埴輪の証明
古事記・日本書紀を読むと、黥面の記述が5か所あります。黥面がよくないイメージで語られているのは、中国の思想を受けてのことでしょう。古墳時代の黥面埴輪、つまり顔に線刻のある人物埴輪と記紀の内容をくらべると、その特徴がことごとく一致しています。古墳時代に黥面の習慣があったことがわかるとともに、そのころすでに黥面すなわちイレズミを、支配者が野蛮な習俗とみなしていたことがわかります。
古事記・日本書紀を読むと、黥面の記述が5か所あります。黥面がよくないイメージで語られているのは、中国の思想を受けてのことでしょう。古墳時代の黥面埴輪、つまり顔に線刻のある人物埴輪と記紀の内容をくらべると、その特徴がことごとく一致しています。古墳時代に黥面の習慣があったことがわかるとともに、そのころすでに黥面すなわちイレズミを、支配者が野蛮な習俗とみなしていたことがわかります。
型式学的な検討結果
倭人伝と同じ3世紀の土器や石棺の蓋などに、線刻のある人物の顔を描いた資料があります。その特徴が黥面埴輪のそれと一致しているので、型式学的な系統の連絡性があることからすれば、3世紀の顔面線刻もイレズミであるとみてよいでしょう。さらにそれは縄文時代晩期の土偶の顔に系統の追えることがわかりました。
黥面から邪馬台国が見える
縄文時代から古代までイレズミは一貫していたのですが、その意味は不変ではありません。縄文時代のイレズミは、抜歯の習俗からするとおそらく男女ともなされた共同体の掟だったのですが、弥生時代に男だけの習俗になります。おそらく戦士の間の部族同盟のような印になったのでしょう。3世紀の黥面絵画の分布から、吉備地方と濃尾地方という大勢力でその習慣を共有していますが、畿内地方はもはやそれを拒否しています。魏と冊封関係を結んだ倭国が、魏すなわち漢人の思想にならったからではないでしょうか。
【実施要項】
実施日 | 2025年6月24日(火) |
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時 間 | 14:00~15:30 (13:45より入場可) |
実施会場 | 明治大学駿河台キャンパスグローバルフロント3階4031教室 |
定 員 | 会場のみ申し込み先着順100名<zoomでの視聴はできません) |
参加費 |
無料(友の会会員限定)*但し 当日入会を希望される方は参加できます)
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申込方法 |
① メール meihakutomonokaig@gmail.com
② 往復はがき 〒101-8301 千代田区神田駿河台1-1 明治大学博物館友の会 あて
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申込期限 | 6月17日(土) *定員になり次第締め切ります |
《講師紹介》
経歴:国立歴史民俗博物館教授等を経て東大大学院教授、現在は東大名誉教授
著書:『弥生再葬墓と社会』(塙書房、2008年)、『縄文社会と弥生社会』(敬文舎、2014年)、
『弥生文化形成論』(塙書房、2017年)、『顔の考古学』(吉川弘文館、2021年)、
共著に北条芳隆編『考古学講義』(ちくま新書、2019年)他多数。
< 近世史講演会 (Zoomによる) > 「大阪・茨木のキリシタン遺物発見とかくれキリシタン『発見譚』」
講師 桑野 梓 氏 (なら歴史芸術文化村 学芸員(美術工芸))
実施日 | 2025年7月26日(土) |
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時 間 | 14:00~15:30(13:45より入場可能) |
実施会場 | Zoomによる視聴 |
定 員 | 先着順 90名(友の会会員限定。但し、この機会に入会される方は参加できます。) |
参加費 | 無料 |
申込方法 |
メールによる事前申し込みに限定されます。
申し込みをされた会員へは定員超過などの理由で参加をお断りする場合以外は連絡いたしません。
Zoom招待状、レジュメは開催の前日までに送信元のアドレスにお送りいたします。
申込みアドレス: meihakutomonokaig@gmail.com
件名に「近世史講演会参加」と明記し、本文に氏名、電話番号、会員番号を記載ください。
なお、一般の方は住所ならびに入会希望の旨も記載ください。年会費のお支払方法等を送信元のアドレスへ返信いたしますので、内容ご確認の上お手続きをお願いします。
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締切日 | 2025年7月18日(金) *定員になり次第締切りますのでお早めにお申し込みください。 |
【講演要旨】
キリシタンといえば、世界遺産である「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」を思い起こす方が多いと思います。ですが、畿内にもかつてキリシタンは数多く存在し、またその信仰を禁じられた後も、信仰や遺物を隠し続けた人びとがいました。
キリシタンといえば、世界遺産である「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」を思い起こす方が多いと思います。ですが、畿内にもかつてキリシタンは数多く存在し、またその信仰を禁じられた後も、信仰や遺物を隠し続けた人びとがいました。
「キリシタン遺物」と呼ばれる絵画や彫刻などの宗教遺物を守り伝えてきた人びとが暮らす大阪府茨木市は、北摂の山間部に位置し、北は京都府亀岡市と接している、のどかな緑の風景が広がる地域です。各旧家で「キリシタン遺物」が発見されたのは今から100年ほど前の大正時代です。遺物の点数の多さと、類まれなる美しさは、世界からも注目を集めました。遺物の中には、教科書でも見かける有名な「聖フランシスコ・ザビエル像」(現在は神戸市立博物館蔵)も含まれています。
本発表では、茨木のキリシタン遺物について、まずは発見の経緯と関わった人物について紹介します。また、キリシタン遺物を歴史的観点から統括的に捉えつつ、個々の作品の発見、撮影、売却、修復などの辿った歴史を追っていきたいと思います。
次に、かくれキリシタン発見のエピソードについて取り上げます。ここでは明治時代から大正時代にかけての、パリ外国宣教会の動向について触れていきます。キリシタン遺物発見の40年ほど前に、かくれキリシタンの存在を確認していたマラン・プレシ神父と、その後布教を試みたヨゼフ・ビロー神父についてお話します。
現在、茨木の千提寺、下音羽地区において、キリシタン信仰は失われています。キリシタン遺物や「発見譚」を通じて、茨木のキリシタンの実像を少しでも明らかにしたいと考えています。 (講師より)
【講師プロフィール】
なら歴史芸術文化村学芸員(専門は日本彫刻史)。
関西大学大学院文学研究科博士課程後期課程修了。博士(文学)。茨木市立文化財資料館学芸員を経て現職。
茨木市教育委員会発行『茨木のキリシタン遺物—信仰を捧げた人びと—』(2018年)を執筆。
論文に 「キリシタン遺物から見る大阪・北摂地域のキリスト教受容」(『季刊民族学』174号、2020年)、
「ザビエルは「はこ」に入るか—茨木市立キリシタン遺物史料館企画展の体験展示について—」
(『茨木市立文化財資料館館報』9号、2024年)など。
2025年度行事予定表
明治大学博物館友の会(2025年5月現在)
2025年 | 見学行事 | 講演会等企画 |
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4月 |
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5月 |
17(土)総会特別講演会 寺澤知子氏(神戸女子大学名誉教授)「4世紀の倭国-政権の動向と『記紀』伝承」
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6月 | 5(木) 《会員企画による東京近郊の遺跡 探訪》 縄文の漆の里「下宅部遺跡」に行ってみよう! |
24(火)第28回古代史講演会 設楽博己氏(東京大学名誉教授) 「黥面から見えてくる邪馬台国」 (H)
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7月 |
26(土)近世史講演会 桑野梓氏(なら歴史芸術文化村学芸員) 「大阪・茨木のキリシタン遺物発見とかくれキリシタン『発見譚』」 (Z)
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8月 | ||
9月 |
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日本考古学2025
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10月 |
世界史講演会
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11月 | (宿泊見学会) | |
12月 |
館長講演会Part2 石川幹人氏(明治大学 情報コミュニケーション学部教授) (対面)
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2025年
1月
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第29回古代史講演会(旧石器) (Z)
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2月 | 江戸時代を探訪するPart11 | |
3月 |
会員発表会&学芸員講演会
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4月 |
(2025年5月現在)
(注)講演会の日程・講師は予定のもので変更などもあり得ますので、ご了承願います。
Z:Zoom利用によるリモート講演会をいう。
H: 会場とZoom併用による講演会をいう。
H: 会場とZoom併用による講演会をいう。
ハイブリッド講演会(会場参加とオンライン併用)における申込方法および留意事項について |
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これまで、オンラインでの講演会には参加の叶わなかった会員の方々に、博物館教室での対面講演を実施する運びとなりました。この機会に是非博物館にもお越しくださいますよう心よりお待ち申し上げております。
申込方法:会場参加、オンライン参加のいずれかとし、事前申込みが必要です。
会場参加:普通はがきに限定、Fax不可。
※電子メールをお持ちの方もはがき申し込みとなります。
記載事項:住所、氏名、電話番号、会員番号(会員の方)、入会希望(一般の方)、「○月○日○○○講演会」参加 と明記
※「○○○講演会」には申込みをしようとする該当講演会名を記載願います。
定員に達してご参加できない場合、または開催方法等に変更が生じた場合に限り、はがきまたは電話にてご連絡いたします。 オンライン参加:電子メールに限定。
申込みアドレス: meihakutomonokaig★gmail.com(★を@に置き換えてご利用ください。)
件名に「○月○日○○○講演会」参加と明記し、本文に住所、氏名、電話番号、会員番号(会員の方)、入会希望(一般の方)、を記載ください。講演会参加登録用URLを開催前日には送信元のアドレスにお送りします。
お願い:
・会場参加とオンライン参加とで申込方法に相違がありますが、事務処理上の観点から区分いたしましたのでご理解ご協力をお願いいたします。
・特に会場の定員から、より多くの会員に参加いただきたく、これまでZoom講演会に参加された方には申込み状況によりオンライン参加をお願いすることもありますので、ご理解ご協力をお願いいたします。
・一般の方で今回友の会に入会される場合の年会費は、2023年度会費3000円です。お支払い方法につきましては、次のとおりです。
会場参加:当日会場にて納付していただきます。
オンライン参加:電子メールによる申込みがあった場合、受付状況等を確認のうえ振込み口座等を返信いたします。
【新型コロナウイルス感染対策について】
・マスクの着用をお願いいたします。
・当日、発熱または体調不良の方は、会場でのご参加を遠慮願います。
・ご入場時は、必ず入口での消毒にご協力をお願いいたします。
※新型コロナウイルス感染拡大の影響により、開催方法や会場等に変更が生じる場合がありますので予めご了承ください。
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