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明治大学博物館友の会 行事予定

講演会 「日本考古学 2025」

実施日:2025年9月20日(土)13:00~16:30 (12:45より入場可能)
場所:明治大学駿河台キャンパスアカデミーコモン9階309A教室

講演テーマと講師:
講演1) 「低地の民の資源戦略—弥生時代の木材利用構造を探る—」
講師:鶴来 航介(つるき こうすけ)氏(明治大学文学部講師)
【 講 演 要 旨 】
農耕の知識を携えた弥生時代の人々は、丘陵や台地から低地部へと集落を移し、水稲農耕に大きく舵を切ることになる。集落周辺には農耕に適した土壌が広がる反面、低湿な環境ゆえに森林は発達しにくく、弥生社会は次第に資源の安定的調達という課題に直面する。とくに弥生時代は農具や容器、構造物などに厖大な量の木材を投入する大量消費社会であり、木材資源へのアクセスは死活問題ともいえる。それでも弥生時代を通じて特徴的な用材選択を貫徹した背景には、木材を社会全体に融通するためのシステムが構築されていたことが示唆される。
1980年代以来、そのシステムは丘陵部と低地部の間で成立した木器の分業生産体制と目され、木器を「つくるムラ」と「つくらないムラ」の二項的に理解されてきた。大阪湾沿岸地域において、森林資源により近い丘陵裾部の集落で木器未成品が見つかるのに対して、低地部での発見例が限られたことに着想した理論である。しかし、木質遺物の遺存状況は埋没環境に左右されるため、分布が往時の様相をそのまま反映するとは限らない。演者は木工活動の実態を探るために、木製品の技術系譜や木工具、切削にともなう残滓など多角的な視点で分析をおこなってきた。そこから見えてきたのは、資源利用を通じて地域集団が結びつく新たな弥生社会像である。石器や金属器とは異なる経済原理を見通すことで、集団関係をより立体的に描出することが可能となる。講演では、演者がこれまで主要なフィールドとしてきた近畿地方中央部を事例として取り上げ、弥生時代の社会形成における資源利用の役割について最新の理解を紹介する。
(講師より)
(プロフィール) 
出身地: 愛知県
出身校: 京都大学大学院文学研究科 博士(文学)
経歴: 明治大学文学部 史学地理学科 考古学専攻の本年度新任講師
研究テーマ: 弥生時代の資源利用と社会形成、弥生時代の農耕技術
主な著書・論文: (共著)『水田稲作関連技術と水田用水系生業の研究1』文学通信 2025年 
(共著)『布留遺跡の考古学』六一書房 2024年
(単著)『木材がつなぐ弥生社会』京都大学学術出版会 2023年 
 
講演2) 「日本水中考古学の可能性」
講師: 池田榮史(いけだ よしふみ)氏(國學院大學研究開発推進機構教授)
【 講 演 要 旨 】
近年、日本の考古学研究において、水中考古学への関心が高まりつつある。1908(明治41)年に長野県諏訪湖の曽根湖底遺跡が坪井正五郎主催の『東京人類学雑誌』に紹介されて以来、水中遺跡の存在は知られていたものの、考古学研究の一分野学とする積極的な取り組みや、水中遺跡を文化財保護行政の対象とする仕組み作りはなかなか進まなかった。
日本における本格的な水中考古学的調査研究は、1974(昭和49)年の北海道江差町における旧江戸幕府軍艦開陽丸の調査を嚆矢とする。開陽丸は江戸幕府がオランダに建造を依頼した戦艦で、1866(慶應2)年に進水し、翌年日本へ回航された。1868(明治元)年江戸城の無血開城の際、榎本武揚ら旧江戸幕府関係者は明治政府への海軍軍艦の引き渡しを拒み、北海道へ逃避した。同年11月江差の攻略に向かった開陽丸は暴風波を受けて座礁、沈没した後、いつしか所在が分からなくなった。たまたま江差港防波堤工事に伴って発見され、発掘調査が行われたのである。
また、長崎県松浦市鷹島海底遺跡は二度目のモンゴル襲来である弘安の役の際、佐賀・長崎県境に位置する伊万里湾に集結した元軍船団が暴風雨に見舞われ、壊滅した痕跡が残る海底遺跡である。1980(昭和55)年から考古学的手法を用いた調査研究が開始された。2011(平成23)年鷹島1号沈没船が発見されたことを契機として、翌年、当該海域約384,000㎡が水中遺跡としては日本で初めての国指定史跡「鷹島神崎遺跡」となった。 これを契機として、文化庁は「水中遺跡調査検討委員会」を設置し、2022(令和4)年には『水中遺跡ハンドブック』を刊行して全国の都道府県・市町村文化財保護担当部局へ配布し、水中遺跡の保護活用を推進しつつある。今、日本の水中考古学研究ならびに水中文化財保護行政は大きな変革期の只中にある。
(講師より)
(プロフィール)
出身地: 熊本県天草市
出身校: 國學院大學大学院文学研究科博士課程前期修了
経歴: 琉球大学法文学部教授 國學院大學研究開発推進機構教授(現在に至る)
主な著書・論文: (共著)『ぶらり歩き奄美・沖縄の博物館』2014年 芙蓉書房 他
(単著)『元軍船の発見−鷹島海底遺跡−』(遺跡を学ぶ150)2021年 新泉社 他
 
【 実 施 要 領 】
定員 先着順 100名
 参加費 無料(友の会会員限定。但し、この機会に入会される方は参加できます。当日会場にて会費を納付してください。)
 締切日 9月13日(土)必着 *定員になり次第締め切りますのでお早めにお申し込みください。
申込方法
事前申し込みが必要です。電子メール、はがきによりお申し込みください。Faxは不可。
記載事項:氏名、電話番号、会員番号 (一般の方は入会希望、住所もお願いします。)
「日本考古学2025」参加と明記してください。
 宛先 〒101-8301 東京都千代田区神田駿河台1-1 明治大学博物館友の会
 申し込みアドレス meihakutomonokaig★gmail.com(★を@に置き換えてご利用ください。)
 共同主催 明治大学博物館・明治大学博物館友の会

<世界史講演会>「シルクロードのソグド都市と文化交流—拝火寺院の調査成果を中心に—」

講師:村上 智見(むらかみ ともみ)氏(東北芸術工科大学 芸術学部 文化財保存修復学科 准教授)
ソグド人と言われても、なかなかイメージが持ち難いと思いますが、唐を通じて西域の品々を持ち込んだり、奈良の都に鑑真とともに訪れたり、日本とも浅からぬ関係があると言われています。是非この機会にソグドの民のことに触れてみてはいかがですか。お誘いあわせの上、お申し込みください。
日 時
10月31日(金)14:00~15:30(受付開始13:45)
会 場
明治大学駿河台キャンパス アカデミーコモン8階 308E 教室
定 員
90名(教室での聴講のみです。)
参加費 無料(友の会会員限定。但し、この機会に入会される方は参加できます。)
申込方法 事前申し込み 電子メール、はがきによる申し込みのみ。Faxは不可です。
会員:氏名、電話番号、会員番号、「世界史講演会」参加を明記、
一般入会希望者:上記4点に加え、住所も記載
メールアドレス:meihakutomonokaig★gmail.com(★を@に置き換えてご利用ください。) 
はがき宛先:〒101-8301東京千代田区神田駿河台1-1  明治大学博物館友の会
締切日 10月24日(金)  ※定員になり次第締め切りますのでお早めにお申し込みください。
共同主催
明治大学博物館、明治大学博物館友の会
【講演要旨】
ソグド人は中央アジアのソグディアナを本拠地とし、シルクロード交易を担ったイラン系の民族です。東西文化交流を促した立役者でもあったと言っても過言ではなく、唐代にはソグド人がもたらした美術、音楽、服飾などの西域文化が大流行し、日本にも少なからぬ影響を与えました。しかし、8世紀初頭にイスラーム勢力がソグディアナに侵攻したことを契機に、彼ら独自の文化は徐々に衰退し、やがて歴史の表舞台から姿を消していきました。
これまでソグド都市と文化の実態を明らかにするべく、ウズベキスタン共和国において発掘調査に携わってきましたが、2022年度からは、新たにクルゴン・テパ遺跡およびクルドル・テパ遺跡での調査を主導しています。これらの遺跡では、壁画や祭壇、人物彫像などを伴った、寺院とみられる極めて貴重な遺構が発見され、当時のソグド人の文化、信仰、美術の広がりがより鮮明に見えてきました。あわせて、日本を含む東アジアへと広がった文化との接点を物語る貴重な出土資料も得られています。
本講演では、こうした現地における発掘の最新成果を紹介いたします。ソグド人を通して見えるシルクロード文化の広がりと、日本に伝わった西域文化の源流について、思いをはせる機会になれば幸いです。
(講師より)
【講師プロフィール】
北海道出身。奈良大学文学研究科文化財史料学博士後期課程修了、博士号取得。
日本学術振興会特別研究員PD(帝塚山大学)、日本学術振興会海外特別研究員(All-Russian Art Research and Restoration Center named after Academician I.E. Grabar)、北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター非常勤研究員、北海道大学アイヌ・先住民研究センター博士研究員、北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター特任助教を歴任。2024年より現職。

<博物館企画展関連見学会>「信楽焼の里と琵琶湖東岸の遺跡を巡る」

3月から5月にかけて、「進化する信楽焼の「伝統」」と題した博物館の展示をご覧になった方も多いと存じます。その信楽焼の里を外山学芸員のご案内でたどりながら、周辺にある選りすぐりの遺跡を見て回り、近江牛にも舌鼓を打ってもらいます。奮ってご参加ください。
【 実 施 要 領 】
実施日 2025年12月4日(木)~5日(金)
集合
東海道新幹線米原駅 新幹線改札口 
午前10時30分
(参考アクセス 8:00東京(のぞみ61号)→9:39名古屋9:43(こだま703号)→10:10米原)
宿泊
ビジネスホテルタカラ(野洲市内)
tel 077-587-0391 *シングルルーム
見学予定コース
※天候等で変更の場合があります。
(1日目)10:30米原駅バス出発~近江商人博物館~昼食~安土城考古博物館~雪野山歴史公園~野洲市歴史民俗博物館(銅鐸博物館)~17:10ホテル着
(2日目)8:30ホテルバス出発~伊勢遺跡史跡公園~信楽焼ミュージアム(伝統産業会館)~信楽窯元散策~昼食~紫香楽宮~東海道新幹線米原駅16:30頃解散
参加費
34,000円(予定額)
(貸切バス、宿泊費、食事代:朝食1、昼食2、夕食1、保険料など)
※参加人数により参加費が変動する場合があります。
定員
30名(先着順、会員限定)
申込方法
メールまたは往復はがきにて(FAX不可)。
郵便番号・住所・氏名(ふりがな)・年齢・電話番号・携帯番号・会員番号・「宿泊見学会」係と明記の上、お申込みください。
締切日 11月5日(木)
事前学習会 外山学芸員による学習会を開催する予定にしております。
【 主な見学場所 】
(1)信楽焼ミュージアム(伝統産業会館)
常設展示室があり鎌倉時代から現在までの信楽焼の紹介している。企画展「信楽焼指定無形文化財展」が開催されており観覧ができる。
(2)信楽窯元散策
信楽駅前から続く古いたたずまいの路で、登り窯や無造作に積まれた古い火鉢、「陶生町」「焼屋町」といった町名が、陶都信楽ならではの風情をかもし出している。窯元のショールームや工場内の見学を予定。
(3)雪野山歴史公園
標高308.8mの山頂にある雪野山古墳は4世紀前半の竪穴式の前方後円墳。出土した銅鏡、漆製品、石製品、ガラス小玉等218点は重文。麓にある八幡社古墳群は前方後円墳を含む17基の後期古墳群である。
(4)野洲市歴史民俗博物館
銅鐸博物館と言う愛称で親しまれ、大岩山から出土した銅鐸24個を中心に展示されている。隣接する弥生の森歴史公園では復元住居があり、弥生時代の人々の生活や文化を実物大で体験できる。
(5)伊勢遺跡
弥生時代後期、多数の大型建物が整然と建ち並ぶ巨大な祭祀空間で、中国伝来の最新建築技術が使われた建物もあった。史跡公園として整備され遺構が保存展示され、ジオラマ展示なども楽しめる。近江南部の「クニ」の中枢だったのか。
 
抹茶碗(自然釉を模した商品)1992年収集
「企画展 進化する信楽焼の「伝統」」より

2025年度行事予定表

明治大学博物館友の会(2025年5月現在)
2025年 見学行事 講演会等企画
4月  
 
5月  
17(土)総会特別講演会 寺澤知子氏(神戸女子大学名誉教授)「4世紀の倭国-政権の動向と『記紀』伝承」
6月  5(木) 《会員企画による東京近郊の遺跡 探訪》 縄文の漆の里「下宅部遺跡」に行ってみよう!
24(火)第28回古代史講演会 設楽博己氏(東京大学名誉教授) 「黥面から見えてくる邪馬台国」 (H)
7月  
26(土)近世史講演会 桑野梓氏(なら歴史芸術文化村学芸員) 「大阪・茨木のキリシタン遺物発見とかくれキリシタン『発見譚』」 (Z)
8月    
9月
 
20日(土)日本考古学2025
10月  
31日(金)<世界史講演会>「シルクロードのソグド都市と文化交流—拝火寺院の調査成果を中心に—」
11月    
12月  4日(木)~5日(金)<博物館企画展関連見学会>「信楽焼の里と琵琶湖東岸の遺跡を巡る」
 
2026年
1月
 
 
2月    
3月  
 

4月    
(2025年9月現在)
(注)講演会の日程・講師は予定のもので変更などもあり得ますので、ご了承願います。
   Z:Zoom利用によるリモート講演会をいう。
   H: 会場とZoom併用による講演会をいう。
 
 
ハイブリッド講演会(会場参加とオンライン併用)における申込方法および留意事項について
これまで、オンラインでの講演会には参加の叶わなかった会員の方々に、博物館教室での対面講演を実施する運びとなりました。この機会に是非博物館にもお越しくださいますよう心よりお待ち申し上げております。

申込方法:会場参加、オンライン参加のいずれかとし、事前申込みが必要です。
 会場参加:普通はがきに限定、Fax不可。
 ※電子メールをお持ちの方もはがき申し込みとなります。
 記載事項:住所、氏名、電話番号、会員番号(会員の方)、入会希望(一般の方)、「○月○日○○○講演会」参加 と明記
 ※「○○○講演会」には申込みをしようとする該当講演会名を記載願います。
 はがき宛先:〒101-8301 東京都千代田区神田駿河台1-1 明治大学博物館友の会○○係
 定員に達してご参加できない場合、または開催方法等に変更が生じた場合に限り、はがきまたは電話にてご連絡いたします。

 オンライン参加:電子メールに限定。 
 申込みアドレス: meihakutomonokaig★gmail.com(★を@に置き換えてご利用ください。)
 件名に「○月○日○○○講演会」参加と明記し、本文に住所、氏名、電話番号、会員番号(会員の方)、入会希望(一般の方)、を記載ください。講演会参加登録用URLを開催前日には送信元のアドレスにお送りします。


お願い:
・会場参加とオンライン参加とで申込方法に相違がありますが、事務処理上の観点から区分いたしましたのでご理解ご協力をお願いいたします。
・特に会場の定員から、より多くの会員に参加いただきたく、これまでZoom講演会に参加された方には申込み状況によりオンライン参加をお願いすることもありますので、ご理解ご協力をお願いいたします。
・一般の方で今回友の会に入会される場合の年会費は、2023年度会費3000円です。お支払い方法につきましては、次のとおりです。
 会場参加:当日会場にて納付していただきます。
 オンライン参加:電子メールによる申込みがあった場合、受付状況等を確認のうえ振込み口座等を返信いたします。


【新型コロナウイルス感染対策について】
・マスクの着用をお願いいたします。
・当日、発熱または体調不良の方は、会場でのご参加を遠慮願います。
・ご入場時は、必ず入口での消毒にご協力をお願いいたします。
※新型コロナウイルス感染拡大の影響により、開催方法や会場等に変更が生じる場合がありますので予めご了承ください。