明治大学博物館友の会 行事予定

<第26回会員案内による地元見学会>「川崎市を訪ねるPart3—古代川崎の行政・文化の中心地“ 橘樹(たちばな)”の地をゆく—」

川崎市域には旧石器時代から平安時代までの遺跡が600ヶ所以上ありますが、高津区と宮前区にまたがる地域にある橘樹官衙遺跡群は特に重要なものの一つで、2015年3月川崎市初の国史跡に指定されました。橘樹官衙遺跡群は古代の郡の役所である『橘樹郡家跡』と古代寺院である『影向寺遺跡』とからなります。仏教文化が伝わったのです。千年(ちとせ)伊勢山台遺跡『橘樹郡家跡』で、税である田祖を納めた正倉(倉庫)跡が検出され、新たな知見が得られています。古代橘樹の人々はこの地で地面に穴を掘り、柱を立て正倉などを建てていたことが分かってきました。正倉の一つSB0031の立地は南方側(中原街道側)から丘陵上に登るときに、正面の眼前に展開する景観は、威信を示す機能をもっていたと想定することができます。
今回、千数百年ぶりに地上に現れた歴史(正倉)に触れ古代に思いを馳せ、文化財や地形などから、武蔵国が東山道から東海道に移行という陸上交通“道”・水上交通“河川”の変遷と武蔵国府との関係、郡寺と郡家の関係などとの関わりを探るフィールドワークに出かけてみませんか。
[ 実施要領 ]
実施日 2024年5月21日(火)(小雨実施)
集合(1) 10:30 東急田園都市線 宮前平駅改札
集合(2) 12:45 川崎市市民プラザ
予定コース
宮前平駅→(路線バス)馬絹(まぎぬ)神社前下車~馬絹神社・馬絹古墳~西福寺古墳~川崎市市民プラザ(昼食各自・座学)~影向寺(ようごうじ)~橘樹郡家跡~解散予定16:00バス停千年(ちとせ)(バス便多数)
(希望者のみ)富士見台古墳~子母口(しぼくち)貝塚~橘樹神社~解散予定17:00バス停子母口(バス便多数)
*丘陵の登りは西福寺古墳に行くまでの2~300mがやや勾配がありますが、西福寺古墳から橘樹郡家跡まではほぼ平坦な道路です。
*集合(2)は午後からの参加の方です。
JR武蔵溝ノ口駅・東急田園都市線溝の口駅南口、乗場①市バス溝23系統のバス(11:40又は12:10発)に乗車、市民プラザ下車です。
*市民プラザにて昼食各自。館内に食堂があります。弁当持参の方も館内で召し上がれます。
*市民プラザ内会議室は抽選申込受付前です。
13時から40分程度の座学「古代橘樹を知る(仮称)」を予定。
案内会員 前林 芳雄 会員
現地講師 川崎市教育委員会文化財課(予定)
定  員 25名(先着順)
参加費
会員1,500円、 会員外2,000円
(資料代・保険料・施設利用料等、当日集金)
申込方法 往復はがき・メールにて住所・氏名・電話番号・会員番号及び集合(1)または(2)の場所区分を記し、「地元見学会」係宛お申し込みください。
締切日 4月30日(火)
[ 主な見学場所 ]
(1)馬絹古墳
墳丘内から四角く切った泥岩を積み上げる横穴式石室が発見され、全長約9mと大型で、唐尺(1尺≒30cm)で設計されたものと考えられ、築造も唐尺の普及した7世紀中葉以降と考えられています。玄室などから鉄釘が79本出土しています。被葬者は、影向寺の創建に関連するような人物であった可能性があるといわれています。
(2)影向寺(ようごうじ) ~古代の地方寺院~
南関東屈指の古刹で境内には木造薬師如来両脇侍像(国重文)や薬師堂(県重文)があります。現在ものこる「影向寺石」は、三重塔の中心の柱を受ける礎石です。発掘調査で「无射志国荏原評」の文字瓦が発見されています。
(3)千年伊勢山台遺跡(橘樹郡家跡)
武蔵国橘樹郡を運営するために造営されたのが「橘樹郡家」で、古代の役所が存在した場所がこの丘陵上になります。千年伊勢山台遺跡〔橘樹郡家跡〕と影向寺遺跡は、古代の地方官衙の成立からの流れを知る上で重要であるといわれ、7世紀後半の地方行政組織である評の役所の成立や構造、その後の廃絶 に至るまでの過程を知ることができる希有な例であると考察されています。

明治大学博物館友の会総会特別講演会「弥生時代観を見直す—70歳の視点—」

講師:石川 日出志氏(明治大学文学部教授・福島県文化財センター白河館「まほろん」館長)
明治大学博物館友の会総会に引き続き、当会の活動に絶大なるご理解と有益なご助言を頂いております、石川日出志先生をお招きして特別講演会を開催いたします。また、先生は本年度をもちまして明治大学をご退職になりますので、当会にとって、その集大成とも言うべき演題を頂戴いたしました。
ご出欠のはがきを5月18日(土)までに到着するようご投函をお願い致します。
日 時 6月1日(土)14:15~15:45(受付開始13:45)
会 場 明治大学駿河台キャンパス アカデミーコモン8階 308F 教室
資料代 会員・明大教職員・学生(他校を含む)無料
一般1,000円(当日会場にて集金)
申込み 会報に同封のはがきにて、氏名・会員番号を明記してお申し込みください。
【講演要旨】
2024年度末をもって明治大学を定年退職します。学部時代にもっとも関心が高かったのは縄文時代でしたが、指導教授の杉原荘介先生に牽引されて、卒業論文から弥生時代研究に主力を注ぐようになりました。それから半世紀近くたちますが、西日本中心の弥生時代研究に負けないように勉強してきた結果、どうもこれまでの弥生時代研究を批判的に見るくせがついてしまったようです。そして50歳をすぎてからは、そのことを自分の基本形として前面に出すようになり、それは今も変わりません。
本講演では「弥生時代観を見直す—70歳の視点—」と題して、次の3つの課題を採り上げようと思います。(1).「東日本弥生文化の特質」論を批判する。(2).銅鐸近畿形成説は成り立つのか。(3).「邪馬台国所在地論争」から「東アジアの中の倭国」論へ。
(1)は、弥生文化が西日本と東日本とではかなり性格が異なるという見解が、戦後繰り返し説かれてきました。それは土器の特徴の違いと青銅器の有無に注目した見方ですが、近年の調査成果を見ると、むしろ東西日本の連動する姿にこそ注目すべきだと思います。(2)は、近畿周辺に分布する銅鐸は、九州とは無関係に近畿圏で独自に形成されたという定説は、成り立たないという私見です。(3)は、いまだに繰り返される邪馬台国所在地論争ですが、各地で蓄積された調査成果に立脚するならば、もはやそんな論争は止めて、邪馬台国時代の倭国の論議をこそするべきだ、という意見です。
ちょっと盛りだくさんですが、どうしてもこの三つを話さないままで明治大学を卒業する気持ちにはなれません。お付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。(講師より)
 
【講師プロフィール】
1954年、新潟県生まれ。1974年明治大学文学部入学。1983年3月に大学院博士後期課程を3年在学で中退して、翌4月に文学部専任助手。以後、専任講師(1987年~)、助教授(1991年~)、教授(1997年~)。この間、大学院文学研究科長(2014・15年度)文学部長(2015・16年度)等を歴任、東京大学・京都大学・大阪大学・九州大学・早稲田大学など10大学でも授業を担当。主著に『農耕社会の成立』(岩波新書・2010年)、『「弥生時代」の発見 弥生町遺跡』(新泉社・2008年)、『考古資料大観 第1巻』(武末純一氏と共編著・2003年)。近刊の戸田覚『仕事と勉強ができる人のリアル「ノート&メモ」術』(翔泳社)で、高校時代以来の自筆ノートが紹介されている。

Zoomによる<琉球史講演会>「琉球王国と種子島」

講師 屋良健一郎(やら けんいちろう)氏(名桜大学国際学部上級准教授)
実施日 2024年7月6日(土)
会 場 Zoomによる視聴 (対面では行いませんのでご注意ください)
時 間 14:00~15:30 (13:45より入室可能) 
 定 員 先着順 90名 (友の会会員限定) 
 参加費 無料
 申込方法
メールによる事前申し込みに限定されます
申し込みをされた会員へは定員超過などの理由で参加をお断りする場合以外は連絡いたしません。
Zoom招待状、レジュメは開催の前日までに送信元のアドレスへお送りいたします。
 申込みアドレス meihakutomonokaig★gmail.com(★を@に置き換えてご利用ください。)
件名に「琉球史講演会参加」と明記し、本文に氏名、会員番号、電話番号を記載ください。
なお、一般の方は住所ならびに入会希望の旨も記載ください。
一般申込の方へ:年会費のお支払方法等を送信元のアドレスへ返信いたしますので、内容ご確認の上、お手続きをお願いします。
 締切日 6月26日(水) *定員になり次第締切りますのでお早めにお申し込みください。
【講演要旨】
1429年、3つの勢力が鼎立していた沖縄島が尚巴志によって統一され、琉球王国が成立しました。以後、琉球王国は国内の諸制度を整えると共に、周辺の島々を制圧し、版図を拡大していきます。一方、その頃の九州の南に目を向けると、種子島を統治する種子島氏が薩摩の守護大名である島津氏と友好関係を築き、近隣の島々の支配権を獲得していました。やがて、種子島氏の勢力圏は琉球王国の版図と接近するようになります。
16世紀はじめ、琉球は「黄金時代」とも称される尚真の治世を迎えます。この時期に種子島氏が貿易のために琉球に船を派遣しますが、琉球は種子島氏を自国に「忠節」を尽くす存在とみなしました。種子島氏はそのような琉球からの位置付けを受け入れることで、琉球との貿易を続けたとみられます。
種子島氏はその後、島津氏の支配下に入り、近世には薩摩藩の家老として活躍します。一方の琉球もまた、1609年に島津氏の侵攻を受け、薩摩藩の支配下に入ります。琉球と種子島を取り巻く状況は中世と近世とでは大きく異なっており、交流の在り方も変化していきます。近世においては、中世のような外交・貿易を行う関係ではなくなりますが、それでも、琉球と種子島との間には、漂着民の送還をめぐるやり取りや、役人たちの文化交流など、ある程度の交流があったことが史料から分かります。
今回の講演では、琉球と種子島との関係をとりあげることで、中世・近世の琉球と日本・薩摩との関係、外交や交流の諸相を見てみたいと思います。 (講師より)

【講師プロフィール】 
1983年生まれ。現在、名桜大学国際学部上級准教授。博士(文学)東京大学
論文
「近世における琉球人の日本漂着」(島村幸一編『琉球船漂着者の「聞書」世界』勉誠出版、2020年)、
「中近世の種子島氏と島津氏」(木村直樹・牧原成征編『十七世紀日本の秩序形成』吉川弘文館、2018年)など。

2024年度行事スケジュール表

明治大学博物館友の会(2024年4月22日現在)
2024年 見学行事 講演会等企画
4月  
 
5月 21(火)第26回会員案内による地元見学会 「川崎市を訪ねるPart3-古代川崎の行政・文化の中心地“橘樹”の地をゆく—」
 
6月  
1(土)総会特別講演会 石川日出志氏(明治大学文学部教授)
7月   6(土)琉球講演会 屋良健一郎氏(名桜大学国際学部上級准教授)(Z)
8月    
9月
 
日本考古学2024 阿部芳郎氏(明治大学文学部教授)
10月   中・近世史講演会 (予定:馬部隆弘氏.中京大学文学部教授)
11月
(宿泊見学会)
 
12月  
テーマ別講演会 アイヌ文学 中川裕氏(千葉大学文学部教授)
2025年
1月
 
第27回古代史講演会
2月 江戸時代を探訪するPart10  
3月  
会員発表会&学芸員講演会

4月 第27回会員案内による地元見学会  
(注) (Z):Zoom利用によるリモート講演会をいいます。 
            (H):ハイブリッド講演会(会場参加とリモート併用)をいいます。
    ・講演会の日程・開催方法など変更が生じる場合がありますので予めご了承願います。
    ・募集中の行事など詳細は、友の会会報または友の会ホームページによりご確認願います。
ハイブリッド講演会(会場参加とオンライン併用)における申込方法および留意事項について
これまで、オンラインでの講演会には参加の叶わなかった会員の方々に、博物館教室での対面講演を実施する運びとなりました。この機会に是非博物館にもお越しくださいますよう心よりお待ち申し上げております。

申込方法:会場参加、オンライン参加のいずれかとし、事前申込みが必要です。
 会場参加:普通はがきに限定、Fax不可。
 ※電子メールをお持ちの方もはがき申し込みとなります。
 記載事項:住所、氏名、電話番号、会員番号(会員の方)、入会希望(一般の方)、「○月○日○○○講演会」参加 と明記
 ※「○○○講演会」には申込みをしようとする該当講演会名を記載願います。
 はがき宛先:〒101-8301 東京都千代田区神田駿河台1-1 明治大学博物館友の会○○係
 定員に達してご参加できない場合、または開催方法等に変更が生じた場合に限り、はがきまたは電話にてご連絡いたします。

 オンライン参加:電子メールに限定。 
 申込みアドレス: meihakutomonokaig★gmail.com(★を@に置き換えてご利用ください。)
 件名に「○月○日○○○講演会」参加と明記し、本文に住所、氏名、電話番号、会員番号(会員の方)、入会希望(一般の方)、を記載ください。講演会参加登録用URLを開催前日には送信元のアドレスにお送りします。


お願い:
・会場参加とオンライン参加とで申込方法に相違がありますが、事務処理上の観点から区分いたしましたのでご理解ご協力をお願いいたします。
・特に会場の定員から、より多くの会員に参加いただきたく、これまでZoom講演会に参加された方には申込み状況によりオンライン参加をお願いすることもありますので、ご理解ご協力をお願いいたします。
・一般の方で今回友の会に入会される場合の年会費は、2023年度会費3000円です。お支払い方法につきましては、次のとおりです。
 会場参加:当日会場にて納付していただきます。
 オンライン参加:電子メールによる申込みがあった場合、受付状況等を確認のうえ振込み口座等を返信いたします。


【新型コロナウイルス感染対策について】
・マスクの着用をお願いいたします。
・当日、発熱または体調不良の方は、会場でのご参加を遠慮願います。
・ご入場時は、必ず入口での消毒にご協力をお願いいたします。
※新型コロナウイルス感染拡大の影響により、開催方法や会場等に変更が生じる場合がありますので予めご了承ください。