分科会 古代東北アジアと日本研究会

分科会 古代東北アジアと日本研究会

われわれの研究会は、日本人と日本文化の起源を探る目的で、日本のみならず、広く東アジアから遠くはユーラシア大陸全体にわたるまでの地域について、農耕や畜産(牧畜と遊牧)の起源から謎の4世紀と言われる時代までの長いスパンの時代について、考古学、歴史学、気候変動、宗教、遺伝学などの研究分野の区分にこだわらずに勉強している会です。日本では研究というのは狭い分野に限定して深く勉強するのが正しい姿と思われがちですが、歴史や文化の動きは、何か狭い分野の事象で動いているものではないことは、誰もが承知しているところです。ただ、様々な事象があまりに複雑に絡み合って変化しているので、現在起きている事象ですら、本当の姿を捉えることができないのが実情です。ましてや、古い時代に起きたことは現代に残っている証拠は極めて限られていて、どのような事象が、どのような関係で動いていたのかを知ることは、とても不可能なように思われます。だから、このように幅広い地域と時代と分野を相手にしていては、とても結論が出せそうにありません。研究活動によって成果を出すことを求められている現役の研究者にとって、これは越えがたい障壁でしょう。特に近年のように、文部科学省が成果の報告を毎年要求してくるような状況では、以前よりもさらに困難になっていると思われます。
ところが、我々研究会のメンバーの多くはすでに現役を終えていて、研究成果を急いで求められることはありません。仕事を持っておられる現役の方でも、趣味で勉強しているので、この勉強での成果は求められずに済みます。この点が素人集団の強みではないかと思っているところです。
実際の歴史は、様々な要素が絡み合って、あるいは偶然が偶然を呼んで動いているように見えます。そんな状況は、歴史の渦の中に没入していては見えてこないでしょう。かといって、勝手な思い込みで妄想を膨らませて、何の証拠もなく歴史を見ようとしては、もっと何も見えないでしょう。われわれの研究会は、勝手な妄想に流されることのないように、なるべく多くの大学の先生などのプロの研究者のお話を聞く機会を多く持とうと努めています。さらに、会員の間での討論では、なるべく根拠となる文献等を示すように努力しています。そのうえで、広い分野について、それぞれ関心の中心が異なる会員の皆さんの推薦する本を輪読して、推薦する先生方をお招きしています。歴史を幅広くみることによって見えてくるものがあるのではないかと考えています。
今年度の輪読図書は、前半は松原正毅著『遊牧の人類史』で遊牧の起源について勉強し、後半は東潮著『倭と伽耶 朝鮮海峡の考古学』で、朝鮮半島の古代と日本との関係を勉強する予定です。また、8月には東潮先生をお招きして、Zoomで中国東北部から朝鮮半島、日本列島にまで及ぶ帯鈎と帯金具についてのお話を伺いました。質問に対しても一生懸命答えてくださる東先生の誠実さに皆さん感動したところでした。 Zoomという便利な手段を得たので、これからもできるだけ多くの先生方のお話を伺って行けるように努力したいと思っています。
例会
毎月第3木曜日 10時~12時
場所
博物館教室
お問い合わせ先

明治大学博物館友の会

分科会へ入会希望の方、見学を希望される方は、希望される分科会名と入会希望または見学希望とご記入のうえ、下記へはがきまたはメールでご連絡下さい。

ご希望された方には各分科会よりご案内します。
※分科会に正式に入会された方は、明治大学博物館友の会に入会していただきます。(必須条件)


【はがき】
〒101-8301 東京都千代田区神田駿河台1-1
明治大学博物館友の会

【メール】
meihakutomonokaig★gmail.com
(上記アドレス中、★を@に置き換えてご利用ください。)