明治大学所蔵 村絵図の世界 故郷の原風景を歩く

2007年度秋季特別展
明治大学所蔵 村絵図の世界 故郷の原風景を歩く 
主 催 明治大学博物館
協 力 明治大学博物館友の会
後 援 千代田区 千代田区教育委員会 天童市教育委員会 相模原市教育委員会 南足柄市教育委員会 (財)日本ナショナルトラスト 読売新聞社 山形新聞社 神奈川新聞社
会 期 前期 2007年9月14日(金)~10月23日(火) 後期 2007年10月26日(金)~12月4日(火) 80日間
会 場 明治大学博物館特別展示室
入場料 ¥300
入場者数 2,812名
 博物館が所蔵する絵図類は1400点余にのぼり、その中心は村絵図であるが、我が国における史料保存機関の中でも有数の規模と評価できる。前近代の農村の様子を視覚的に記録した史料は乏しく、博物館の展覧会においても絵画資料の残りやすい都市や宿場町が多く取り上げられてきた。しかし、当時の人々のほとんどは農村に起居しており、また、徳川幕府や領主にとっては農村こそが経済基盤であり、歴史的景観を検証する題材として農村をテーマとする展覧会の開催は意義あるものとなる。
 この展覧会では、農村社会のあり方を視覚的に読み解くことをテーマとし、耕地のあり方、水資源・山林資源の利用、開発、災害と復興、寺院・神社を題材に描かれた絵図を提示するとともに、関連の文献資料を展示して地域の歴史の復元を試みた。近世村落史において村絵図を重視した研究は、本学の近世史研究が生み出した手法であり、それを再提示することにより明治大学におけるすぐれた教育研究の実践を社会にアピールした。

 
 

<展示構成>
ア 展示内容

導入1 村絵図を歩く 
故木村礎名誉教授の著書『村の語る日本の歴史』近世編①(そしえて、1983)と、同書に折込図版として使用された天明3年「観音寺村絵図」(山形県東根市)を展示。
導入2 村の立地と集落 
様々な村落形態について写真パネルで紹介。(年不詳)「千津島村絵図」(平地の村・神奈川県南足柄市)、延享2年「田麦野村絵図」(山村・山形県天童市)など。
第1部 江戸時代の農村景観
近世村落を構成する様々な要素を紹介し、近世の村とは何かを提示した。 
検地と村切り (近世前期)「千津島村絵図」(神奈川県南足柄市)など
農村と水 弘化4年「野川訴答一件絵図」(山形県東根市)など
山と野 天和3年「信州筑摩郡諏訪領と同郡平田村野論裁許絵図」(長野県松本市)など
村の施設 天保8年「閑馬村絵図」(栃木県佐野市)など
第2部 村絵図に刻まれた地域の歴史 
出羽国村山郡山口村(山形県天童市) 宝暦10年「山口村絵図」など
扇状地に立地する村の耕地の開削、水害、山入会と山論などの地域の歴史を提示。
相模国足柄上郡千津島村(神奈川県南足柄市) 延享2年「千津島村地押絵図」など
河川改修と新田開発、富士山噴火災害からの復興などの地域の歴史を提示。
相模国津久井県千木良村(神奈川県相模原市) 宝暦10年「千木良村絵図」など
山村の耕地利用を絵図で提示し、関連史料でその経済のありかたを紹介。
コラム1 明治大学と村落景観史研究 
木村礎研究室の研究成果として刊行された『封建村落』(文雅堂、1958)、『明野町の村絵図』(明野町、1986)、『村落景観の史的研究』(八木書店、1988)などを展示。
コラム2 村絵図の製作 
村絵図製作に用いられた測量の様子について紹介。(近世後期)『町見測量法』、天保14年「鳥部・成沢・二王子山絵図」(秋田県大仙市)など。

イ 展示資料数
・村絵図類 48点 ・村絵図写真 6点 ・古文書 25点 ・古典籍 1点 ・錦絵 1点 合計81点


【関連事業】
記念講座
明治大学リバティアカデミー オープン講座
特別展開催記念講座「明治大学と村落史研究」
日 時 2007年10月6日(土) 14:00~17:00
定 員 100名
講 師 門前博之(文学部教授) 
吉田優(文学部准教授)
受講料 無料
受講者数 74名
趣 旨 故木村礎名誉教授の研究室による村絵図を活用した村落史研究の意義と第二次大戦後の村落史研究の展開における役割について検証した。
連続講座
明治大学リバティアカデミー博物館公開講座
景観から読み解く江戸時代の村
日 時 2007年10月17日~11月21日
全5回 15:00~16:30
定 員 40名
講 師 森 朋久(農学部兼任講師)
原 和之(伊勢原市文化財課)
外山 徹(博物館学芸員)
受講料 ¥9,000
受講登録者数 36名
内 容 10/17 江戸時代の村とは何か?
10/24 河川改修と新田開発
10/31 山間村落の暮らし
11 /7 水利と耕地の開削
11/14 村神社・寺院と人々の暮らし
11/21 フィールドワーク(旧千木良村)
  ¥4,400
趣 旨 特別展の中で重点的に取り上げられた3つの村のトピックスを切り口に、村落景観を素材として村の実像を紹介した。
年少者向事業
子ども体験教室「村絵図を描いてみよう」
日 時 2007年11月3日(祝土) 13:00~15:00
定 員 15組
講 師 外山 徹(博物館学芸員)
参加費 材料費 500円
受講者数 1組
趣 旨 展示されている村絵図がどのように描かれているか観察し、自分自身の手で村絵図を製作した。
展示解説
学芸員によるギャラリートーク
日 時 会期中水曜日 全5回15:00~16:00
定 員 20名
講 師 外山 徹(博物館学芸員)
内 容 9/27 出羽国村山郡山口村
10/11 安房国平郡手取村他
10/25 相模国足柄上郡斑目村・千津島村
11/15 相模国津久井県千木良村
11/29 下野国安蘇郡閑馬村
受講料 無料
受講者数 のべ78名
趣 旨 展示解説および展示されている絵図の原所在の現在の風景の紹介。