明治大学博物館

韓国公州市石壮里博物館開催の特別展に岩宿遺跡出土石器(重要文化財)を出品しました

2013年07月17日
明治大学 博物館事務室

 韓国公州市にある石壮里(ソクジャンリ)博物館で7月15日に開幕した「日本旧石器の始まり“岩宿”」特別展に当館所蔵の国指定重要文化財「岩宿遺跡出土品」(指定344)29点を出品しました。岩宿遺跡出土石器が海外で展示されるのは初めてのことです。

 石壮里博物館は石壮里遺跡の所在地に設置された博物館です。石壮里遺跡とは,1964年に韓国で初めて発掘された旧石器時代遺跡です。群馬県岩宿遺跡も1949年と1950年に明治大学により発掘された最初の旧石器時代遺跡です。遺跡は国指定史跡であり,その所在地にはみどり市岩宿博物館が設置されています。両遺跡は,両国の旧石器時代(今から約15,000年前よりも古い時代)の考古学において研究の端緒となった記念碑的遺跡であり,共通した歴史的意義とその後の歩みを辿ったといえます。今回の特別展は,日韓の研究交流を促進するとともに,石壮里遺跡と岩宿遺跡を比較しながら分かりやすく展示することで韓国市民にそれらの重要性を広くアピールすることを目的としています。

 2012年に韓国公州市とみどり市は,旧石器時代の考古学を中心とする文化交流に関する協定書を締結しました。その文化交流事業の第一弾として特別展「日本旧石器の始まり“岩宿”」が企画されました。特別展の会期は2013年7月15日~2014年2月2日で,重要文化財29点の展示は9月半ばまでになります(以降はレプリカを展示)。展示では,岩宿遺跡の石器29点,岩宿遺跡発掘の記録類15点その他写真,岩宿遺跡周辺の関連遺跡出土品71点を展示しています。

 今回の重要文化財の海外輸出は,石壮里博物館からの依頼に基づき,文化庁の承認を得て実現しました。重要文化財の運搬は美術品梱包業者が行い,岩宿博物館と明治大学博物館のスタッフが同行して現地で展示作業を行いました。7月15日に石壮里博物館で行われた開幕式典には,日本側から尾﨑享子氏(みどり市教育長),石原亨夫氏(みどり市文化財課長),小菅将夫氏(岩宿博物館長),安蒜政雄氏(明治大学文学部教授),風間信隆氏(明治大学博物館長),島田和高氏(明治大学博物館学芸員)が参列し,複製の石器を使ったテープカットも行われました。

日韓旧石器文化交流事業
石壮里博物館2013年特別企画展

「日本旧石器の始まり“岩宿”」

■会期:2013年7月15日~2014年2月2日
■会場:石壮里博物館特別展示ブース
■主催:韓国石壮里博物館・日本岩宿博物館・日本明治大学博物館
■主管:韓国石壮里博物館・日本岩宿博物館
■石壮里博物館:韓国忠清南道公州市金碧路990 

石壮里博物館石壮里博物館

石壮里博物館表門石壮里博物館表門

石壮里博物館の常設展示石壮里博物館の常設展示

重要文化財の開梱重要文化財の開梱

重要文化財の展示作業重要文化財の展示作業

特別展「日本旧石器の始まり“岩宿”」(1)特別展「日本旧石器の始まり“岩宿”」(1)

特別展「日本旧石器の始まり“岩宿”」(2)特別展「日本旧石器の始まり“岩宿”」(2)

特別展「日本旧石器の始まり“岩宿”」(3)特別展「日本旧石器の始まり“岩宿”」(3)

特別展「日本旧石器の始まり“岩宿”」(4)特別展「日本旧石器の始まり“岩宿”」(4)

開幕式典:風間明大博館長のスピーチ開幕式典:風間明大博館長のスピーチ

開幕式典:複製石器で“テープカット”開幕式典:複製石器で“テープカット”

左より:風間館長,李畯遠公州市長,尾﨑みどり市教育長,安蒜明大教授左より:風間館長,李畯遠公州市長,尾﨑みどり市教育長,安蒜明大教授