瓦が語る歴史—前場幸治瓦コレクションの名品-
国内の個人収集瓦コレクションとしては屈指の内容で知られる前場コレクションの代表的な資料を紹介します。稀少な文字瓦の例として知られる「大伴五十戸」銘をもつ神奈川県千代廃寺の瓦(奈良時代)のほか、秀吉が築いた大坂城の金箔瓦など様々な瓦資料から日本の歴史をたどります。服部英龍『西郷隆盛南洲翁兎狩図』(1885)など、瓦以外の資料も展示します。
主催 |
明治大学博物館 |
共催 |
明治大学文学部史学地理学科考古学専攻 |
会期 |
2025年5月29日(木)~7月16日(水) |
会場 |
明治大学博物館 特別展示室 |
開館時間 |
平日 10:00~17:00(最終入場16:30)
土曜 10:00~16:00(最終入場15:30)
休館 日曜・祝日
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料金 |
無料 |
<主な展示内容>
〇日本の瓦の始まり・飛鳥時代の瓦
日本の瓦生産は、国内最古の寺院・飛鳥寺(6世紀)から始まります。前場コレクションでは、奈良県の山田寺、藤原宮の瓦のほか、古代の行政単位「五十戸」が記された神奈川県千代廃寺の文字瓦などがあります。
〇国家の一大プロジェクト・国分寺の造営
聖武天皇が発した天平13(741)年の国分寺建立の詔により、全国60カ所にのぼる国分寺の建設が始まりました。前場コレクションには陸奥(岩手県)から大隅(鹿児島県)まで各地の瓦があります。信濃(長野県)、上総(千葉県)、常陸(茨城県)各国分寺の瓦には平城京とよく似た文様をもつものがあり、技術者の派遣など中央政府の関与を示しています。
〇天下統一と瓦
安土・桃山時代になると瓦で屋根を飾った近世城郭が登場します。そのはしりとなったのが織田信長の安土城であり、天守をはじめ各建物に大量の瓦が用いられました。豊臣秀吉が築いた大坂城の「金箔瓦」は、文様の面に漆を塗り金箔を重ねた豪華なものです。
〇鬼瓦
鬼瓦は屋根の棟の端に設置された装飾用の瓦です。飛鳥時代は蓮華文や鳳凰文でしたが、奈良時代の後半から鬼や獣が表現されるようになり、魔よけの意味合いを持つようになりました。前場コレクションには近世・近代を中心に約200点があり、江戸時代からは鬼以外に家紋・梵字・縁起物や防火を意味する水のモチーフなど様々なバリエーションが生まれました。