Go Forward

金山秋男編著『日本人の魂の古層』



『日本人の魂の古層』
金山秋男編著
居駒永幸、岩野卓司、中沢新一著
B6判・仮フランス装・192ページ・本体2,600円+税
ISBN 978-4-906811-17-5
2016年3月刊行

丸善出版HP明大サポートHPからもお買い求めいただけます。

書評・その他
・『明治大学広報』692号に書評が掲載されました。
・『出版ニュース』2016年5月中・下旬号で紹介されました。
『山梨日日新聞』2016年5月15日号ほか、共同通信系各紙で紹介されました。

内容紹介

柳田國男、折口信夫が生み出した民俗学は、いまどこへ行こうとしているのか。日本人の死生をめぐる諸観念(金山)、谷川南島論のもつ射程(居駒)、宮沢賢治と石原莞爾のユートピア観の差異(岩野)、心の古層に対するアプローチと21世紀の民俗学の可能性(中沢)などを論じ、さまざまな角度から日本人の心の奥底に眠っている〈他界〉の位相、〈異界〉の倫理を照射する意欲作。
目次

まえがき  金山秋男

第1章 常世の思想  金山秋男
 現世と他界/双分された世界のほころび/山中他界/海の彼方の他界/〈他界—現世—死者の国〉の循環/「常世」と「ニライカナイ」の違い/南信州の「踊り神送り」/歩いてゆける「他界」/補陀落渡海/「日本」を超え、「ヤポネシア」へ

第2章 魂の還る処  民俗学者、谷川健一さんとの対話  居駒永幸
 谷川健一と短歌/「ヤポネシア」とは何か/宮古島の神とまれびと論/複合的な世界観/宮古島の神と森を考える/柳田国男と折口信夫/「あかるい/明るい冥府」/魂はどこへ還っていくのか

第3章 石原莞爾から宮沢賢治へ  古層をめぐって  岩野卓司
 石原莞爾と宮沢賢治/国柱会とは何か/田中智学の「八紘一宇」/石原莞爾『最終戦争論』/「最終戦争」とは何だったのか/宗教に支えられた「最終戦争」/ドリームランドとしての岩手県/異界との交流/神羅万象すべて仏/人間は世界の中心ではない/「本当の幸福」を求めて/犠牲と贈与/自己犠牲と他力

第4章 〈古層〉の探りかた  中沢新一 聞き手=編集部
 深沢七郎の言語道断さ/モノの延長としての人間/民俗学が扱えるより前の〈古層〉/〈古層〉の見分けかた/柳田國男と折口信夫の仕事/民俗学を賦活する/吉本隆明の南島論/天皇論/古層ソフトを開発せよ!

索引

編著者紹介

金山秋男(かねやま・あきお)
明治大学法学部専任教授、明治大学死生学・基層文化研究所代表。1948年、栃木県生まれ。東京大学大学院博士課程修了。著書に『歎異抄』(致知出版)、『「生と死」の図像学』(至文堂)、『巡礼——その世界』(風間書房)、『人はなぜ旅に出るのか』(風間書房)、『生と死の東西文化史』(方丈堂出版)、『古典にみる日本人の生と死』(笠間書院)。

著者紹介

居駒永幸(いこま・ながゆき)
明治大学経営学部専任教授。1951年、山形県生まれ。國學院大學大学院博士課程修了。著書に『古代の歌と叙事文芸史』(笠間書院)、『東北文芸のフォークロア』(みちのく書房)、『歌の原初へ 宮古島狩俣の神歌と神話』(おうふう)、共著に『古典にみる日本人の生と死 いのちへの旅』(笠間書院)、『日本書紀[歌]全注釈』(笠間書院)。

岩野卓司(いわの・たくじ)
明治大学法学部・明治大学大学院教養デザイン研究科教授。1959年、埼玉県生まれ。専門は思想史。パリ第四大学哲学科博士課程修了。著書に『ジョルジュ・バタイユ 神秘経験をめぐる思想の限界と新たな可能性』(水声社)、『贈与の哲学 ジャン=リュック・マリオンの思想』(明治大学出版会)。

中沢新一(なかざわ・しんいち)
明治大学研究・知財戦略機構特任教授、野生の科学研究所所長。1950年、山梨県生まれ。東京大学大学院 人文科学研究科 博士課程満期退学。著書に『チベットのモーツァルト』『森のバロック』『カイエ・ソヴァージュ』全5巻、『アースダイバー』『芸術人類学』『野生の科学』『日本文学の大地』など多数。