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伊藤氏貴『美の日本—「もののあはれ」から「かわいい」まで』



『美の日本—「もののあはれ」から「かわいい」まで』
伊藤氏貴著
四六判・上製・236ページ・本体2,300円+税
ISBN 978-4-906811-23-6
2018年3月刊行

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書評その他
・『静岡新聞』2018年8月26日号に書評が掲載されました。
・『出版ニュース』2018年7月中旬号に書評が掲載されました。
・『図書新聞』2018年6月2日号に書評が掲載されました。
・『中國新聞』『北海道新聞』2018年5月13日号に書評が掲載されました。
・『西日本新聞』2018年5月11日号に書評が掲載されました。
・『明治大学広報』715号に書評が掲載されました。
・『週刊読書人』2018年5月4日号に書評が掲載されました。
・『東京新聞』『中日新聞』2018年4月29日号に書評が掲載されました。

内容紹介

「かわいい」の源流をさかのぼる
1862
年のロンドン万博から昨今の「クールジャパン」に至るまで、日本は海外の国々に対して、「日本的なるもの」を売りにしてきた。それらはすべて日本的な「美」に関わるものだった。
しかし、その「美」とはいったい何なのか。また、その中に、時代を超える〈日本〉などありうるのだろうか。本居宣長が、岡倉天心が、そして川端康成から大江健三郎に至る文学者たちが、〈日本〉を幻視したときに取り出した「美」を求め、「もののあはれ」から「かわいい」に至る概念を審問に付す戦略的文藝批評、あるいは「日本美」の考古学。

目次

はじめに——百五十年前のクールジャパン 

序 章 「日本美」の可能性  

第1章 岡倉天心と美の日本——「日本美」の特徴と属性   
1 日本のアイデンティティとしての美意識  
2 「日本美」の重層性  
3 『茶の本』と〈日本〉の美意識の属性  

第2章 「もののあはれ」——「日本美」の可能性と不可能性     
1 「もののあはれ」は「美」の一種か  
2 「もののあはれ」とはなにか  

第3章 本居宣長の「もののあはれ」と「やまとごころ」   
1 宣長と「もののあはれ」  
2 文藝と「もののあはれ」  
3 「もののあはれ」と「やまとごころ」  
4 「もののあはれ」と〈日本〉  

第4章 幽玄・わび・さび——大西克礼と西洋的「日本美」   
1 「幽玄」  
2 「わび」  
3 「さび」  
4 「幽玄」「わび」「さび」の関係  
5 大西克礼と「日本の美学」  
6 大西克礼の「あはれ」「幽玄」「さび」  

第5章 「いき」——九鬼周造と恋の美学   
1 生きている「いき」?  
2 『「いき」の構造』の構造  
3 「いき」の構造  
4 「本質」から「構造」へ  
5 「いき」と〈日本〉  
6 「いき」の現在

第6章 「かわいい」か「うつくしい」か——四方田犬彦と「日本美」の現在
1 「かわいい」と「うつくしい」
2 「かわいい」の属性

終 章 美しくあいまいな日本——川端康成と大江健三郎の〈日本〉

あとがき

著者紹介

1968年千葉県生まれ。明治大学文学部文芸メディア専攻准教授、文芸批評家。早稲田大学第一文学部文芸専修卒業。日本大学大学院修士課程修了。1998年「告白の文学性、あるいは文学の告白性——近代日本文学を中心に」で芸術学博士(日本大学)。明治大学専任講師を経て、2012年より現職。2002年、「他者の在処」で、第45回群像新人文学賞評論部門受賞。著書に、『告白の文学』(鳥影社)、『奇跡の教室:エチ先生と『銀の匙』の子どもたち』(小学館)。