2025年02月04日
書評その他
内容紹介
「かわいい」の源流をさかのぼる
1862年のロンドン万博から昨今の「クールジャパン」に至るまで、日本は海外の国々に対して、「日本的なるもの」を売りにしてきた。それらはすべて日本的な「美」に関わるものだった。
目次
はじめに——百五十年前のクールジャパン
序 章 「日本美」の可能性
第1章 岡倉天心と美の日本——「日本美」の特徴と属性
1 日本のアイデンティティとしての美意識
2 「日本美」の重層性
3 『茶の本』と〈日本〉の美意識の属性
第2章 「もののあはれ」——「日本美」の可能性と不可能性
1 「もののあはれ」は「美」の一種か
2 「もののあはれ」とはなにか
第3章 本居宣長の「もののあはれ」と「やまとごころ」
1 宣長と「もののあはれ」
2 文藝と「もののあはれ」
3 「もののあはれ」と「やまとごころ」
4 「もののあはれ」と〈日本〉
第4章 幽玄・わび・さび——大西克礼と西洋的「日本美」
1 「幽玄」
2 「わび」
3 「さび」
4 「幽玄」「わび」「さび」の関係
5 大西克礼と「日本の美学」
6 大西克礼の「あはれ」「幽玄」「さび」
第5章 「いき」——九鬼周造と恋の美学
1 生きている「いき」?
2 『「いき」の構造』の構造
3 「いき」の構造
4 「本質」から「構造」へ
5 「いき」と〈日本〉
6 「いき」の現在
第6章 「かわいい」か「うつくしい」か——四方田犬彦と「日本美」の現在
1 「かわいい」と「うつくしい」
2 「かわいい」の属性
終 章 美しくあいまいな日本——川端康成と大江健三郎の〈日本〉
あとがき
著者紹介
1968年千葉県生まれ。明治大学文学部文芸メディア専攻准教授、文芸批評家。早稲田大学第一文学部文芸専修卒業。日本大学大学院修士課程修了。1998年「告白の文学性、あるいは文学の告白性——近代日本文学を中心に」で芸術学博士(日本大学)。明治大学専任講師を経て、2012年より現職。2002年、「他者の在処」で、第45回群像新人文学賞評論部門受賞。著書に、『告白の文学』(鳥影社)、『奇跡の教室:エチ先生と『銀の匙』の子どもたち』(小学館)。