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瀬川裕司著『物語としてのドイツ映画史—ドイツ映画の10の相貌』



『物語としてのドイツ映画史—ドイツ映画の10の相貌』
瀬川裕司著
四六判・上製・420ページ・本体3,400円+税
ISBN 978-4-906811-29-8
2021年3月刊行

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書評その他

・『 週刊読書人』2021年6月25日号に書評が掲載されました
・『キネマ旬報』7月上旬号に書評が掲載されました
・『図書新聞』7月31日号(3506号)に掲載されました

内容紹介

長年にわたりドイツ映画研究に携わってきた著者による、新しいかたちの映画史の試み。
従来の映画史の書籍では、創生期から現在までを何らかの特徴でまとめられる時代ごとに区切り、人名や作品名を挙げて総括していくという方法、いわば歴史を〈横切りする〉形式で書かれることが多かった。しかし歴史には、〈縦切り〉をおこなうことによって興味深い〈物語〉が浮かび上がってくるという面もある。たとえば、成功を収めたのちも地位に安住せず、新しいスタイルやジャンルに挑戦し続けた監督の人生を追うこと。あるいは一国における特定のジャンルが長い歳月のうちに変化した様子を、社会背景を視野に入れて観察すること。こうした作業によって映画史は、〈横切り〉だけでは見えにくい相貌をあらわにするはずだ。
ドイツ語の「Geschichte」やフランス語の「histoire」に〈歴史〉と〈物語〉の意味があるように、ほんらい〈歴史〉とは〈物語〉の積み重なったものである。ドイツでは、スクラダノフスキー兄弟、ルービチ、ムルナウ、ラング、リーフェンシュタール、シュタウテ、コイトナー、ヘルツォーク、ファスビンダー、ヴェンダース、ペッツォルト、アキンといった個性的な顔ぶれが、レッテルを貼って整理することの難しい、多種多様で魅力的な映画群を生み出してきた。本書は、ドイツ映画とその歴史の全貌を人間くさい〈物語〉の集合体ととらえ、〈光と闇の神話〉、〈背景としての首都ベルリン〉、〈冷戦と東西ドイツ映画〉といった斬新なテーマを設定したり、わが国ではあまり知られていない人物の半生や、映画人同士が刺激を与え合ったことによるジャンルの展開等に注目したりすることによって、大きな〈物語〉として提示しようとするものである。
各章は、それぞれが独立した読みものとして構成されており、最終章ではドイツ映画の最先端の状況についてもくわしく紹介されている。特に予備知識のない読者でも、他国にないドイツの映画のユニークさとはどういったものか、どのような社会的背景または社会の変化のもとにそういった作品群が成立したかを大まかに把握できるだろう。各章のあいだには、楽しい情報の盛りこまれた九つのコラムも所収されている。

目次

第1章 ドイツ映画の誕生物語
第2章 ドイツ映画と〈神話的なもの〉
第3章 戦前のドイツ映画における首都ベルリン
第4章 ファシズム政権下の〈異国映画〉
第5章 冷戦と東西ドイツ映画
第6章 〈挫折〉と〈俗悪〉の美学
第7章 ファスビンダーとラープ
第8章 ヴェンダースとハントケ
第9章 ドイツ映画はヒトラーおよびナチ時代をどう描いてきたか
第10章 2000年以降のドイツ映画

編著者略歴

明治大学国際日本学部教授。専門はドイツ文化史・映画学。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。横浜国立大学教育学部専任講師、同助教授、明治大学理工学部助教授、同教授、ベルリン自由大学客員研究員を経て2008年より現職。文学博士。

主な著書

 『ナチ娯楽映画の世界』、『ビリー・ワイルダーのロマンティック・コメディ』、『『新しき土』の真実』、『『サウンド・オブ・ミュージック』の秘密』、『映画講義 ロマンティック・コメディ』(以上、平凡社)、『美の魔力 レーニ・リーフェンシュタールの真実』(パンドラ、文化庁芸術選奨新人賞)、『映画都市ウィーンの光芒』(青土社)、訳書にヘルムート・カラゼク『ビリー・ワイルダー 自作自伝』(文藝春秋)、ハンス・ツィシュラー『カフカ、映画に行く』(みすず書房)、ダニエル・ケールマン『世界の測量』(三修社)他多数。2003年ドイツ政府フィリップ・フランツ・フォン・ジーボルト賞受賞。