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研究所研究費採択課題詳細 2006年度

高校生に対する心理教育プログラムのニーズ調査とその実践に関する研究

研究課題名 高校生に対する心理教育プログラムのニーズ調査とその実践に関する研究
研究所名 人文科学研究所
研究種別 個人研究
研究概要 (研究実施計画)
 小・中学校における心理教育プログラムでは,総合的な学習の時間を中心として,これらの教育に多くの時間を充当することが可能であった。しかしながら,高等学校においては,それに類する時間は確保されておらず,これらの教育を実践する上でそれほど多くの時間を割くことは難しいと予想される。また,あまりにも多くの時間を必要とするようでは,多くの高等学校に普及させていく上での障害にもなる。海外においても,可能な限り少ない時間で最大限の教育効果をあげることができるようなプログラムを開発することが,最近の研究テーマのひとつとなっている。
 2005年度に実施した高校生とその教師に対する心理教育プログラムに関するニーズ調査の結果から,以下のようなことが明らかになった。
(a)生徒も教師も,「ストレス」に対する基本的な知識は備えているが,特にストレス対処方法を中心として,ストレスを上手にコントロールするための方法を身に付けたいという要望がある。
(b)友人関係ストレス場面においても学業ストレス場面においても,教師は生徒に「努力」「気晴らし」を中心とした対処行動を推奨しており,生徒もそれに沿った対処行動を実際に行なっている生徒が多い。
(c)友人関係ストレス場面では,「問題の価値の切下げ」の対処行動をしている生徒ほど,全般的にストレス反応が低い傾向にある。また,誰かに相談することの多い生徒は,「抑うつ・不安」傾向が高い。さらに,それほど関連性が高いわけではないが,「気晴らし」をすることが多い生徒ほど「無気力」傾向が高い。
(d)学業場面においては,誰かに相談する傾向の高い生徒ほど,ストレス反応が高い。また,学業を原因としストレスの高い生徒ほど,「気晴らし」対処をとる傾向が高い。
 この結果をふまえて2006年度には,高校生や高校教師のニーズが高く,かつ精神的健康度への影響力の高い要因を中心として,心理教育プログラム開発の専門家や高校教師と打ち合わせ,助言を得て,高校生向けの心理教育プログラムの指導案および教材を作成する。また,作成した指導案に基づいて,ストレスマネジメントを中心とした心理教育を実践し,その効果について,行動的・認知的側面を含めた多面的な評価を行い,本プログラムを広く普及させていくために必要とされる情報を幅広く収集するとともに,その機会を増やしているための方策について検討することを計画している。
研究者 所属 氏名
  文学部 教授 岡安孝弘
研究期間 2005.4~2007.3
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