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特定課題研究ユニット詳細 2006年度

先端半導体研究所

研究所名 先端半導体研究所
研究課題名 半導体プロセス並びに評価技術と新しい機能デバイスへの応用
研究所概要 (2006年度の研究実施概要)
1.光通信用光源素子としてAlNおよびAlGaAsに希土類ErとYbを共添加した試料を作製し,その発光特性と結晶性の評価を行った。その結果Ybの増感作用による発光強度の増大および熱処理温度による結晶の回復が得られた。環境に優しい安価な発光素子としてSi基板上にナノクリスタルSi,Ge膜を作製し,その発光特性を調べた結果,紫・青・緑・赤の発光を得た。

2.アモルファスあるいは多結晶無機薄膜を用いたキャリヤ注入発光デバイスを目指し,有機正孔輸送性材料とn型ZnSの積層デバイス,有機電子輸送性材料とp型のカルコパイライト薄膜の積層デバイスを評価した。この中で,特にCuAlS2と有機電子輸送性材料を組み合わせた素子から明確なキャリヤ注入・接合領域での再結合発光を観測した。

3.新たに開発した擬似線状光源を有するUV-ラマン分光装置を開発し,最表面5nmの領域の歪を空間分解能200nm,分解能0.03cm-1で測定することが可能となった。本装置を用いて,高性能LSIにおける性能向上効果,LCD表示装置に用いるレーザアニール他結晶シリコンの,面内および深さ方向の歪と結晶性の分布評価,次世代MOSトラジスタ用誘電体膜の界面構造の評価を行い,それぞれ高性能化への指針を得た。

4.計算機ホログラムを用いたスキミング防止用チップの試作に取り組み,その結果,EB描画により,石英基板に計算機ホログラムを透かしこんだ2値画像を描画することに成功し,He-Neレーザによる秘密情報抽出にも成功した。

5.近赤外光イメージング装置(NIRS)は,微弱な近赤外光を人間の頭皮上から照射することによって脳表面の血流変化を安全に計測する装置である。本装置によって,課題遂行時の人間の脳の活動特性を調べることができ,人間の高次脳機能の解明およびその工学的応用に貢献できる。2006年度は近赤外光イメージング装置を導入し,セットアップと動作確認および予備的な実験を行った。

6.LSI配線プロセスの種々の配線欠陥について,電気化学的手法や有限要素法解析,その他の解析手法を用いて,原理を解明する。2006年度の主な研究概要は次のとおり。(1)CMP時の付加応力がCu/low-k構造に及ぼす影響を,有限要素法で評価,予測し,構造指針を提案。(2)カソードルミネッセンス(CL)法を用いたLSI構造材料の微小場応力測定と妥当性の検証。

7.水を用いた高圧噴射技術は,切断加工をはじめ,精密部品・半導体装置・ガラス基板等の洗浄などに用いられ,洗浄剤を用いない環境負荷が小さい技術であることから,その応用分野は多岐にわたる。今回,100℃以下の低温形成が要求される電子デバイス分野への応用を想定し,Si基板表面に高圧純水を照射した場合のSi表面の酸化,照射ダメージを定量化し,MOSデバイス特性の評価を行った。その結果,室温で絶縁破壊電界強度が,12MV/cmと良好な酸化膜が形成できることを確認した。

8.高変換効率(~10%以上)が期待される高効率熱電変換材料Mg2Si:シリサイド環境半導体を高品質・省プロセス化が期待されるダイキャスト結晶育成法により合成し,その基礎物性・応用物性・工業用製造プロセスを体系的に調査・検討し,当該Mg2Siによる早期熱電変換素子モジュールの実用化を目指す。

9.陽極化成法を用いた簡易型MOS太陽電池の製作を行った。DLTS,α-STEP,SEM写真観察,C-V測定などにより,膜厚,膜質を調べた。その結果,最大短絡電流は35mA/cm2まで増加した。この成果を応用物理学会で報告した。また,フォトリソグラフィー法を用いて膜形状を変える実験も行った。
研究者 所属 氏名
  理工学部 教授 植草新一郎
  理工学部 教授 中野鐐太郎
  理工学部 教授 松本皓永
  理工学部 講師 三浦登
  理工学部 講師 加藤徳剛
  理工学部 講師 嶋田総太郎
    客員研究員 木村正和
研究期間 2004.4~2009.3
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