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震災等復興活動

宮城県名取市の海岸林再生に係るボランティア活動に参加して

2018年12月05日
明治大学 震災等復興活動支援センター

水はけをよくするための溝 (溝切り後の様子)水はけをよくするための溝 (溝切り後の様子)

海岸沿いに植栽されたクロマツ海岸沿いに植栽されたクロマツ

クロマツの植栽地で見られたキツネの巣穴クロマツの植栽地で見られたキツネの巣穴

 東日本大震災の被災地である宮城県名取市において,本学学生がボランティア活動を行いました。活動の様子について寄稿がありましたのでご紹介いたします。
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 海岸林再生プロジェクトは,東日本大震災による津波で失われた宮城県名取市のクロマツの海岸林を復活させることを目指し,公益財団法人オイスカさんにより立ち上げられたプロジェクトです。昨年このプロジェクトにボランティアとして参加してから,以降継続的に活動に参加することを決め,今回で3回目の活動となりました。今回も貴重な体験をすることができましたので,ご報告いたします。

 今回は昨年と同様に,8月の活動に参加して参りました。その日,オイスカさんにより80名のボランティアの募集がかけられていましたが,参加したのは私を含めた20人程度のボランティアでした。今回の活動は,ツルマメ刈りと溝切りという作業が中心でした。ツルマメ刈りは,クロマツに絡みついたツルマメという植物を取り除く作業で,腰をかがめた状態での作業です。溝切りは,土壌の水はけを良くするために,植栽されているクロマツの間に溝を掘る作業で,スコップでひたすら土を運び続けます。どちらも体に負担のかかる作業であり,さらに夏の暑さも相まって,体力的に非常に厳しい活動となりました。私は体力があまりないため,徐々に作業効率が落ちてしまい,考えていたよりも役に立つことができませんでした。しかし,ボランティアの方は,社会人や現地のご年配の方がほとんどでした。体力のある男性もおられましたが,やはりより多くのボランティアそして若者の力が必要であると再認識しました。

 海岸林の植栽場では貴重なものを目にすることができました。キツネの巣穴です。オイスカさんによれば,子ギツネの姿も確認されており,その巣穴でキツネが子育てをしていたとのことでした。これは子育てに必要な餌が取れるようになったということであり,海岸林再生活動を通して,生き物が戻りつつあるのだ,と現地の方も喜ばれていました。海岸林再生活動はクロマツの防風林を復活させるためだけでなく,海岸林に生息していた生き物の生活の場所を取り戻し,生態系を復活させるための活動でもあるのだということを実感することができました。そして,このプロジェクトに関わってきたすべての方の努力が実を結びつつあることを目にすることができ,とても嬉しかったです。

 海岸林再生活動は,自然を相手にした活動であり,忍耐強く取り組むことが必要です。少しずつでも一人ひとりの努力の成果が積み重なって,海岸林の再生に結びついていくのだと思います。体力的に大変なこともありますが,だからこそ多くの方の協力が必要だと,今回改めて感じました。私一人の力はとても小さなものですが,友人に声をかけたり,自身も引き続き活動に参加したりして,今後も海岸林再生のためにできることをやりたいと思います。

                                    農学部3年
                                    高瀬 仁美