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明治大学黒川農場

【黒川農場】小沢聖特任教授が2020年日本農業工学会賞を受賞しました

2020年11月06日
明治大学 農学部事務室

小沢特任教授と受賞盾小沢特任教授と受賞盾

黒川農場の小沢聖特任教授が2020年日本農業工学会賞を受賞し、10月31日にWEBで授賞式がありました。
 

 受賞対象となった研究業績は、「作物反応を活用した環境制御技術の開発」です。小沢特任教授は、亜熱帯の父島と石垣島で合計22年半、寒冷地の盛岡で10年間、研究機関に勤務し、一貫して、エネルギー利用に頼らずに作物反応を活用して高温、低温による作物被害を軽減する環境制御技術の実用化研究に従事してきました。
 一連の研究では、根の機能向上のための根圏環境改善と、夜の作物反応が共通した着目点です。この1例として、深さ数㎝の溝底に播種、定植する「溝底栽培」は、根圏地温の日変化が抑制されるため、高温、低温の双方に有効です。
 高温対策では、東北地方の夏播きホウレンソウ、関東地方の夏播きニンジンなどに利用されており、中国の乾燥地、タイの乾期でも効果が実証されています。低温対策では、寒冷地の冬の葉菜類の無加温ハウス栽培を可能にし、「寒冷地野菜栽培のための微気象改善技術“溝底播種法”の開発とその普及」で日本農業気象学会普及賞を受賞しています。さらに、収穫サイズに達した葉菜類を、ハウスを開放して低温の外気に暴露して収穫物の味と栄養価を高める技術「寒締め栽培」を確立し、普及に尽力しました。
 現在、寒締め栽培は、東北地方の冬の収入源として定着しています。一方、早夜間にも作物が栄養塩を吸収するピークがあることを検証し、養液土耕栽培で高温被害を軽減するために昼の培養液供給を水に換え、早夜間に高濃度培養液を供給する高温対策制御技術を開発しました。
 この成果は、明治大学に異動後に開発した養液土耕栽培支援システム「ゼロアグリ」のICTを利用した自動制御に組込まれています。