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明治大学比較法研究所

明治大学比較法研究所主催講演会『障害者権利条約が保障する障害者の権利実現が与える国内法へのインパクト』を開催しました

2021年11月18日
明治大学

講師 崔 栄繁 氏講師 崔 栄繁 氏

 11月16日(火)に明治大学法学部比較法研究所主催による講演会『障害者権利条約が保障する障害者の権利実現が与える国内法へのインパクト』(企画・司会:西元宏治教授)がオンラインにて開催されました。
 認定NPO法人DPI日本会議の崔 栄繁(さい たかのり)氏を講師として迎え,当事者団体・障害者を雇用する企業や教育機関の担当者を含め学内外から延べ40名以上の参加がありました。

 講演の冒頭では,2006年の国連総会での「障害者権利条約」採択と2014年の日本による批准に至るまでの背景と経緯の解説,そして,その条約採択の意義が「障害の社会モデルの採用による障害者を保護の客体から権利の主体に転換したことにある」ことが指摘されました。
 次いで,条約の規定に基づく権利実現について,条約機関である障害者権利委員会による一般的意見や各締約国に対する総括所見を参照し,国内法制度の整備及び運用に関する検討が行われ,日本における国内実施について,国内人権機関の設置,差別解消法や障害雇用促進法の改正や実施のフォローアップの必要性,成年後見制度の見直しなど,職場,公共施設・交通,また教育の場など日本社会の各方面における権利実現に向けた課題が提起されました。

 講演後の質疑応答では,条約の前提である「障害の社会モデル」の意義や障害をもつ学生への「合理的配慮」の在り方について疑問や意見が寄せられました。
 なお,DPI日本会議の協力によって,当日の講演は日本語字幕付きで配信されました。

【講師 崔 栄繁 氏】
認定NPO法人DPI日本会議 議長補佐
明治大学法学部比較法研究所 客員研究員
独立行政法人JETRO アジア経済研究所 外部委員
関西大学政策創造学部 客員教授
明治学院大学 非常勤講師

【認定NPO法人DPI日本会議】
 1981年の国際障害者年を機に,障害のある人の権利の保護と社会参加の機会平等を目的に,シンガポールで国際障害者運動のネットワークとして結成された,DPI(Disabled People's International)の日本国内組織として1986年に発足。現在DPIには,130ヵ国以上が加盟し,DPI日本会議には,身体障害,知的障害,精神障害,難病等の障害種別を超えた94団体が加盟(2021年8月現在)。