刑事部門 Criminal Materials

刑事部門の前身となる刑事博物館は、1929年に、法学研究において実物実見を重視する立場から、日本の江戸時代・明治初期の刑罰関係の道具や古文書を収集する博物館として設立されました。戦中に活動を停止しますが、戦後活動を再開し、以後は刑罰関係の道具の収集から離れて、明治立法史関係文書と日本近世法律文書を収集対象としました。近世法律文書とは、法律を生み出す社会そのものを広く見据えたもので、村や町、武士や大名の文書も対象にし、その充実した収蔵資料からは多くの優れた法制史、日本史研究が生み出されてきました。
常設展示室では、現在の法と刑罰を考えるために、過去の法と刑罰を理解することを目的とし、各時代の法令や刑罰関係の道具を展示しています。特に江戸時代の裁判と刑罰については多くのスペースをとって、犯罪がどのように裁かれ、どのように処罰されたのかを具体的に解説しています。

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日本の罪と罰



日本の各時代の代表的な法令を展示している。何を罪とみなすか、その罪にどのような罰を与えるかは時代によって変化する。唐の律令を参考に作成された律令、武家の台頭と武家法の出現、下剋上の時代と分国法、幕藩体制が生み出した幕府法など、法は国家の統治理念を反映するもので、それぞれの時代の社会体制と深くかかわって作りだされた。
鎌倉時代の基本法である「御成敗式目(ごせいばいしきもく)」、駿河国の戦国大名今川氏の家法である「今川仮名目録(いまがわかなもくろく)」、江戸幕府が諸大名に対して出した「武家諸法度(ぶけしょはっと)」などを展示している。

江戸時代の法と刑罰



時代小説や時代劇で、江戸時代の犯罪捜査や裁判について見た事があるという人は多いだろう。では、実際にはどのように行われていたのだろうか?法制史研究の成果にもとづき、逮捕、取り調べ、裁判、刑罰までの流れを解説する。
「十手」や「刺又(さすまた)」などの捕者道具、「人相書(にんそうがき)」や「御仕置令類集(おしおきれいるいしゅう)」などの古文書資料の展示とともに、過去にあった残酷で非人間的な拷問や刑罰を批判的な視点から回顧するため、拷問や刑罰に関わる道具の複製品も展示している。

さまざまな刑事博物



江戸幕府から明治政府に体制が変わると、法制度や刑罰も変化した。明治初期の刑罰の変化を死刑に関する規定から紹介する。
新しい裁判所を描いた錦絵や、明治初期に使われた刑罰の道具の展示とともに、日本の刑罰を相対化するため、欧州における刑罰思想や諸外国の刑罰に関わる資料も展示している。
動画(7分54秒)