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社会連携・社会貢献

明治大学・和歌山県新宮市連携講座 熊野学フォーラム第6弾「 熊野VS.科学 ふるえる脳を救うもの」を開催しました

2013年01月25日
明治大学

 1月13日(日)に第6回熊野学フォーラムを開催しました。本事業は,2006年に取り交わされた協定をもとに,毎年講座の内容を新宮市・明治大学双方で協議し,首都圏在住者に、熊野地域の自然・歴史・文化をはじめ世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」について理解を深めてもらうために実施するもので、今回も1000名を超える申し込みがありました。なお、今回社会連携機構初の試みとして、フォーラムの模様をUSTREAMでライブ配信しました。
 2月上旬より、i Tunes U でも公開しています。

 講演に先立ち明治大学を代表して,藤江昌嗣副学長・社会連携機構長から社会連携機構の取り組みについて紹介があり「受講生の皆様にはご自身の思い、生き方を考える素晴らしい時間となるよう願う」旨、また、田岡実千年新宮市長が「熊野学」への思いを述べ「多数のご来場を感謝すると共に是非素晴らしい熊野を訪れて下さい」と各々挨拶がありました。
 開講スピーチは宗教学者の山折哲雄氏が「熊野の火祭りはイザナミノミコトの魂を癒すため、祟りを回避するために村共同体の若衆宿の若者たちが支えた」と仮説をたて「熊野の奥に墜落しよう」と題した思いを語りました。また、日本史研究家の圭室文雄明治大学名誉教授は「遊行廻国する『生き仏』に映る熊野」と題して、江戸時代の特に熊野巡礼が単なる宗教活動によるものではなく経済活動と密接に繋がっていたことを具体的事例に基づき講演しました。引き続き、特別講演では、宗教人類学者の植島啓司氏が「石が万物のおおもと、石は人の精神の仕組みに何らかの関わり影響与えたに違いない」と語り「石の力」と題し講演、また、脳科学者の茂木健一郎氏は「脳の進化の道筋はいまの文明とは全く違う。脳には文明世界では全く使っていない、呼び覚まされず眠っている古層、本能みたいなものがあり、これをバランスよく使い癒しを得る事が出来る。辛い時代の今こそ古層を掘り起こすときだ」等として、人間と自然の遠大な関係を「永遠の故郷のクオリア」を演題にして話されました。
 最後のパネルディスカッション(『熊野円座』)は山折氏をコーディネータとして、各氏がパネリストとなり神仏習合、神仏混淆、廃仏毀釈、神道、キリスト教、民族、文化、クオリア(冷たい、まぶしいと感じる質感)、無常、阪神淡路大震災、東日本大震災等について話し合う『熊野学実験室』が展開された。受講生からは、神社仏閣に参拝するということは自分の心を整えることである、古層を掘り起こすために熊野に行きたい、内容が多岐にわたり多くの気付き、学びを得た、充実した時間を過ごせたとの声が寄せられました。
 講座終了後は「交流の夕べ」が開催され、100名を超す皆様が講師を囲んで和やかな内にも熱気あふれる懇談、懇親会となりました。