2024.11
明治大学の女子学生数の推移
学術・社会連携部博物館事務室
大学史資料センター担当
阿部裕樹
本稿では、明治大学が設置する学部に入学した女子学生数の推移を簡単に紹介する。1929(昭和4)年に設置された専門部女子部や、女子部の後身にあたる1950(昭和25)年設置の明治大学短期大学の女子学生は、もちろん学園としての明治大学の同窓生に変わりはないが、今回は対象としていない。
1881(明治14)年開校の明治大学の学部に、初めて女子学生が入学したのは1932(昭和7)年のことである。前記・女子部の第1回卒業生57名のうちの15名が法学部に入学した(当時の女子部卒業生は学部1年次に入学したため、文字どおり「入学」と表記する)。以後も10名前後の規模で女子部卒業生の学部入学が続いた(『明治大学短期大学五十年史』)。当時、女子学生の入学を認めていた旧制大学は、明治大学を含めごく僅かで、明治大学の場合は、その入学要件を女子部卒業生に限定していた。なお、旧制明治大学が設置していた学部は法・商・政治経済学部で、すべて昼間課程である。当時の明治大学の学部学生数は、3000名前後だったので、仮に女子学生を1学年10名、当時の学部は3年制であるので30名とすると、女子学生の比率は1%となる。
明治大学は、1949(昭和24)年度より、学校基本法に基づく新制大学を発足させた。このときから、明治大学が設置する学部への入学要件に男女差はなくなった。学部も、従来の法・商・政治経済学部に加えて文・工・農学部が増設された6学部体制となり、農学部を除く5学部には夜間課程も設置された。学部については、いずれも昼間課程のみで1953(昭和28)年に経営学部、2004(平成16)年に情報コミュニケーション学部、2008(平成20)年に国際日本学部、2013(平成25)年に総合数理学部が増設されている。
学部への入学要件に男女差がなくなったとはいえ、明治大学への進学を志す女子学生数が急に増えたわけではなかった。明治大学の学生数の推移は表のとおりである(夜間課程を含む)。明治大学で女子学生数が5,000名を超えるのは1990(平成2)年、10,000名を超えるのは2015(平成27)年である。男女比の割合でみると、1983(昭和58)年に初めて女子学生数の割合が10%を超え、1997(平成9)年に20%を超え、2010(平成22)年に30%を超え、2010年代後半になると35%前後で安定して推移している。女子学生数、男女比ともに、おおむね増加(上昇)傾向であることが読み取れる。
ちなみに、明治大学短期大学から明治大学の学部に編入する(新制課程において短期大学から学部に入学する際、所定の単位数を満たすことで学部3年次編入となるため「編入」と表記する)女子学生数は、1960年代後半~80年代前半にかけておよそ100名前後、1980年代後半に130名前後、1990年代になると150名を超える年も見られた(『明治大学専門部女子部・短期大学と女子高等教育』)。