重要文化財 岩宿遺跡出土石器 打製石斧(左)/局部磨製石斧(右)明治大学博物館所蔵
東京国立博物館平成館企画展示室の会場入口(筆者撮影)
2026.7
明治大学のお宝紹介
~未来の国宝があります~
~未来の国宝があります~
明治大学史資料センター運営委員
市川園子(情報メディア部メディア支援事務長)
明治大学博物館が収蔵する岩宿遺跡出土石器40点(国指定重要文化財)が、東京国立博物館における特別企画「ビフォー縄文 旧石器時代発見80周年」として展示されている(展示期間は2026年6月16日から同年8月23日まで)。館蔵の岩宿遺跡出土石器が東京国立博物館で展示されるのは、特別展「日本の考古学-その歩みと成果-」(1988年)以来、38年ぶりとのことで、大学の歴史の中では何度もない名誉であり、貴重な機会であるだろう。
大学と文化財をキーワードとする大きなニュースとしては、2026年3月に慶應義塾図書館所蔵の「論語疏 巻第六」が国宝に指定されたことが挙げられる。世界最古の紙の『論語』写本は6月に慶応義塾史展示館内の一室において10日間限定で一般公開される機会があった。国宝公開ということもあり、一人あたりの鑑賞時間は長くないのだがひっきりなしに学内関係者を中心とした観覧者が訪れており、室内には監視員が常時着席して十分な留意がなされている様子であった。
この国宝が慶應義塾に入ったのは2016年に神保町の古書店からの連絡がきっかけとのことで、重要文化財指定からわずか一年で国宝指定となった。筆者が前職の立場から想像するに、たとえ古書店から本学に声がけがあったとしても、図書館は別として、商品・刑事・考古の三部門のコレクション体系には合わないとの判断で購入に至ることはないだろう。だから羨望はあっても、残念な気持ちは起きない。本学の博物館が所蔵する重要文化財指定された資料が、研究が進んで世界的に見ても特に価値が高いと判断される日が来ることを待ちたい。
さて、日本に「国宝」の概念が生まれたのは明治時代になってからである。現在施行されている文化財保護法(1950年制定)第2条の中で、建造物、絵画、彫刻、工芸品、書跡・典籍、古文書、考古資料、歴史資料が有形文化財と定義される。同法第27条では、文部科学大臣は、我が国にとって歴史上又は芸術上価値が高く重要なものは重要文化財として、重要文化財のうち世界文化の見地から価値が高いもので、たぐいない国民の宝たるものを国宝に指定することができる、とされている。
本学には国宝の所蔵はないが、考古部門において冒頭の岩宿遺跡出土品(旧石器時代)を含めた重要文化財5点を館蔵(うち1点は寄託品)している。考古部門は1952年に考古学陳列館として開館し、1985年の考古学博物館への改称を経て、2004年に明治大学博物館考古部門となり今に至っている。1950年の文学部考古学専攻の発足以来、75年以上にわたる明治大学の考古学研究の調査研究の成果であり戦後の日本考古学の発展を促した重要資料を所蔵し、展示公開しており、明治大学博物館の看板である。重要文化財に指定されている資料の2点目は埼玉県所沢市にある砂川遺跡出土品(旧石器時代)、3点目は神奈川県横須賀市にある夏島貝塚出土品(縄文時代)、4点目は栃木県佐野市にある下野出流原遺跡出土品(弥生時代)である。5点目の茨城県所有の同県行方市にある三昧塚古墳出土品(古墳時代)は寄託品である。それぞれ教科書で勉強されたご記憶があろうかと思う貴重な考古資料である。
お読みいただいた方が、大学がもつ「国宝」や「重要文化財」がきっかけとなって日本の美術や文化の素晴らしさ、歴史の偉大さに思いを寄せる機会となり、明治大学博物館や明治大学史資料センター大学史展示室をご訪問いただいたり、明治大学デジタルアーカイブをご覧いただいたりすることに繋がれば幸いである。
【参考文献】
佐藤道生(2020)『論語疏』──中国6世紀写本の出現と公開
(最終閲覧日2026年6月16日)
【展覧会開催告知記事】
岩宿遺跡出土石器が東京国立博物館で展示されます(明治大学博物館HPより)
(最終閲覧日2026年6月16日)
国宝指定記念「論語疏巻第六」特別展示(福澤諭吉記念 慶応義塾史展示館HPより)
(最終閲覧日2026年6月16日)
【お勧めサイト】
考古部門 Archaeology(明治大学博物館HPより)
明治大学デジタルアーカイブ

