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ジェンダー法センターの歩み

1 ジェンダー法センターの始まり

ジェンダー法センターは、2006年に発足しました。初めは、大学から現在もセンターとして使用している部屋を与えられましたが、それ以外の備品や人員、そしてセンター用の予算も与えられませんでしたので、角田が私的に準備しました。RA(リサーチ・アシスタント)には、幸いに修了生の名取克也さんが当たってくれましたので、部屋の管理、図書の整理、リサーチなどを担当してもらいました。センターの蔵書は角田が提供したジェンダー関係のものが中心でした。貸出ができるように整え、ジェンダー法の受講生に利用を呼びかけましたがあまり活用はされませんでした。

2 センターとしての活動

(1)2010年3月まで
上記のようなスタートだったので、センターとして独立した事業を行うには至らなかったというのが、当時の状態でした。ただ、この間、学生の勉強のサポートや学外のジェンダー問題に関する学生の研究会に部屋を提供するなど、側面からの支援は行ってきました。たとえば2008年12月には、RAの名取さんがジェンダー法学会で個人報告を行いました。

(2)2010年4月から2013年3月まで
2010年度以降は、RAを法科大学院が配置してくれることになり、RAが在室している時間に、学生に図書の利用や学習相談のための来室を勧めました。
2012年6月には、当センター主催で「法と文学シンポジウム——<法>と<文学>の関係を問い直す」を開催しました。これには情報コミュニケーション学部ジェンダーセンターが共催、法学部が後援として参加し、ジェンダーとも関わりの深い「法と文学」を、法学関係者のみならず様々な人々に伝えることができました。

3 センターの意義について

当初は、ジェンダー法を学習する学生のために参考資料の提供をしたり、勉強会の場所を提供したりできると考えていましたが、「ジェンダーと法」の受講生も授業以外の時間を費やす余裕がないのが実態のようです。したがって、学生中心の活用は困難を抱えています。法科大学院は研究者の養成を行っているわけではありませんし、ジェンダー専門法曹という実務家の存在も考えにくいと言わざるを得ません。たとえば弁護士として、ジェンダーを専門分野にすることが経済的に成立するかは難しい問いです。ただ、実務家になったあとのいわゆる継続教育の場としては需要があると考えます。そこで今後は、実務家向けのセミナーなどを主催することなどで、ジェンダー法特有の役割を果たしていければ良いと思っています。
ジェンダー法センターの運営の難しさは、医事法などと違い、ジェンダー法はすべての法分野に関係しており、それだけで独立した学問あるいは実務分野として成立しうるのかという根本的問題に起因しているのではないかと思います。