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名物研究室・授業紹介

研究室紹介

地球の姿に物理から迫る

地球内部物理研究室  【新名良介】



 地球内部の構造と進化を、物理学を基に研究しています。私たちが住む地 球は誕生から46億年間、ダイナミックに変動してきました。地球内部の変動はしばしば私たちの住む表層環境に重大な影響を与えますので、地球内部を 理解することは、生命の進化と持続可能性を考える上でも大きな意義を持っています。地球内部の構造はどうなっているのか?どのような過程を経て現在の 生命を宿す地球へと進化していったのか?そういった疑問に答えるために、私たちの研究室では、高圧力発生装置、放射光X線、分光測定、ナノスケール微細加工装置、電子顕微鏡などさまざまな実験・測定手法を用い、地球内部環 境における物質の性質を研究しています。得られた実験結果と観測データを組み合わせ、地球の過去と未来の姿を明らかにすることを目指しています。 

セラミックの新現象や異常物性を探索し、量子ビームでそのメカニズムを解明

量子個体物性研究室  【安井幸夫】

赤外線加熱炉。2100℃まで昇温させることができ、セラミックの大型単結晶を育成させることが出来ます。 超伝導マグネットによる最高9T(テスラ)までの高磁場中において、1.9Kから400Kまでの比熱・磁化率・電気抵抗・ホール係数が全自動で測定できます。

 この研究室ではセラミックの一種である金属酸化物の可能性に注目し、磁性や電気特性に絡んだ現象を中心に、新しい物性現象や異常物性を示す面白い物質を探索しています。物性が未知の物質を取り上げ、まず試薬を混ぜて電気炉で加熱し金属酸化物の多結晶試料や単結晶試料(上図)を合成します。

 次に合成した試料の低温や高温さらには磁場中での磁性・電気特性・誘電特性・熱特性等を測定して新奇で面白い物性を示すものがあるか調べます(下図)。面白い物性を示す物質を発見した際には、X線や中性子線といった量子ビームを利用した実験により、もっと詳しくその試料の物性を調べます。X線レントゲンを使えば体を傷つけることなく体内の様子が分かるように、試料にX線や中性子線を照射して散乱される様子を調べれば、物質内部の様子(原子の動きや原子配列、スピン配列など)を知ることが出来ます。この原子レベルの情報を利用して、発見した新しい物性現象のメカニズムを解明していきます。

 一緒に研究を進める学生達には、自分の力で未知の試料を合成する苦労と喜びを味わい、さらに世界初の実験データを自らの手で測定する興奮を感じて欲しいと思います。

授業紹介

神秘に満ちた現代科学を支える屋台骨

量子力学1・2  【楠瀬博明】



 量子力学誕生以前の物理学は、力学・電磁気学および熱力学を柱とする統一的な体系により自然現象を理解していました。しかし、原子や分子などの微小な粒子が活躍するミクロな世界への扉が開かれたことにより、これまでの科学的思考とは全くかけ離れた記述体系が必要となってきました。日常生活により培われた常識とは相容れない抽象的な理論体系にもとづく量子力学は、その神秘性とは対照的に、最先端の物理学や現代および未来のテクノロジー社会を支える重要な要素となっています。本講義では、神秘的な現象の代表例であるトンネル効果や量子力学誕生の契機となった水素原子の取り扱い、さらには、物性科学・化学における重要概念でもあり、また、量子コンピュータの基礎要素にもなっているスピンについて深く学びます。

物理学、それは自然との対話

物理学実験1~ 4 【立川真樹、平岡和佳子、菊地淳、鈴木隆行】





 物理学とは自然科学のひとつであり、自然のあらまし、その背後に潜む法則を解明しようとする学問です。自然を対象にするため、自然現象を詳細に観察したり、自然に対してこちらから働きかけた結果を調べたりすることが必要不可欠です。これは自然の声に耳を傾け、こちらから語りかけるという意味で「自然との対話」です。大昔の夜空の星の動きや弦をつまびく音の観測も、現代の最新の測定器やコンピュータを用いた計測も根源的には同じ「自然との対話」です。物理学科の2・3年次では専門的な物理実験を学びます。自転車をこいで人間の仕事率を測る力学的なテーマから、電気回路、放射線、光学、電磁気、熱力学、電子顕微鏡、量子的な実験まで多くの分野のテーマが揃っており、「自然と対話」するさまざまな方法を習得できます。
生物物理学序論 【平岡和佳子】



生物物理は、生命の営みについて、物質科学的な原理と、さまざまな階層構造の原理原則を追求します。この序論では、生命の基本について物理や化学の知識で理解できるところから丁寧に学習を始めます。生命現象を支える生物物理の習得は、医療や情報分野をはじめ、私たち人間を中心としたさまざまなシステム・技術の発展に大きく貢献することでしょう。
熱力学 【光武亜代理】



 「温かさや冷たさとは」、「熱とは」、「熱と仕事の関係は」、など、熱力学では、巨視的系の熱的性質を記述する普遍法則を学びます。また、身近な巨視的体系の具体的な性質や現象を扱いながら、内部エネルギー、エントロピー、自由エネルギーなどの概念を導入し、微視的な立場から巨視的性質を理解する統計力学を学ぶための基礎になります。

社会に役立つ技術を開発するには理学的な考え方が必要不可欠

基礎物理学実験  【鈴木秀彦】





 「基礎物理学実験」は、理工学部の1 年生全員を対象とした必修科目です。この授業では、「体積の測定」「ヤング率と音速の測定」「金属の融点の測定」「電圧、電流、抵抗等の測定」「空気の屈折率の測定」「スペクトル線の測定」といった基本的なテーマを取り上げ、その現象をわかりやすく理解するための実験を行っています。
 たとえば「体積の測定」では、“物差し”の一種である「ノギス」と、「マイクロメータ」を使って、実際に物を測定します。“ 物差し” の使い方というと非常に簡単なことだと思われるかもしれませんが、副尺の読み方、有効数字の扱い方など、器具を正しく使うためにはルールを理解しなければなりません。これを知らないと、物を測定するときに正しい値が出せません。あるテーブルと同じものをつくろうとしても、測定した値が間違っていれば同じものにはならないのです。
 また、視覚的に物理現象に触れることのできる実験もあります。「ヤング率と音速の測定」では、コルクの粉末を敷き詰めて密閉したガラス管を用いた「クントの実験」を行います。この管内の空気を振動させると、空気の振動がコルクの粉末に伝わり、音波の形が現れます。
 このように、各自が実験装置に直接ふれ、測定を行いながら物理の基本を学ぶのが基礎物理学実験の目的です。自分の手で行った「実験」を通じて物理現象を「見て」「体感する」ことは、理系の考え方の根幹を成す非常に大切なことです。ものづくりの現場では、技術職でも営業職でも専門知識があるだけではいい仕事はできません。ものごとの本質、理論を理解してこそいい仕事ができる。基礎物理学実験は、「理学と工学の融合」という概念の土台をつくる授業といっていいでしょう。
理工学部