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明治大学ボランティアセンター

【生田ボランティアセンター】学生が中学校にてエネルギー・環境に関する授業を行いました

2022年12月22日
明治大学 ボランティアセンター

 2022年11月18日(金)、川崎市立枡形中学校にて エネルギー・環境ワークショップが行われ、学生が中学生に授業を行いました。

 川崎市立枡形中学校は、総合学習としてエネルギー・環境教育に取り組み続けて20年目になります。毎年11月にワークショップが行われ、10数の企業・団体が出前授業を行っています。2020年から明治大学の学生も参画しています。全校生徒が30人前後に分かれて体験や実習を交えながら学びを深めています。
 
 この出前授業を行うボランティアを募集したところ、8名の理工学部・農学部の学生が集まりました。今年度はすりおろし人参とオキシドールを混ぜて飛ばす野菜ロケットの発射実験を行うことに決めました。授業や実験実習の合間をぬって、ミーティングや実験の精度を高めるための試作を繰り返しました。
 
 当日は学生3名が中学校に赴きました。限られた資源の有効利用や新たな利用価値についての講義と、ニンジンの皮部分と芯部分とで野菜ロケットの飛距離や反応時間に有意差がでるかを生徒自身が確かめる実験を行いました。

 
 

ボランティア学生の声(1/4)
                           農学部2年 西村洋輝
実験内容決め:「生徒に環境教室で影響を受けて主体的なSDGs活動につなげてもらいたい。」という理想と、安全性や簡便さ、1時間半という条件の中で行わなければいけない現実。案も複数出たが、理想と現実の両方を満たすものはなかなか見つからないまま時間が経ち、一時は空中分解しそうになった。単に科学実験を行うだけでは科学への興味で終わってしまい、かといってSDGsを前面に出すと講習会のような形になってしまう。最終的には派手で面白みのありそうな野菜ロケットの案が採用された。終わって考えるとこれは正解だったと思う。実験やワークは純粋に生徒に楽しんでもらいつつ、まとめの段階で直接言葉で伝えた方が生徒に伝わると思う。その時は学校生活と絡めて話すと身近に感じてもらいやすいと感じた。

実験内容の細かい設定:野菜ロケットの実験原型は既にネットにある段階からスタートした。しかし準備できる器具が違うのでそれに合わせて、ロケットの飛距離が長くなるように、誰がいつ実験しても正確に結果が出るように、細かい設定を調整した。野菜の種類、にんじんの部位、すりおろし方、発射装置、試料の重さや体積、発射の仕方、オキシドールをあけてからの時間などなど挙げればきりがないほどに試行錯誤した。結果的に当日でも満足できる結果となった。今回の活動の中で一番時間をかけて行った段階だが、「ここを変えたらどうなるかな。」とチームで協力しながら実験したのはとても面白かった。終わって考えるとそこまで実験の正確性はこだわらなくてよかったかもしれないと思った。グループ間での結果の差異を気にする時間もないこともそうだが、大きく予想からずれなければ伝える趣旨に影響しないからだ。

学校との打ち合わせ、連絡:学校との打ち合わせが二週間前くらいにあるが当日の流れのイメージがつかめるのでとても重要。そのイメージをもとに綿密な計画をたてた。先生方はとても協力的なので、実験のためと思ったことは遠回しにではなく、直球で発言した。他の機関の社会人と接する機会で緊張したが、先生方の話し方や行動が社会人として洗練されていたので緊張以上に刺激を受けた。普段から先生と生徒の関係でしか接してこなかったが、私が他団体の代表として対面してみてその凄さを実感した。

当日に向けての資料準備:私たちが作ったのは方法説明スライド、ワークシート、まとめスライド、タイムスケジュールの4つ。私たちの場合、方法説明に関しては細かい過程まで書いて、方法をすべて説明してから実験に入った。しかし、情報量が多いと生徒はあまり読まないし、方法を説明してから時間たつと忘れてしまうので、重要な流れだけ書いてあとは講師が生徒の近くで直に同時に教えた方が効果的だと感じた。そして、これは方法説明とタイムスケジュールなど当日の流れに関して言えることだが、一度行う行動すべてを入念に想定して資料を作っておくと当日焦らない。必要なもの、危険性、効率性、時間、役割分担、手順の視点から多面的に考え、今までの計画では見落としていた穴が浮き彫りにされる。私たちも数多くの変更点、追加事項が浮上した。作った資料自体ではなく、資料作りを通じて想定する過程がとても重要だと感じた。まとめのスライドに関しては、基礎的なSDGsについては学校教育で実施済みだと思うので、時間をかけると生徒が飽きてしまうかもしれない。調べればわかる知識というよりかは、大学生ならではの経験に基づいた生きた言葉が必要かと思う。

当日の流れ:大方計画通りに行えた。ただ、完璧な計画が練れたと思っても実際に行うと必ずズレも生じるので、手順を変更して臨機応変に対応することが求められた。講師一人一人が今必要なことを把握し、目的を見失わないことが大切だと感じた。

生徒と接して:最初のうちは向こうも年の差でかたくなっていたから、積極的に話しかけるように努力した。中高の部活で後輩にアドバイスしてきた経験が活きた気がしてうれしかった。実習が終わって一目散に出ていく生徒もいたけれど、片付けを手伝ってくれた生徒もいて今回の活動のやりがいを感じた。ただ実験の理想、生徒に熱意をもって良い影響を与えようと試みたが、課題を早く終わらせたくてワークシートを書くのに夢中な生徒を見て少し悲しい気持ちになった。うなずいて聞いてくれる生徒もいたので何人かにでも響いたらと思う。

学生間のやり取り:人数は少なかったが、その分学生一人一人が責任をもって活動に取り組んだし、意見の違いもより良いものをつくるための糧とした。実験内容決めは出会って最初の方ということもあり、それぞれの意見に対してそこまで踏み込めなかった気がするが、そこは勇気をもって批判点を挙げる必要性を感じた。活動を重ねていくうちに自分の意見もどんどん気兼ねなく言える関係になった。最終的にチームで一つの目標を協力して達成し、その喜びを共有できてうれしかった。当日実習が終わって大学にもどるとき、夕日の下でつくづくそう思った。

活動を通じての成長:この活動は企画、学校との連絡、準備、実習の一連の流れを大学生の力で行う。チームの一員として活動することもそうだが、条件に縛られている中で企画をねったり、様々な視点から考慮した現実味のある計画をたてたり、生徒や先生方の前で発表することなど、どこをとっても貴重な経験で人として成長できると思う。何より、活動で関わる人の層が年齢、性別、職種関係なしに、多様な人々と接する機会がもてるという点が魅力的。ボランティアの良いところは、この経験を無料で行えて、なおかつ社会貢献というやりがいも感じられるところだと思う。教職を目指す人だけでなく、私のように経験を目的に取り組みたいという人にも勧められる活動だと思う。

全体の感想:この活動に参加して心から良かった。準備段階で困難さを感じつつも、それを乗り越えて実習が成功したことに達成感を感じて。生徒の何気ない行動にやりがいや喜びを感じて。社会人の方に刺激を受けて。活動全体を通じてその時々で多様な色の感情が味わえた。「何かに取り組むときは全力で。」。努力が必要だけれど、その方が楽しいし、成長できる。そう実感した活動だった。

 
ボランティア学生の声(2/4)

                       理工学研究科M1 星野雅貴

 僕がこの環境教室ボランティアをやってみて、まず、なかなかうまくいかないと思ったことはボランティアの内容自身ではなく人員を集めることでした。最初の方はある程度メンバーが集まっていたのですが、次第にミーティングに集まる人数が減っていき最終的には自分一人とはならなかったもののかなり少人数になっていました。ただ来なかった人が全くやる気がなかったというわけではなく、僕自身も反省するところがあります。例えば

・ミーティングの時間設定に関して毎回アンケートを取って多くのメンバーが来やすい時間に設ける。

・ミーティング等になるべく多くのメンバーに来てもらえるように声かけやリマインドを多くする。

・オープンチャットやミーティングの際に全員が会話に参加できるように話を振るなどメンバー間での雰囲気をよくする。

というような点が挙げられました。

 このようなことをもっと初期の段階からこまめにやっていれば、多くのメンバーが欠けることなく、楽しくボランティアをやれていたのではないかと思います。

何はともあれ、残ってくれたメンバーでボランティアを進めていって、多少山あり谷ありではあったものの「野菜ロケット」という実験内容までは決まりました。ただこの野菜ロケットという実験に対して話し合うべき課題として浮き彫りになったのが「環境・エネルギー問題に対しての解決策」というワークショップのテーマとの関連性が薄いことでした。最初はこの野菜ロケットはバイオマスエネルギーないしはフードロス問題との関連性が高い実験だと思っていたのですが、細かい部分を詰めていくうちに

・そもそもこの実験内容は環境・エネルギーというテーマに適しているのか?

・この実験を一回の授業きりでなく授業後も子供達が環境問題・エネルギー問題に参加しようという意識を持てるようにするにはどうしたらいいか?

などの課題が挙がってきました。テーマとの関連性などの問題についてはこじつけのような案も何個か挙がりましたが、子供に授業するのにこじつけはまずいということで出た案を少しずつ改良し、その都度問題はないかを確認していったり、実験内容の方を多少変えていったりすることで最終的には「子供のフードロス及びその他の再利用可能な廃棄物の問題に参加しようとする態度や姿勢を育む」という形で解決しました。この時は実験当日までとにかく時間がなくて焦っていましたが子供達に授業をするなら少なくともここだけは妥協できないと思い諦めず考え続けていました。

 ワークショップを1週間前に控えた予備実験では最初の方は不本意な結果しか得られずなかなかに焦っていました。しかし、この授業はある程度の確率で成功しないと子供たちに伝えたいことの意味が薄れるという授業でしたので、成功する可能性をあげなければならないという不退転の覚悟で何度も何度も条件を変えて実験を行なっていました。この時にはすでに結構メンバーの思いが一つになっていて楽しかったです。

 自分は実験当日にはどうしても外せない用事があって参加できなかったので体験談としてかけるはこのくらいです。拙い文章だったかもしれませんがここまで読んでくださりありがとうございました。


ボランティア学生の声(3/4)                             

農学部3年 O

 私がこのボランティアに参加した理由は、環境というテーマで中学生と関わることができることに魅力を感じたからです。また、ボランティア活動自体が私自身の中でとても久しぶりだったため、純粋にボランティアしたい!と思ったのもひとつの理由です。

 今回のボランティアは、約2か月前から実験のテーマと授業の構成を考え、試作実験と打ち合わせを繰り返しながら当日ギリギリまで準備をしました。残念ながら私自身の都合で試作実験やミーティング等にあまり参加できず、終わった今振り返るとそれがとても悔しく感じています。今回行った実験が実験者による小さな誤差ややり方の違いによって結果が大きく変わってしまう恐れがあったのです。試作実験に参加できなかった私は、他のメンバーと比べて実験に慣れておらず、授業全体の構成や進行を考える上でそれが妨げとなることが多くありました。今後ボランティア活動に参加する際は準備段階から積極的に参加したいと思いました。

 当日は実験準備約30分、実験約40分、講義約20分という構成で授業を行いました。事前準備段階で不安が残っていた実験に関して、本番はとてもうまくいきました。正直こんなにもうまく実験が進むと思っていなかったので大変驚きましたが、実験がうまく進んだおかげで実験後の講義がとても効果的なものとなり、とても満足しています。中学生も楽しそうに実験に取り組んでいて、その様子を見ているだけでも「ここまで頑張って準備してきてよかったな」と思うことができたと共に私たちも純粋に楽しむことができました。

 今回のボランティアを通して、ボランティア活動の楽しさや達成感を改めて感じました。分野や対象に関わらずこれからもボランティア活動に積極的に参加していきたいと強く思いました。


ボランティア学生の声(4/4)                     
 

 理工学研究科M1 M.S.

  今回の活動期間中、子どもたちが楽しく学びになるような実験内容を考え、何度も試作と実験を重ねていきました。その結果、実験において生徒に学んでほしいことと楽しんでほしいことの両方が、狙い通りに伝わってくれたことがとても嬉しかったです。

 準備段階では、生徒の興味を引く内容だけでなく、彼らの安全面などを考慮しながら準備にあたりました。我々にとってはさほど目新しいものではなくても、生徒たちにとっては全てが新鮮で、それゆえに予測できない行動をとることも考えられます。どんなことが予測されるかを全員で考え、その対策をしっかりと講じることができたことが、今回の成功の要因の一つだったのだろうと思います。また、将来働く上でも、これだけきめ細やかな注意を払わなければならないという経験ができたという点で、とても有意義な時間でした。

 当日、いざ生徒の前に立った時は、自分の専門科目を教えるわけではないことからか、緊張していました。しかし、いざ始まってみると、生徒が夢中になって人参をすりおろしていたり、ロケットが飛んだ瞬間の歓声だったりと、私たちの想像をはるかに超える生徒たちの豊かな反応が見られ、それまでの緊張や不安が嘘だったかのように、その場を楽しめるようになっていました。実験を進める中で、周囲の班と結果が異なったり、うまくロケットが飛ばなかった班もあり、全てが想定通りとはいきませんでした。そういった班の生徒たちへの対応やリカバリーは、想定が甘かった部分でもあり、少し曖昧になっていたと思います。今後はもっと対応力を身につけていきたいと思いました。

 このような貴重な機会を与えてくださり、多大なサポートをしてくださった枡形中学校の先生方、真剣に実験に取り組んでくれた生徒の皆さんに感謝申し上げます。

 
お問い合わせ先

生田ボランティアセンター

045-934-7547

Email:mvcikuta#meiji.ac.jp(#を@に置き換えてください)