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情報化ビジョン詳細

背景と位置づけ

 大学において教育、研究、各種業務を実施するうえで、コンピュータ、情報端末、通信ネットワーク抜きに進めることはできなくなっている。本学では、1990年代に各種情報システムの整備に着手し、それ以降、ITを利用する業務領域は着実に拡大してきた。近年では、インターネットの急速な普及とそれを背景としたサービスや端末の発達により、日常生活、社会環境の中でのITの重要度も高まっている。企業ではITの利活用やデジタル革新が業績の浮沈を分ける重要な経営課題となってきた。

大学においても教育、研究さらには大学経営の中でITの利活用を適切に進めていく必要がある。大学を取り巻く環境も変化しており、対応すべき課題が山積しているが、AI時代に対応した人材育成、教育の質保証、事務効率化とコスト削減、エビデンスベースの大学経営等多くの課題でITが実現の鍵を握っている。

 このような背景を踏まえ、本学は2019年度に『明治大学情報化戦略』を策定した。今般、次期中期(2026-30 年度)を想定し情報化戦略の見直しを行った。本情報化戦略は、ITが果たすべき将来像を情報化ビジョンとして示し、その実現に向けて施策を掲げ、それらを実行していくためのプログラムとロードマップへの流れを取りまとめたものである。情報化戦略の推進により、長期ビジョン、グランドデザイン、中期計画の実現を支援することを目的としている。情報化戦略を策定するうえでは、現状のITの利用・運用・開発・管理における問題をレビューするとともに、長期ビジョン、グランドデザイン、中期計画で掲げられた将来像、施策でITが果たすべきものを明らかにした。

本情報化戦略は、次期長期ビジョン・中期計画のIT関連箇所策定の基礎となる。また、プログラム、ロードマップに関しては、長中期計画書、単年度計画書策定の指針となるものであるが、環境変化、進捗に照らしながら詳細化されることを想定している。

情報化戦略のビジョン体系

 情報化の役割は、法人・大学の運営を支えることであり、その最終的なミッションは、「長期ビジョン・グランドデザイン・中期計画の実現支援」である。
 情報化のあるべき機能・役割を情報化ビジョンとして策定するにあたり、本学の情報システムをマネジメント・基盤系・コミュニケーション系・教育系・研究系・法人系の6つの領域に分類した。マネジメントは情報化ビジョンを遂行・実現するための管理制度・組織体制・人材を対象とし、基盤系・コミュニケーション系は、ネットワークやデータベース等の基盤的役割を担う情報システム、教育系・研究系・法人系は、教務事務システムや財務システム等の各部門が利用・活用する情報システムを対象としている。マネジメントをベースとし、情報化のミッションを達成するために各領域で実現すべき情報化ビジョンの体系を下図に示す。



今回策定する情報化戦略では、これまでの情報化ビジョンを踏まえつつ、次の3点を中核的な考え方として位置付け、取組を一層強化・加速していく。
 ① 業務とITが連動した改革の徹底
 ② 大学全体に蓄積される情報資産の利活用の加速
 ③ 統合マネジメントと分散推進を組み合わせた推進体制の確立
 
以下、マネジメントから法人系までの各領域について、情報化ビジョンの詳細及び実現に必要な施策についてまとめた。

情報化ビジョンと施策

1. マネジメント

(1) CIOによる情報化戦略策定とITガバナンスの推進

 システムを含む情報環境整備への投資は、本学の学修活動・教育研究活動・日常業務の遂行だけでなく、法人経営・教学のビジョン実現に大きく寄与する要素の一つである。
情報化戦略の統括責任者である外務担当理事(CIO)のもと、情報化戦略策定とITガバナンスを推進する。併せて、ITに対する本質的な理解と中長期的な見通しを持ち、法人の長期ビジョン・教学のグランドデザインと連携、整合させた本学の情報化戦略を策定し、その実施を管理する(施策①)。
 また、情報化戦略に基づくプログラムおよびプロジェクトの策定、実施、管理を統括するために、CIO支援の体制を強化する(施策②)。そしてこれらを実現するために、情報化戦略策定・調整・監理のための部門横断の機関として情報化戦略協議会を設置し、各情報関連機関(情報基盤本部、教育の情報化推進本部、IR運営委員会等)との連携を強化する。
 これにより、本学の情報化戦略を推進するとともにIT投資の最適化を実現していく。

(2) 統合マネジメントと分散推進による業務改革・IT改革の推進体制

 現状の業務にあわせてシステムを構築、カスタマイズすることで、業務の効率化が進まず、運用保守にかかる負荷やコストが増大してしまう傾向にある。
ITを導入する際は、経営層の強いコミットメントのもと、組織全体の観点から業務改革とIT改革を連動させる推進体制を構築・運用する。業務フローの見直しおよび業務の標準化を徹底し、パッケージの活用とカスタマイズの抑制を図るとともに、業務・IT両部門を横断したプログラムおよびプロジェクトを導入する(施策③)。さらに、業務改革・IT改革に関わるプロジェクト業務を適切に評価する仕組みを整える。
 業務部門においては、業務改革手法・業務知識・ITスキルを併せ持ち、業務改革を主導する人材を各部署に育成・配置し、現場主導で業務プロセスの見直しやシステムを運用する「分散推進」を強化する。一方、情報部門は、全学的な視点から情報基盤の企画・管理およびガバナンスを担う「統合マネジメント」の中核として、生成AIやノーコード開発ツール等の共通基盤を整備・提供し、分散的な取組と全体最適の両立を図る(施策④)。あわせて、ルーティン業務の外注化やサポートデスクの活用など、部門内の業務効率化を推進する。
 これにより、IT導入のコストや運用管理の負荷を軽減させ、業務全体の効率化やIT導入効果の最大化を図っていく。

(3) デジタル人材の育成

 高度化・複雑化するIT環境のもとでは、単なるITスキルの習得にとどまらず、ITを活用して業務改革を推進できる人材を含め、役割に応じたデジタル人材の育成を体系的に進めることが求められている。
各部署においては、教務・財務・人事等の業務知識とともにITスキルを併せ持つ人材の育成を進め、生成AIやデータ分析、ノーコード開発ツールを活用しながら、現場の課題を主体的に解決できる体制を構築する。あわせて、業務プロセスの再設計を主導できる人材を育成し、各部署における業務改革の分散推進を図る。
 一方、情報部門においては、ネットワークやセキュリティ等の基盤技術を担う人材や、システム全体を設計・統括できる人材について、キャリアパスを明確化し専門性を高めるとともに、業務部門と連携した全学的なデジタル人材育成を推進する(施策⑤)。
 これにより、職員全体の基礎的なIT活用力から、業務改革を牽引する人材、情報基盤を支える専門人材まで育成し、大学全体の業務改革力とデジタル活用力の向上を実現していく。
 

(4) 情報セキュリティマネジメントの推進

 サイバー攻撃や情報漏洩などの脅威が高度化・多様化し、大学を取り巻く情報セキュリティリスクは年々増大している。
情報セキュリティ関連規程の整備と遵守状況の点検を進め、適正な運用を推進する。定期的な評価や監査、インシデント対応訓練、リスクアセスメント手法の導入等により、規程の実効性を担保し、社会情勢や技術動向に応じた機動的な見直しを行うとともに、情報セキュリティ技術・運用を担う人材の育成を進める(施策⑤)。また、シャドーITによるリスクを抑制するため、情報メディア部が全学的な情報セキュリティ統制の中核として、新規システムやサービスの導入を把握・管理できるプロセスを確立し、リスクの可視化と全体最適なセキュリティ対策の立案につなげる(施策⑥)。
 これにより、教育・研究・業務を支える情報基盤の安全性と信頼性を確保し、大学運営の継続性および社会的信頼の維持・向上を図る。

2. 基盤系

(1) システム全体の最適化

 本学のシステムは、近年の更新を通じてパッケージやクラウドサービスの活用が進んでいる。一方で、業務に応じたカスタマイズやオンプレミス環境のシステムも併存しており、構成の多様化に伴う運用管理の複雑化やコストの増加が課題となっている。
 今後は、既存システムを含めて全体を俯瞰した設計と更新計画を行い、現状の更新のタイミングやシステム間の区分けにとらわれず、機能および提供サービスを精査するとともに、最適な分割・統合を検討して実現していく(施策①)。
 これにより、管理運用コストの最適化とシステムの進化を同時に実現していく。

(2) 大学資産としてのデータ蓄積と活用支援

 データは組織の共有財産である。システムに利用されるデータは、継続性をもって蓄積していくことが重要である。
 大学の教育・研究・業務活動の記録をデジタル化し、データとして蓄積して、必要な時に取り出せる環境を整備する(施策②)。データ基盤については、クラウド上のデータ基盤を中心に整備することで、拡張性・可用性および利活用の柔軟性を高める。将来的には、AIによる分析や高度な意思決定支援への展開も視野に入れたデータ基盤の構築を目指す。
 蓄積データについては、プライバシーや個人情報保護等、学内外の各種法令を順守し、安全に提供できる仕組みを整備する。データの利活用にあたっては、システム的な権限制御のみでなく、利用ルールの定義と利用者教育を含めた周知・啓発を強化し、適切なデータガバナンスの確立を図る。
 これにより、データが教育・研究・業務のさまざまな場面で有効に活用されることを支援していく。

(3) システム間連携・データ共有の最適化

 複数のシステムが稼働する中で、システム間のデータ連携・データ共有は、運用の安定性を確保し、データ分析や業務の高度化を進めるうえで重要な要素である。
 マスターデータを一元化し共有データベースを整備して、システム間のデータ連携を可能な限り自動処理とする(施策③)。また、システム間の接点となる共有データベースは、適切な管理と計画的な運用を行う。あわせて、データ連携や分析の高度化を見据え、全学的なマスターデータ管理の考え方を整理し、整備を進める。
 これにより、システム間連携の信頼性を高め、データの有効活用を支えていく。

(4) 迅速なサービス導入および可用性・拡張性の高いシステム環境の実現

 オンプレミス型中心で構成されるシステムでは、定期的な機器更新やカスタマイズのコスト、管理リスク等の問題を内包する。
 今後のシステム整備にあたっては、新規システムの構築や更新時にクラウドサービスの利用を第一に検討する「クラウドファースト」の考え方を基本方針として推進する。可用性、導入の迅速性、拡張性の観点からクラウドサービスを積極的に活用するとともに、学内ネットワークとクラウド環境については、安全かつ柔軟に連携できる接続基盤を整備する。あわせて、クラウド利用ガイドラインに基づき、情報の重要度や特性に応じて適切なクラウドサービスを選択できる環境を整備する(施策④、⑦、⑧)。
 これにより、可用性・拡張性の高いシステム環境で、適切なサービスを迅速に提供することを実現していく。

(5) 柔軟なネットワーク環境による多様な利用シーンの支援

 ネットワーク環境は、クラウドサービスの活用や多様な端末・利用場所からの接続等、学内外に広がる本学構成員の利用形態に対応する必要がある。一方で、利用形態の多様化に伴い、ネットワークを介したセキュリティリスクも増大している。
 今後は、ゼロトラストの考え方を踏まえつつ、本学の利用実態や費用対効果を考慮した、現実的かつ持続可能なセキュリティモデルの検討を進める(施策⑤、⑦)。本人認証、サービス認可、アカウント管理等、認証に伴う各種機能については、利用者区分や利用シーンに応じた適切な高度化を図るとともに、学生と教員・職員で異なるセキュリティ基盤を採用することも含めて整備を検討する(施策⑥)。
 これにより、本学構成員が安全安心に、多様なニーズに即した情報サービスを利用できるよう支援していく。

(6) セキュリティ対策の継続的強化による安全安心なシステム環境の提供

 標的型攻撃メールやランサムウェアをはじめとするサイバー攻撃は増加する一方であり、セキュリティ対策の継続的な高度化は重要性を増している。
 教育の場におけるBYOD等新たな利用形態や技術の進展に対応するため、セキュリティ関連規程に基づいた運用の徹底を図るとともに、セキュリティログの活用や監視・分析等を通じて、サイバー攻撃に対する検知・対応能力の高度化を図る(施策⑦)。また、基幹業務においては、事業継続性の観点から、システムの重要度に基づき、システムを適切に冗長化し、災害・サイバーテロ・パンデミック等の発生時、システム障害ならびに破損に対して、必要な通知を行うとともに速やかにシステムの復旧が可能なシステム構成およびBCPを整備する(施策⑧)。併せて、職員のリモートワークを支えるネットワーク・端末要件の検討を行い、環境整備を進める。
 これにより、安全安心なシステム環境を提供していく。

3.  コミュニケーション系

(1)  学生・教員・職員等の協働支援

 教育研究活動および各種業務のIT化が進む中、学生・教員・職員等における情報共有、協働作業ができる環境の整備はますます重要になっている。
 Oh-o! Meijiシステム(統合ポータル)やファイル共有システム等の整備を進めてきたが、今後はこれらの利活用の定着・高度化を一層推進する。特にMicrosoft 365については、学生・教員テナントと職員テナントの相互連携および統合を含めた最適な運用方法を検討し、安全で利便性の高いハイブリッドな協働環境の提供を進める。(施策①、②)。
 これにより、場所や時間の制約から解放され、学生・教員間の協働授業、教員および共同研究者との研究活動、教員・職員間の協働業務(教授会、委員会等)の活動が効率的かつ円滑に行われるよう支援していく。

(2)  多様な授業運営および業務形態の支援

 本学では、学部・キャンパス・大学・国の垣根を超えた多様な教育研究活動への対応に加え、業務改革や働き方改革の推進が求められている。コロナ禍を契機として、授業や会議におけるオンライン活用は定着しており、これらを支える基盤環境は整備されている。
 今後は、こうした基盤環境を前提に、さらなる利活用の定着と発展的な活用を推進する(施策①、②、③、④)。あわせて、オンラインによる教育・業務を支えるコミュニケーション基盤については、将来的な運用の一本化も視野に入れつつ、利用形態や組織構成を踏まえた最適な運用方法の検討を進める。
 これにより、場所の制約にとらわれない柔軟かつ多様な授業運営を可能とするとともに、教職員が効率的に業務を推進できる働き方を支援していく。

(3)  ステークホルダーとのコミュニケーション支援

 本学の経営・運営面では、教育研究、社会連携、産学連携等さまざまなシーンにおいて、学生、教職員だけではなく、生徒、校友、保護者、さらには地域、行政、産業界等の多くのステークホルダーとの円滑なコミュニケーションが求められている。
 Webやソーシャルネットワーク等を活用することで、学内外に対し効果的に情報発信できるシステム環境を整備し(施策④)、各ステークホルダーとの円滑なコミュニケーションを支援する。また、部署間の連携を強化し、入学前の生徒および卒業後の校友との連絡・連携を可能とするとともに、関係性を一元的に把握・活用できるシステム環境を整備する。
 これにより、各ステークホルダーとのエンゲージメントを強化するとともに評価の向上を図り、本学のステータスの向上に寄与していく。

4.  教育系

(1)  教学マネジメント、教育の質保証への情報・システム支援

 今後、教学マネジメントの確立にあたり教育効果の把握・分析・測定によるデータの有効活用は必須となり、社会に対しては情報を公表することが益々求められる。本学が時代の要請に応える人材育成をするためにも、教育に関する情報資源を蓄積し最大有効活用できるための情報基盤を整備する必要がある。
 それには、教学運営や教育の実施に関わる大学のさまざまなデータをシステム横断的に蓄積し、必要なセキュリティ対策を行ったうえで、法令順守のもと安全に利用できるデータマートとして活用可能とする(施策①、②、③)。
 これにより、教学に関する全学のデータを統合的に可視化・分析することを促し、教学のグランドデザインの実現に寄与するとともに、各学部等の部門に提供することで、カリキュラム開発や入試戦略等の教学改革に寄与する。併せて、属人的、一時的な処理から脱却し、業務の継続性をもって活用できる環境を整備する。

(2)  教育計画、学修指導、教育改善への情報・システム支援

 教育計画、学修指導、教育改善等、大学における教育の諸活動は、効率的かつ継続的に実施することが重要である。
 このため、教学システムを中心に、Oh-o! Meiji、入試システム、Web履修、Web採点、CBT(Computer Based Testing)、eポートフォリオ(学修記録)、アンケート(学修成果評価)システム等、教育に関わる各種システムを継続的に充実させるとともに、部活動・ボランティア等正課外活動を支援するシステム整備を進める(施策①、②)。
 これにより、広く大学教育の諸活動の活性化を実現する。併せて、データの可視化・分析を通して教員の学生指導計画・授業運営計画に寄与するシステムを開発し、教育支援の一層の充実を実現していく。

(3)  学生の主体的な学びへの情報・システム支援

 学生の主体的な学びを支援するためには、学生個人の諸活動履歴を集約したデータを適切に処理し、安全にアクセスできるよう整備することが重要である。
 現在個別にシステム化され管理されているシステム間でのデータ連携と一元管理を行う(施策①)。自身の学びの在り方や、キャリアパスの計画に寄与する学習計画支援システムの整備として、学修ポートフォリオ等の学修および正課外活動に関する成果を可視化するシステムを導入する(施策③)。また、ネットワーク環境の充実や、包括的ライセンス契約等によるソフトウェア配布を行い、学生が自身のノートパソコンやタブレット等の端末を使用して本学システムへアクセスできる環境を整備する(施策④)。
 これらの学習環境整備により、学生自身が「何を学び身に付けたか」を実感し、主体的な学びを促進することを支援していく。

(4)  多様な学びと教育の環境への対応

 BYODの進展により、学生・教員が情報端末を活用することを前提とした教育環境の整備が求められている。また、多様な学びのスタイルを実現するため、遠隔授業や収録授業、アクティブ・ラーニングに対応した設備およびシステムの整備が重要となる。
 教室設備については、アクティブ・ラーニングに対応した教室環境の拡充を図るとともに、機能の適正化と運用の見直しにより、コストの効率化を図る。あわせて、メディア教室や自習室についても、BYOD環境を前提に、その役割や設備のあり方を見直す。(施策④、⑥)
 デジタル教材の制作・配信については、既存の動画配信・収録基盤の活用促進に向け、教員向けの支援体制の充実を図る(施策⑤)。さらに、アクティブ・ラーニングにおけるIT活用を支援する体制を強化し、教育現場での円滑な活用を推進する。
 これにより、学生に多様な学びの場を提供することを支援していく。

5.  研究系

(1)  研究業績の可視化と戦略決定への支援

 教員の業績情報の一元的な管理ならびに研究成果の効果的な情報発信を目的としてシステムを更新した。今後は、蓄積された研究関連データを可視化・分析することで、本学の強みや重点研究分野を把握し、研究活動の状況を「見える化」する取り組みを推進する(施策①)。特に、URA(リサーチ・アドミニストレーター)制度の導入・定着に伴い、高度な研究支援や研究戦略の策定に必要となる基盤的な情報・データの提供についても検討する。
 これにより、研究成果の対外的な発信力を高め、学外への効果的な情報開示につなげるとともに、学内においては客観的なエビデンスに基づく研究戦略の策定を支援する。

(2)  研究費に関わる業務改革・改善、および申請業務負担低減への支援

 科学研究費補助金の管理に関する業務は、外部システムによって処理されている。その他の研究費についての業務は会計システムの研究費サブシステムとして処理されている。
 今後は、業務処理フローの見直しを行い、経費処理・申請処理をデジタル化し、会計システムに連動させていく(施策②)。
 これにより、申請者(教員)と業務を行う職員双方の業務負担の低減を実現していく。

(3)  インフラとしてのシステムに関わるリソースの柔軟性の向上

 研究活動を支える計算資源や情報システムは、本学の研究基盤を構成する重要な情報インフラであり、その整備・運用に要する費用は年々増加する傾向にある。
 近年、高度な機能がクラウドサービス等でより安価かつ柔軟に提供されていることから、これまでの整備方針を見直していく。情報予算を活用した研究用情報システムの整備には一定の制約があるため、外部資金の活用や利用者負担を視野に入れた研究用情報システムの整備やクラウドサービスの活用に関する技術的支援について検討を進める(施策③)。
 これにより、システムの費用を抑制しながらも、研究活動を継続的に支援していく。

(4)  オープンサイエンス推進のための情報基盤の提供

 研究成果のオープンアクセス化を推進するため、2019年に「明治大学オープンアクセス方針」を制定し、明治大学学術成果リポジトリ(機関リポジトリ)を通じて、研究成果を世界に向けて公開している。
 研究成果の可視性向上と国際的なオープンサイエンス推進の観点から、今後は論文等の研究成果だけではなく根拠データのオープンアクセス化も求められている。そのため、引き続き機関リポジトリを拡充・強化し、オープンサイエンス推進を支援する(施策④)。

6.  法人系

(1)  業務プロセス改革の徹底による定型業務のトータルコスト低減

 本学では、人事システム、財務会計システム、電子決裁システム等の導入を進め、定型(ルーティン)業務の効率化に取り組んできた。一方で、現状の業務プロセスを前提としたままシステム導入が行われたケースもあり、必ずしも業務プロセス改革には至っていない状況が見受けられる。
 今後は、財務会計、管理会計、財務・資産管理業務(施策③)、人事管理業務(施策④)、大学支援系等業務(施策⑤)を中心に、既存システムの活用を前提としつつ、業務プロセスそのものの見直しを進める。契約業務についても、システム化や業務手順の見直しを進める(施策⑥)。また、申請・決裁業務(施策①)、経費処理業務(施策②)等については、電子決裁システムの普及・定着を図り、紙による申請や手作業を前提とした業務のデジタル化・ペーパレス化を一層推進する。
 さらに、業務プロセス改革の中核的な取組として、生成AIの積極的な活用を位置づける。生成AIを活用した業務支援の高度化を進めることで、各部署における定型業務や問合せ業務の自動化・効率化を加速する(施策⑦)。
 これによりITをさらに活用し、業務の一層の効率化とスピードアップを図り、トータルコストの低減を進めていく。

(2)  計画・管理業務の意思決定良質化とスピードアップの支援

 ルーティン業務のシステム化により、教職員が計画・管理業務により注力できるようにするとともに、計画・管理において適切かつ迅速な意思決定をする必要がある。
 システム整備にあたり、情報提供、分析機能を強化する(施策③、④、⑤、⑥、⑦)。申請・決裁業務フロー(施策①)では、過去の申請・決裁情報の参照機能を提供する。データ活用環境(法人IR)については、教学IRとの連携・統合も視野に入れつつ整備・強化を進め、各部署において多次元的な集計・分析が可能な機能を提供する(施策⑧)。
 これにより、データに基づいた計画・管理業務を推進するとともに、意思決定のスピードアップと働き方改革を推進していく。

(3)  エビデンスベースドマネジメント実現のための法人経営の可視化支援

 法人の経営管理においても、経営全体の可視化によるエビデンスベースドマネジメント(データ・証拠に基づく意思決定・管理)が社会から求められている。
 法人業務系のシステム整備において、情報提供、分析機能を強化する(施策③、④、⑤、⑥、⑦)とともに、データ活用環境(法人IR)を整備・強化し、多次元的な集計・分析が可能となる機能を提供する(施策⑧)。
 これにより、法人の経営戦略立案・策定に寄与していく。

7.  ビジョン全体像

 このページでは、情報化のあるべき機能・役割を、利活用層(教育系、研究系、法人系)・基盤層(基盤系、コミュニケーション系)・マネジメントの体系の中でビジョンとして示した。
 マネジメントは、本情報化ビジョンを確実に遂行・実現していくためのベースとなる。利用部門とIT部門の連携体制や、IT人材の育成を図ることにより、ITガバナンスをより強化・実効化させ、最終的に情報化のミッション「長期ビジョン・グランドデザイン・中期計画の実現を支援」を遂行していく。 また、「統合マネジメントと分散推進」を組み合わせた推進体制により情報化戦略の実現を進めていく。
 基盤系、コミュニケーション系は、利活用層を支える機能を提供する。柔軟なネットワーク環境、迅速なサービス導入、セキュリティリスク対策の強化を進める。特に、重要な方針として、「大学資産としての情報蓄積」および、データ共有・システム間連携を含めた「システム全体の最適化」を目指していく。
 教育系・研究系・法人系は、法人・大学の運営そのものの領域である。教育系においては、ITを活用した多様な学びと教育の支援、教学マネジメントや教育の質保証での情報支援等を進める。研究系においては、研究環境としての情報インフラの提供、研究管理での情報支援等を図っていく。また法人系においては、法人運営にかかわる各種業務について、ITにより、業務プロセス改革・改善、意思決定良質化とスピードアップ、エビデンスベースドマネジメント等に寄与していく。これらの領域において、重要な方針は、「業務とITが連動した改革の徹底」および「情報資産の利活用の加速」である。
 更新:2026年4月1日