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教養科目 哲学

担当教員が語る授業のポイントと受験生へのメッセージ

哲学 越門 勝彦 准教授

 法と哲学には密接な関係があります。法が守ろうとする価値や事柄に対し、哲学は、時に具体的な内実を与えてサポートし、時に疑問を投げかけて挑発するのです。たとえば、法はさまざまな活動の自由を保障し、その自由が守られているといえるための客観的条件を定めようとします。では、その「善いもの」としての自由を、個々人は具体的にどのように経験しているのだろうか。哲学はそのように問います。自分は自由だと思っていたけれども実はすでに行動が決定されていた、ということはないのだろうか。これも哲学固有の問いです。別の例を挙げましょう。法は、他人に与えた被害に対する「償い方」を規定しています。人間社会において償いは不可欠です。けれども哲学者としては、そもそも被害と償いを同じ天秤にかけられるのだろうか、と問わずにはいられません。その問いは、何が実現されたら真に償いが果たされたといえるのか、という考察へと展開していきます。このように、哲学は、法にとってよき助言者であり批判者なのです。法の存在意義をより深く理解するためにも、哲学を学ぶことをおすすめします。