2021年9月30日,木鐸社より太田勝造教授監訳の「法実務と認知脳科学-交渉・説得・弁論-」(木鐸社)が出版されました
「法実務と認知脳科学-交渉・説得・弁論-」
ダニエル・E・ホロウェイ 著
太田勝造 監訳
【概要】
本書は,弁護士,検察官や裁判官などの法曹や,司法書士,行政書士などの法専門家,そして法学研究者が抱く「建前の法律家像」や「法的判断の伝統的説明」がいかに歪められたものであるか,法律家の判断がいかにバイアスに満ちたものであるかを,認知脳科学の知見に基づいて明らかにする。
法実務に携わる法専門家としては,認知バイアスが人間本性に深く組み込まれたものである以上,法実務を実践する上では,それらを「所与の現実」として受け止める他ない。むしろ,法実務では,虚心坦懐に個々の人間の持つ認知バイアスを直視するとともに,裁判官や弁護士等の法専門家の認知バイアスにどのように対処すべきかを考えなくてはならない。
本書はまさに認知バイアスへの対処の仕方の書である。弁護士が自分自身を振り返って,悔し涙を流させられた理由が,本書の中に出てくる。弁護士が他の弁護士や裁判官等の法専門家のことを思い起こせば,良きにつけ悪しきにつけピーンと来ることがいろいろと出てくる。法専門家以外の一般人が読めば,人間理解を深め,より善く生きるための具体的方策が得られる。
本書は,法専門家のための極めて高度の実務書であるとともに,法律家以外の人々が読んで教えられることの多い「智慧の書」である。
なお,本書は,Daniel E. Holloway, Lawyers, Judges, & Semi-Rational Beasts: Cognitive Science and Persuasion, Babbler Publishing, 2020の全訳である。
原著を,2020年度の明治大学大学院法学研究科の法社会学の大学院演習でテキストとして採り上げ,参加者全員で協働して翻訳したものである。
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「本書は,驚くべき事実と際立つ独創的な洞察とに満ち溢れた書物である。本書は,法実務への適切なアドヴァイスと,人間の思考・動機・行動についての深厚な洞察とを結びつけることに成功している。」ルイス・シードマン(ジョージタウン大学法科大学院憲法学教授)
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【共訳者】
路川 貴大(明治大学大学院法学研究課博士前期課程)
齋藤 太一(明治大学大学院法学研究課博士前期課程)
西広 明美(法政大学大学院法学研究科・明治大学聴講生)
石川 諒(明治大学大学院法学研究課科目等履修生)
脇黒丸 新太郎(明治大学大学院法学研究課博士後期課程)
高嶋 里枝(明治大学大学院法学研究課博士後期課程)