Go Forward

大学院進学 君塚貴久さん(2014年卒業)

大学院進学 君塚貴久さん(2014年卒業)

プロフィール



 2014年に明治大学法学部を卒業後、明治大学大学院法学研究科博士前期(修士)課程に進学。
同課程修了後、2017年に同大学院の博士後期課程に進学し、現在は同課程6年目。
また、他大学での非常勤講師も行っている。
法学部生時代はサークル活動や塾講師のアルバイトに主に力を入れつつ、増田豊先生(刑法)のゼミナールに所属。

現在の研究活動について教えてください。

 私が現在所属している中空壽雅先生の研究室では、主に刑法の研究を行っています。授業の時間には、自分の研究テーマに関する報告を行ったり、外国(特にドイツ)の文献の読解も行っています。
自分の研究テーマは、刑法の中でも「未遂犯」です。特に、私たちの行動を制御・制限する規範(ルール)や、刑罰を運用する規範(ルール)がどのようなものか・どのようなものであるべきかという視点(これを「規範論」と言います)から、「実行の着手論」や「不能犯論」といった問題に取り組んでいます。


大学院進学を選んだきっかけは何ですか?

 博士前期(修士)課程に進学するきっかけは、学部生時代に自分の勉強に思っていたほど集中できていなかったことです。ですので、博士前期(修士)課程に入りたての頃は、ある程度自分の勉強に満足できたら、その後は一般企業等に就職することも考えていました。しかし、大学院での活動を通じて刑法の面白さを改めて感じ、気づけば博士後期課程への進学を決意していました。


大学院進学について、学生時代に抱いていたイメージとのギャップはありますか?

学部生の頃は、大学院といっても2種類あることを知らなかったので、それがまずギャップでした。法学系の大学院は、①弁護士などの法曹を目指す「法科大学院(ロースクール)」と、②研究者(大学の先生など)を目指したり、自分の気に入ったテーマの勉強を掘り下げたりする「法学研究科(博士前期課程・博士後期課程)」に分かれます。(私は②の方に進学しました。)
また、②の研究科の方に進学する人のなかでも、一般企業等に就職する人も少なくないことは、学部生の頃はよく知りませんでした。


研究活動をしていて一番嬉しかったこと(思い出に残っていること)はありますか?

 博士前期課程では自分の論文を数多く執筆することになりますが、自分の書いた論文が他大学の先生に引用してもらえたり、法学系の雑誌で紹介されたりしたときには、とても嬉しかったです。


研究活動をしていて一番つらかったことや苦労したことはありますか?

自分の論文を書くときには、様々な論文や教科書等を読み漁ることになるのですが、読んでも読んでも、考えても考えても、なかなか自分の納得のできる結論に辿りつけないときは、本当につらいです(それが逆に楽しいという部分もありますが)。


学生時代の学びが現在の研究活動に活かされていることはありますか?

学部生の頃からアルバイトで塾講師をやっていたのですが、そのおかげで人に教えることの練習ができたと思います。この経験は、現在他大学で非常勤講師のお仕事をする際に役立っていると感じています。また、専門分野が異なる人に対して、自分の研究や主張を説明する練習にもなったと思います。


学生時代の経験から、おすすめの授業やプログラム等はありますか?

 大学院の博士後期課程までの進学を考えている方は、興味があれば「法律外書講読」の授業をとってみると良いと思います。研究のための外国語の読み方の練習になります。


最後に、明治大学法学部受験生に向けてメッセージをお願いいたします!

せっかくなので法学部での勉強の話をします。
「法律の勉強」といっても、それはよくイメージされるような「六法の条文をただ暗記するだけ」のような勉強ではありません。

例えば「犯罪」関係の法律のテーマだけ取り上げてみても、刑法では「犯罪をした人を処罰して良いのは、なぜなのか?」、刑事訴訟法では「警察は捜査のためにどれくらい人のプライバシーに踏み込んで良いか?」、犯罪者処遇法では「一度犯罪をしてしまった人が、二度と犯罪をしないためには何が必要か?」など、法律の条文を見ただけでは判断しづらい問題も広く考えることになります。
そして、これらをどう考えるかによって、(意外に思うかもしれませんが)同じ事件・出来事についても使える条文が変わってくるのです。

法学部といっても、弁護士や裁判官などの法律の専門家にならない人も多くいます。
社会に出る前に一度、法学部で「社会のルール(法律)」を学び、ぜひ自分の納得のいく答えを探してみてください。