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クリアル株式会社 菅原祐太さん(2011年卒業)

クリアル株式会社 菅原祐太さん(2011年卒業)

プロフィール

プロフィール写真

2011年に明治大学法学部を卒業後、明治大学大学院法学研究科に進学。
2013年に大学院を修了し、株式会社サンシャインシティに入社。サンシャイン60等の事務所区画の企業誘致・物件管理等に従事。
2017年に霞ヶ関キャピタル株式会社に入社。郊外ショッピングセンターの再生事業等に従事。
同年、小田急電鉄株式会社に入社。新築ホテル(御殿場のHOTEL CLAD/木の花の湯・箱根ゆとわ)の企画・開発等に従事。
2018年にクリアル株式会社(旧 株式会社ブリッジ・シー・キャピタル)に入社。不動産投資クラウドファンディングサービス「CREAL」(クリアル)の立ち上げ・運用のほか、機関投資家向け不動産ファンド事業に従事。
入社以来、投資運用部に在籍しており、入社5年目。
大学時代は勉学だけでなく、予備校のアルバイトやオープンキャンパスのスタッフの活動にも力を入れ、学部時代は芦野訓和先生の民法ゼミナール、法学研究科時代は猪俣弘貴先生の憲法ゼミナールに所属。


現在の仕事内容について教えてください。

仕事風景①

現職のクリアル社のメイン事業は、不動産投資クラウドファンディングサービス「CREAL」の運営です。インターネット上で、1口1万円から個人で不動産投資を始めることができるサービスになります。
私の所属している投資運用部では、実際の投資対象となる不動産の探索や、その不動産が投資対象として適しているかの調査、投資事業計画の作成、不動産の購入、運用、売却といった不動産投資に関わる一連の業務を行っています。
私も入社以来そのような業務に携わってきましたが、2022年からはそれらに加えて、新規事業開発を進める役割を担っています。新規事業開発の業務では、CREALが投資家(お客様)にとってより魅力的なサービスとなるよう成長させていくことを目的として、新たな施策を模索し、その具体化を図っています。


現在の仕事を選んだきっかけは何ですか?

社会人になって以来、3回転職し、4社目で就業しているものの、一貫して不動産業界に携わってきました。
一方で、もともと大学院に進学したのは法律の専門職に就業することを考えていた為なのですが、私が大学4年生の時、院への進学が決まっていた2011年3月に東日本大震災が起こりました。
私の父が宮城県の出身で、私自身も仙台で産まれた経緯で東北に縁があり、2011年当時、父方の実家がある南三陸町にも足を運んだのですが、昔から知っている光景が瓦礫の山になっている状況には強く衝撃を受けました。この出来事をきっかけの1つとして、大学院の修了後は法律専門職ではない形で何か世の中に価値を提供できる仕事に就こうと思い、当時、保険業界、インフラ業界、そして不動産業界の企業を中心に就職活動を行いました。結果として、まちを作る、作ったまちを育て、運営するという仕事に強く関心を持ち不動産業界に飛び込むことにしました。


現在の仕事について、学生時代に抱いていたイメージとのギャップはありますか?

仕事自体のギャップは正直あまりありません。また、私は3回転職して4社を経験していることもあり、新卒で入った会社を除けば、以降の3社で働くことをそもそも学生時代には全く想像していませんでした。
転職について学生時代に思っていたことを振り返りますと、私自身はもとから1つの会社に長く勤めるイメージが持てていませんでした。転職ありきで考えていたという訳ではなく、まだ入社もしていない会社で実際の仕事をしてもいないのに、定年までの何十年も勤め続けられるかどうかはやってみなければわからないと思っていました。
人生の節目節目において転職は選択肢の1つです(なお、現職のクリアル社は新卒採用をしていないので、社長以下全員が転職経験者です)。一方で、最初に勤めた会社を定年まで勤め上げることということも1つの立派な選択肢です(最初に入社した会社はほとんどの方が定年まで勤め上げるのが主流でした。ちなみに当社には、前職の会社に新卒で入社して還暦まで勤めて定年退職してから、当社に入社してきたという方もいます。)。あるいは、当社の創業者のように起業するというのも選択肢です。
自分を振り返ってみて、私はいずれの会社も入社して良かったと思っています。仕事だけでなく人生では、常にベストな選択肢ばかりがある訳ではなく、いくつかの選択肢の中からベターなものを選ぶ場面も多いと思いますが、自分なりに納得できる、腹落ちする選択肢を選んでいくことが大事だと思います。


仕事をしていて一番嬉しかったこと(思い出に残っていること)はありますか?

一番印象深いのは、現職のクリアル社で、東証グロース市場への上場を従業員として経験できたことです。
2018年に当社に入社した際は、私自身は上場をあまり意識せず、黎明期であった不動産のクラウドファンディング自体に興味を持って、投資運用部の第1号社員として入社し、私も社内もCREALのサービス立ち上げに奔走していました。
2018年11月のCREALのサービス開始という節目から様々なハードルを乗り越えながら事業を進めているうちに月日が経ち、インターネット上で100億円以上のお金をお客様よりお預かりして不動産の運用をするようになり、会社全体の従業員も増えて自部署のメンバーも10名を超え、組織として内部の体制も構築され、2022年4月に上場することとなりました。
上場自体は、経営陣以下、役職員一同で達成した事柄ではありますが、部署の1号社員として、それまでのいち従業員の成果において「この業務の成功は会社の業績に貢献できたのではないか」と振り返って実感できることも多く、また、そうして自身が関わってきた会社が社会の公器として認められたということなど、上場日当日も含め格別感慨深い経験です。


仕事をしていて一番つらかったことや苦労したことはありますか?

色々ありますが、振り返って一番キツかった!と思うのは、現職で携わった、海外機関投資家による数十億円規模の初回の対日不動産投資プロジェクトです。当社がアセットマネージャー(投資家の代理人)としてプロジェクトを進めていたのですが、日本の不動産ビジネス上では常識とされるようなことも、海外の方に対しては一から説明して理解を得る必要がありました。加えて、投資の実務にあたっても複雑な法制面での手続きを1つ1つクリアしていかねばならず、毎日「今日××をクリアできなければこのプロジェクトが立ち行かなくなる」という状況が2ヶ月ほど続き、社内外多くの方々の力を結集して何とか投資実行に漕ぎつけられたものの、ハードワークとプレッシャーで非常に大変な状況でした。
今となってはですが、何かハードルが高い業務でも、あの時よりは大変ではないなと思うこともよくあり、スキルと精神面いずれも鍛えられたプロジェクトでした。


学生時代の学びが現在の仕事に活かされていることはありますか?

2つありまして、1つは一般的な法律の考え方や基礎知識です。働き始めてから今に至るまで、取引先との契約交渉、契約書作成が日常茶飯事の為、学生時代の基礎的な法律の学びが新入社員の頃から役立ったと感じています。実務では社内の法務部や外部の弁護士など法律のプロフェッショナルと協力して契約書のやり取りをすることがほとんどですが、法律の基礎的な知識があるとないでは、契約内容や法的リスクの理解のスピードや、取引先との交渉時の話し方なども大きく変わってくる為、法曹等法律専門職でなくとも、学生時代の学びが業務に直結しています。
2つ目は、学部のゼミや院での研究によって養われた、未知の事柄に立ち向かう時の姿勢です。新規事業開発の業務では、自分にとっても会社にとっても初めて触れる事柄について、様々な観点から1つ1つ調べながら、筋道を整理して、論理的・合理的に取り組みの可否を判断していきます。
学生時代のゼミでの取り組みや研究も同様に、あるテーマ(テーマを自分で設定することもあれば、先生から与えられることもありますが)について、まずはそのテーマについて学び、知識を得て、次に自分なりの考えを導き出すという流れがあり、共通点があります。このような取り組みが、今の業務の進め方の基礎になっているなと感じることがあります。


学生時代の経験から、おすすめの授業やプログラム等はありますか?

法学部に入ると、いわゆる六法に関する主要な内容は、誰しも基本カリキュラムで学ぶことになりますので、基本的な法学知識のインプットについてはそれほど大きく変わらないと思いますが、選択科目による知識のインプットと、身に着けた知識をアウトプットする機会というのは人それぞれ変わってきます。
インプットに関して、私が在籍していた当時に受講していた選択科目を振り返りますと、例えば小西知世先生の「医事法」は、民法などと医療分野(医療過誤など)が接する世界の一端が垣間見えたり、堀田修吾先生の「ことばの文化」は、日本語に限らず言語の観点から法律の世界を俯瞰したりなど、視野が広がったように思います。余談ですが、受講当時「堀田先生は面白い先生だな」と思っていたら、最近はテレビ番組の「世界一受けたい授業」などに出演されているようですね。
こういった基本カリキュラム以外で接する新たな知識が、自分の視野や興味関心の幅を広げ、人によっては将来の進路を考えるヒントになることもあるので、六法等基本科目の受講も勿論のことながら、それ以外の選択科目、あるいは他学部授業の受講などもシラバス等を見ながら吟味してみると良いと思います。
また、アウトプットについては、ゼミに入ると試験やレポート以外のアウトプットの機会に触れることがあります。ゼミの先生によってゼミの内容は変わってきますが、法学部時代の芦野ゼミは学年で20人弱在籍しており、うち3人程度で組になり、何らかのテーマについて組ごとに相反する2つの立場に分かれ、それぞれ事前のリサーチを基にディベートするという機会がありました。ディベートするのは週ごとに2組なので、当時の組数からすると月に1~2回ほど討論の順番が回ってくるようなスケジュールだったと思います。また、年に1回、他のゼミと合同で討論会もあり、普段のゼミと同様の形式で他のゼミの学生と議論するという機会もありました。
ある立場になって、色々な事柄を整理した上で、他社と協議することは、働くようになると日常茶飯事なので、ゼミに限らず、こういったアウトプットの機会を経験しておくことは大事なことです。
※ちなみに大学院の場合、詳細は割愛しますが、私の経験では何万字という単位での論文を作成していましたので、論文作成を通じて何らかのテーマに関する大量のアウトプットの機会に恵まれます。


最後に、明治大学法学部受験生に向けてメッセージをお願いいたします!

仕事風景②

大学進学は、これまでと比べて世界が大きく広がってくるターニングポイントになります。多くの人と出会う機会、勉学だけでなく様々な経験ができる機会に恵まれます。明治大学には日本だけでなくグローバルに学生も講師も集まってきていますし、私が在学から10年経っていますので、なおさら多様なカリキュラムや、多くの出会い、経験の場が広がっていると思います。
よく大学生活は自由だと言われますが、何かをする自由も何もしない自由もひっくるめて、限られた学生生活の中でどんな経験を選び取っていくかは自分次第です。何かをしても、何もしなくても、学生生活はあっという間に過ぎ去っていきます。
スティーブ・ジョブズはスピーチの中で、「『もし今日が人生最後の日だったら、私は今日これからすることをやりたいだろうか?』そして、その答えが『ノー』という日が何日も続くようであれば、何かを変える必要があると分かった」と語っています。皆さんの今の努力が、この問いに『イエス』の答えが続く大学生活の日々やその先の未来に繋がることを願っております、頑張ってください!