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法学部

【教員の活躍】Law in Japan Program for サンパウロ大学 Online 2024 を開催しました

2023年08月02日
明治大学 法学部

講義後、質疑応答での二宮正人先生と参加者講義後、質疑応答での二宮正人先生と参加者

斎藤先生による講義風景斎藤先生による講義風景

横田先生の講義風景横田先生の講義風景

メンクハウス先生の講義風景メンクハウス先生の講義風景

二宮正人先生から最終日のご挨拶二宮正人先生から最終日のご挨拶

二宮正人先生からのご挨拶、全体風景二宮正人先生からのご挨拶、全体風景

Law in Japan Program forサンパウロ大学Online 2024」(法学部主催)が7月2日~17日に実施され、ブラジルをはじめ世界各地から連日約200名を超える参加者がオンラインで参加しました。

Law in Japan Program」は日本法を英語で学ぶ短期留学受入れプログラムで、2009年以降毎年実施しています。例年同様今回も、サンパウロ大学法学部(ブラジル)と独立行政法人国際協力機構(JICA)の共同事業である日本開発研究プログラム(フジタ・ニノミヤチェア)が実施する日本理解促進のための全10日間のオンライン特別講義(フジタ・ニノミヤチェア日本法短期教養講座)に協力し、後半の5日間の授業を本学教員が提供するかたちで実施しました。
 

711日の授業開始前には開会式が行われ、辻先生からご挨拶がありました。そのなかで、このプログラムの参加者のなかから、JICA国際協力事業団の派遣留学制度を利用して、日本に留学する方が出てきていることが紹介されました。明治大学大学院法学研究科ではブラジルからの2名の学生が、修士課程を修了しています。

最初の授業は、二宮先生でした。受講者は400人を超えました。二宮先生からは、ブラジルと日本におけるハンセン病の患者の処遇についてお話がありました。日本でも、ブラジルでもハンセン病患者に対する根強い差別が存在していたこと、政府が補償や差別の解消に取り組んでいることについてお話がありました。
ブラジルの受講者からは、政府の具体的な補償額の決め方について質問がありました。日本の受講者からは、日本におけるハンセン病患者の処遇が社会に十分に知られていないのではないか、どのような手立てが日本で講じられているのかといった質問がありました。
日本では、2001年の熊本地裁の判決後に、政府が隔離政策を謝罪しました。最高裁がハンセン病患者に対する特別法廷を謝罪したのは、2016年のことで、今崎事務総長(当時)が謝罪しました。このLaw in Japanの期間内の7/9に、政府が今崎氏を最高裁長官に指名する方向であることが報道され、常に最新の話題がLaw in Japanで提供されていることが改めて確認されました。英語では、辻先生が論文Forgotten People: A Judicial Apology for Leprosy Patients in Japan, 19 Or. Rev. Int'l. L. 223 (2018) Forced Sterilization and Abortion in Japan: Family and Constitution, Bratislava Law Review, vol.2, no.2, pp.50-63 (2018)を公表しています。


本学学生も「Law in Japan Program forサンパウロ大学Online 2024」(法学部主催)に参加

【参加者の声】

明治大学側の参加者へコメント依頼中(3三渕さん、3櫛田さん、文学部奥灘さん)

法学部3年生・ 三渕 雅矢さん

「僕は英語で日本の法律を説明することに興味があって、このプログラムに参加しました。サンパウロ大学の二宮先生の日本のハンセン病に関わる対立についての授業と、明治大学のメンクハウス先生の会社法の授業が心に残りました。二宮先生の授業で、質疑応答の時間に、英語での質問に挑戦しました。いざというときは日本語で話せるという安心感のもとオンラインで英語を話せて、達成感を得られました。会社法は苦手な分野でしたが、2年生のころから会社法を履修していたので英語の授業についていけました。将来日本に来る外国人を助ける仕事をしたいと思っているので、まずは日本語で理解することが英語で説明することのスタートだと実感しました。」

法学部3年生・櫛田 海さん

本プログラムに参加したきっかけは、英語で法学に触れてみたかったからなのですが、授業を受けるにつれ、日本の法制度と海外の法制度の違いについて興味がわいてくるようになりました。日本とブラジルでは、歴史的背景や法制度の形成過程が異なるものの、その両方にふれることにより、比較法学的な視点から両国の法制度や文化の共通点や相違点について学ぶことができました。また、講義はオンライン上ではあったものの、サンパウロ大学側の生徒から先生への質問が活発にあり、日本の大学の大講義室ではみられないような双方向型の議論が展開されていることが非常に印象的でした。このプログラムを通じて得られた経験を今後のキャリアにも活かしていきたいと思います。

文学部2年・奥灘 萌さん

「大学の講義を英語で受けたいと考えこのプログラムに参加しました。講義が英語で行われているだけでなく、一緒に受けている学生も多国籍だったので、オンラインの短期留学をしている感覚で新鮮でした。文学部である私にとっては英語で法学について学ぶということは決して簡単ではありませんでしたが、難しい用語を英語で分かりやすく言い換えてくださったため、理解しやすかったです。特にJICAブラジル事務所所長、宮崎明博先生の講義は、気候変動や環境に関する内容で、より当事者意識を持って聞くことが出来ました。そしてこのプログラムを通して、海外の学生の学びに対する貪欲さにとても刺激を受けました。どの講義でも積極的に質問をし、自分の意見を述べていた姿が印象的で、私自身や多くの日本人学生が見習うべき姿勢だと感じました。今回吸収したことを今後の学習に活かしていきたいです。」


二宮先生からのコメント

「サンパウロ大学法学部は、2019年にJICA( 国際協力機構)によって寄贈されたフジタ・ニノミヤ・チェアにおいて、ブラジル国内及び日本を含む海外からの参加者も迎えて教養講座を開催しています。今年で5年目になり、当初より提携関係にある明治大学の協力を得て行われ、今年の登録者は750名を超えました。明治大学からは辻雄一郎教授をはじめとする5名の教授およびブラジル側からは林ブラジル駐箚日本国大使、木坂ブラジル三菱UFJ銀行頭取、宮崎JICA事務所長にも講師を務めていただき、篤く御礼申し上げます。」


Low in Japan for サンパウロ大学オンライン2024 プログラムスケジュール
【前半】 
フジタ・ニノミヤチェア日本法短期教養講座

日付 担当者名 講義テーマ
7月2日(火)

二宮 正人(サンパウロ大学法学部博士教授)

The Fight Against Leprosy in Japan
7月3日(水) 林 禎二 (駐伯大使) Prime Minister Kishida's Visit to Brazil and G20 Brazil
7月4日(木)

 

宮崎 明博 (JICAブラジル事務所 所長)
JICA Climate Change Initiatives and Sustainable, Climate Resilient Development
7月5日(金) 木阪 明彦 ( MUFG社長) Culture Gaps faced after cross-Border M&A and Distinctive Uniqueness of Japanese Companies
7月6日(土) JOSE AUGUSTO FONTOURA COSTAサンパウロ大学教授
(前明治大学客員研究員)
Application of International Treaty Law by Domestic Courts in Brazil and Japan

 
【後半】 本学が提供する講義

日付 担当者名 講義テーマ
7月11日(火) 斎藤 輝夫  Legal and Compliance Function of the Company
7月12日(水) 栁川 鋭士  Contracts / Torts in Japan
7月13日(木) 横田 明美  AI use in administrative law: From the aspects of regulation and utilization
7月16日(火) 江島 晶子  Transformative Constitutionalism for Gender Equality in Japan
7月17日(水)  メンクハウス ハインリッヒ  Company Law in Japan


法学部では、今後も本学の学生そして世界中の学生に法学の面白さを知ってもらえるようなプログラムを提供していきます。