概要説明の様子
デモンストレーション風景
2025年12月03日〜12月05日に定山渓ビューホテル(北海道)で開催された第33回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ(WISS 2025)において、総合数理学部 宮下芳明教授の「ひとさじで多様な味をつくる知育菓子キットの粉体設計」が対話発表賞(一般)を受賞しました。
対話発表賞は、参加者投票に基づき、デモ発表で優秀な研究発表に授与される賞です。
本研究は、一本のスプーンのすりきり(ひとさじ)のみで粉を混ぜる単純な操作で多様な味を創り出せる知育菓子「21美ーバー」の開発に関するものです。粉体の密度差や味強度差といった要因に対し、粉体配合とレシピの側でその複雑さを吸収する粉体設計によって打開しました。たとえば、クエン酸は耳かき一杯でもかなり酸っぱいですが、これをデキストリンで希釈して扱いやすくし、一方で砂糖は量に対して甘味が弱いため、アスパルテームで甘味を増強することで、それぞれの味について知覚強度を正規化しました。これによって、同じ粉の配合杯数(整数)を変えるだけで梅風味、みたらし風味、チョコ風味の味にすることができ、さらに失敗せずにレアチーズケーキやヨーグルトなどオリジナルの味を作成することも出来ます。19の未知数と30の条件という連立方程式において、全てを「整数杯」にする解を導出することによって実現しました。小学校の図工の時間に絵の具を混ぜたり、音楽の時間に音を重ねたりするように、味にもつくる原体験をもたらしています。
展示においては、混合された粉末によって再現された梅風味、みたらし風味、チョコ風味の比較ができる試食デモを行い好評を博しました。