Go Forward

教育課程編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)2017~2020年度入学者用

教育課程の理念

“モノや構造を支配する原理”を見出す数理科学は,新たな発想で既存の概念を超えるイノベーションを生み出す原動力として期待されています。総合数理学部は「社会に貢献する数理科学の創造・展開・発信」を理念に掲げ,普遍的かつ強力なツールである数理と情報についての先端的知識と技術をもって現代社会の諸問題に対処し,国際的に活躍できる人材を養成します。カリキュラムにおいては,数理と情報を軸に,学生の知的好奇心を高めるとともに,論理的・科学的思考力,柔軟な応用力・創造力を育みます。

教育課程の構成

カリキュラムは大きく総合教育科目,基礎教育科目,専門教育科目の3つに区分されます。
総合教育科目区分では,グローバル社会において必要とされる英語力と,今後の知識基盤社会を支える人材としての教養を養います。英語科目は1年次から3年次まで必修として配置し,自分の考えを論理的に構築し,それを確実に,かつ効果的に発信することができる力を養います。また,外国人留学生を対象とする日本語科目は,日本語運用能力の向上を目的とし,1年次・2年次の必修として配置します。教養科目は,配当年次を1年次から4年次にわたり設定し,専門科目と並行して履修することで視野を広げます。
基礎教育科目区分では,本学部学生に共通して必要な数理科学と情報科学の基礎的素養を養います。数学の基礎科目については,高等学校等における学習範囲を含んで学ぶ基礎クラスを設け,学生の学習到達度に応じた教育を行います。1年次を中心に科目を配置し,数理科学と情報科学の基礎を確実に身に付け,専門教育科目の学習に繋げます。
専門教育科目区分では,演習・卒業研究科目と各学科の専攻分野にかかわる科目を配置します。演習・卒業研究科目は全学科において必修として位置づけます。1年次の「総合数理ゼミナール」では,思考力や表現力を鍛え,主体的に学ぶ姿勢を養います。3年次からはじまる卒業研究では,専攻テーマについて分析,体系化し,表現する力を養います。各学科の専攻分野にかかわる科目においては,授与学位の専攻分野(理学または工学)における知識の体系的な学習を通じて専門性を深めます。

教育課程の特長

1 現象数理学科
現象数理学科では,現象を数式にする「モデリング」,コンピュータを用いて現象にアプローチする「シミュレーション」,モデリングにより得られた数式を解析する「数理解析」の3つの複眼的手法を有機的に使う応用力と柔軟性を育みます。学問としての知識を,その必要性を理解しながら学ぶことで,広く深く身につけることができるようカリキュラムを編成しています。学科の専門教育科目は5つの区分から成り立っています。「現象数理の基礎」では現象数理学の基本を総合的に学びます。「コンピュータ数理」ではコンピュータシミュレーションの技法やそこで必要な数理と社会への応用を学び,コンピュータを思考の一部として扱える力を養います。「社会数理」では様々なモデリング手法や,確率論,統計学などがどのように応用されるのかを学び,広範な知識と柔軟性を養います。「創造数理」では数理構造を構築する理論を学び,複雑な現象から新しい数理構造を紡ぎだすための知識を身につけます。「演習・研究」では深い専門性と問題解決力,数理科学と社会を結ぶことのできるコミュニケーション能力や企画力を養います。

2 先端メディアサイエンス学科
先端メディアサイエンス学科では,高度な情報技術に加え,社会や人間,文化など従来の理系分野の枠を超えた広い視野を身につけることができるようカリキュラムを編成しています。学科の専門教育科目は6つの区分から成り立っています。「概論・特別講義」ではメディア情報学の歴史から先端技術までを学びます。「プログラミング」では演習・実習形式の講義を通じて幅広い内容のプログラミング手法を修得します。「情報技術」ではコンピュータのソフトウェア,ハードウェアの基礎から産業界で用いられている情報技術までを網羅的に学び,情報技術者として必要な知識を身につけます。「メディア数理システム」では数理科学や信号処理・解析法などを学び,メディアシステムを数理科学的にデザインし,コンピュータ上で実現する力を養います。「先端情報メディア・人間」ではコンピュータによる映像・音楽の作成や知覚心理学,アートデザインなどを学び,人の感性・主観評価を考慮したシステム及びコンテンツのデザイン能力を養います。「演習・研究」では4年間のゼミナール教育を通じて問題を分析する力,課題に取り組む力の他,発想力,企画力,プレゼンテーション能力を養います。

3 ネットワークデザイン学科
ネットワークデザイン学科では,数理,情報,工学をバランス良く学習し,実社会の様々なネットワークシステムにおける問題解決のための基礎的素養を身につけることができるようカリキュラムを編成しています。専門教育科目は5つの区分から成り立っています。「ネットワークデザイン基礎」では各種ネットワーク技術の基礎を学び,さまざまな分野を支えるネットワークの概念について理解を深めます。「工学基礎」では工学技術と基本情報技術を学び,ネットワークを構成する要素技術を理解する力と,コンピュータを駆使してネットワークを解析,設計,制御する力を養います。「数理工学」では工学技術の基礎や背景を支える数理を学び,未知の問題にアプローチするための力を養います。「ネットワークデザイン」では,「ネットワークデザイン基礎」,「工学基礎」,「数理工学」で学んだ知識や技術を用いて,より現実的で複雑な問題に取り組むための力を養います。「演習・研究」では,ゼミナールや卒業研究を通じて,問題発見力と深い専門性,さらに文章表現力やコミュニケーション能力を養います。