先端数理科学研究科

先端数理科学研究科ネットワークデザイン専攻博士前期課程1年（受賞時）の伊藤亮朗さん（森啓之研究室）が電力技術懇談会（早稲田大学研究コンソーシアム）において田村記念賞を受賞しました。

この賞は、IEEE(米国電気電子学会、本部米国NJ州ピスカタウェイ）やCIGRE（国際大電力システム会議、本部フランス・パリ）において国際的に顕著に活躍した早稲田大学教授田村康男先生の研究業績にちなんで設立されました。その目的は電力システム技術を研究する学生研究者が国内外の学会において受賞した研究論文の功績を称え、その研究活動を助成することです。

令和４年電気学会電力・エネルギー部門大会で発表された論文「Predator Prey Brain Storm Optimizationを用いたロバスト配電系統状態推定法」が受賞対象論文でした。この論文の新規性は観測値冗長度が1未満の配電系統状態推定のための手法の開発です。従来法の配電システム状態推定法は観測値冗長度が1以上を仮定していますが、それらの仮定は研究レベルの「都合の良い仮定」であり、現場ではこの仮定は現実的でないことが知られています。提案法では配電系統潮流計算DistFlowのネスト構造を使用することにより、観測値冗長度が1未満の配電システム状態推定を配電変電所のノード量を推定する非線形最適問題として定式化しました。その問題を解くためにロバスト性を持つL1ノルムを用いた評価関数を高性能進化的計算Predator Prey Brain Storm Optimizationを用いることは提案しました。提案法をIEEEの例題系統に適用し、他の従来の進化的計算よりも良好な結果を得ました。