Go Forward

総合数理学部リポート

発想したことを実際につくって確かめる学び。先端メディアサイエンス学科の魅力。

先生の研究室と学生が活動する実験室が隣同士に並んでいる。これも先生と学生の壁をできるだけ低くするための工夫の一つ。

 明治大学付属明治高等学校の3年生が総合数理学部を訪問。先端メディアサイエンス学科(FMS)の見学会を行いました。

 大学で研究室に所属するのは3年生から、本格的な研究に取り組むのは4年生からが一般的ですが、FMSでは1年生の早い時期から研究室に仮配属という形で所属し、先生や先輩の取り組みを見ながら学べることが特長です。1年生から先生との対話を重ね、ゼミでプレゼンテーションを行ったり、学会での発表を経験したり、カリキュラムに沿って基礎的な知識を学びながら、学んだ知識を研究の場で試すことで、力を磨くことができます。

 今回は、その研究室を中心にツアーを組み、先生方のテーマや各研究室の雰囲気なども感じてもらいながら、大学生になったらどのような研究に取り組むのかを紹介しました。

数学とコンピュータを道具に、未来をつくる。先端メディアサイエンス学科は常に動いています。

中村聡史 研究室

タブレット端末の上に手書き文字を書くと、平均化されて表示されるというシステムを体験。

 最初に紹介したのは中村聡史先生の研究室です。中村研のテーマは、さまざまな検索システムやライフログ研究、また、人の手書き文字の性質や人が頭のなかの文字をどう再現しているのか、その応用可能性に関する研究など多岐にわたっています。




 在学生によるプレゼンテーションでは、Web上の画像に装飾を加えることで自分の意図を付与する研究や、動画の怖さやスピード感をさらに高める装飾などの研究が紹介されました。
宮下芳明 研究室



 次に訪れたのは宮下芳明先生の研究室です。ダンボール製のゴーグルにセットしたスマートフォンを外側からタッチ入力で操作できる「MilboxTouch」※や、モニターのなかで彫刻ができる3次元マウスをはじめ、レーザーカッターや3Dプリンタといったツールを使って、発想をまずカタチする。そして、そのプロトタイプが日常生活にどう受け入れられるかを確かめることが特長です。
※Milbox Touchの詳細はこちらhttp://www.meiji.ac.jp/koho/press/2015/6t5h7p00000kahrd.html

MilboxTouch本体を両手で支え、放射状のタッチインターフェイスを丸くなぞると「スクロール」する。1本の指で操作可能。

 キーワードは「表現の民主化」。かつては限られた人しかできなかった表現やものづくりが、コンピュータの支援で誰でも簡単にできる時代に、社会をどう変えていくかを考える研究室です。

橋本 直 研究室



 3つ目は橋本 直先生の研究室です。橋本先生はAR(拡張現実感)、VR(バーチャルリアリティ)などを中心に、ハードとソフトを駆使して、人に新たな体験をもたらすHCI(ヒューマン・コンピュータ・インタラクション)を探究しています。

ペンで触れると色を変える光ファイバを編んだ布。服をディスプレイにしたり、舞台衣装などへの応用も。

 ゲームを利用してインタフェースを考える実験的な試み、さらに、光ファイバを編んだ布など研究の一端を紹介しました。HCIにヒューマンという言葉が入っているように、インタフェースを考えることは、コンピュータ技術の研究に見えて、実は人間を知る研究でもあることが醍醐味です。
在学生メッセージ

土屋駿貴(先端メディアサイエンス学科4年生:中村聡史研究室所属)

 現在は、卒業研究として、Webのレシピサイトから複数のレシピを融合させ、バランスの良い献立をつくる仕組みをテーマに取り組んでいます。発想を実現するには知識や技術を学ぶ努力が必要ですが、できあがったときの達成感には代えられません。研究室の仲間と励まし合いながら、課題を乗り越え、卒業後は大学院に進学したいと思っています。

先端メディアサイエンス学科には、これからのモノづくりの環境があります。

 「将来実現できるかもしれないモノやコト」を、ひとまずプロトタイプとして作り、日常の生活にどう生かされていくかを検証し、得られたデータを次のモノづくりに役立てる。それが先端メディアサイエンス学科の学びだということが、高校生たちにも少なからず伝わったのではないでしょうか。

 そのためにはコンピュータの知識と人間の心理や文化への理解、そして何より数理のチカラが必要です。高校生のあなたにとって、数学がもし無味乾燥なものに見えているとしたら、それが「未来をつくること」にいかに役立つかものであるかを、先端メディアサイエンス学科で確かめてほしいと思います。

 8月18日と19日のオープンキャンパスでは、在学生によるキャンパスライフの説明や、教職員による個別相談会、入試ガイダンスなども行います。数理の心躍る世界をぜひ体験してください。