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グローバル・ガバナンス研究科

【グローバル・ガバナンス研究科】木村俊介教授がEGPA(欧州行政学会)に参加しました

2025年09月12日
明治大学 大学院事務室

木村俊介教授(グローバル・ガバナンス研究科長)は、EGPA(European Group for Public Administration)に参加し、日欧特別パネルの共同座長、セッションの司会を務め、報告を行いました。

<パネルの趣旨>
日本とヨーロッパは、政治史や国家形成の経路、行政の伝統や改革の歩みが異なるものの、現在は民主主義の後退という共通のリスクや脅威に直面しています。日欧双方において、民主主義体制を取り巻く社会政治的環境は急速に変化しており、政府間関係、市民社会(人口減少に関連した政治行動の変化など)、政党による政治活動、AIによるデジタル化・ビッグデータの進展に加え、気候変動の影響や大規模武力紛争のリスク増大といった課題が顕著です。こうした中、日欧の民主主義は大きな「移行」を迫られる新たな、あるいは再びの圧力にさらされています。
 
<木村教授の報告:「二元代表制における危機 — ソーシャルメディアとアゴニスティック・デモクラシー」>
第二次世界大戦後、日本は住民が議会議員と首長を直接選出する「二元代表制」を整備し、首長の政治的リーダーシップを強化してきましたが、2010年代以降、この制度に大きな変化が見られます。
 
劇場型政治行動:首長選挙がSNSに大きく影響され、単一争点型の公約と選挙結果に強い相関が見られる。また、東京都のような大規模自治体では50名を超える候補者が立候補する例も発生。
 
アゴニスティック・デモクラシー(闘技型民主主義):議会決定が最終的に優越する再議事例や、不信任決議(特に全会一致によるケース)、小規模自治体における専決処分の増加などが確認されている。
 
これらの動向は、地方議会の争点形成能力の弱さに根ざし、SNSが二元代表制に危機をもたらしていることを示唆しています。SNSは「劇場型政治行動」を助長し、「闘技型民主主義」を拡大させる一方で、市民の直接的な政策関与への欲求も反映しています。分析の結果、これらの変化はSNS利用指標(EDGI)との相関が一部確認され、仮説を部分的に支持しました。木村教授は、議会がSNSによる一元的影響を警戒し、各議員が主体的に争点形成に取り組むこと、また市民が理性的な議論を重視して意思決定に関与することの重要性を提起しました。
 
明治大学大学院
グローバル・ガバナンス研究科