【環境法に強い法曹を目指す人】
急速に体系化・国際化する環境法分野で活躍するために、基礎法学・隣接科目群から「法と公共政策」などを適宜選択し、展開・先端科目群から「環境と法Ⅰ・Ⅱ」「環境法総合演習」「展開・先端系総合指導(環境法)」を選択します。「環境と法Ⅰ」では、基本原則と理念、各種手法等の環境法の基本的な考え方と個別法の重要論点について学び、「環境と法Ⅱ」では、個別法を踏まえた訴訟上の問題点について、典型判例に基づきながら学びます。
環境法は、公法(とくに行政法)と私法(とくに民法の不法行為法)が交錯する分野であり、それらの融合を目指す先端領域の学問分野です。そのため、法解釈論の深化のみならず、立法を視野に入れた法政策論の定立に係る研究や思考方法が求められます。「環境法総合演習」では、判例評釈等を通して、そのような視座を養い、必要な技能を磨きます。また、「展開・先端系総合指導(環境法)」では、最新の判例を素材としながら、自然科学の知見や評価を織り交ぜながら、環境法あるいは環境政策の学際性を体感する訓練を行います。
環境法は選択科目の中でも、通常の法解釈学とは異なる学習方法を求められているのではないかと、不安を感じる学生も少なくないと思われます。しかし、司法試験に求められる出題の法令等には10の個別法という一定の縛りがあり、直近の改正法令を中心に出題されるなど出題範囲も限定される傾向があるので、司法試験科目としての環境法の学習においては、広汎な学習や知識は必要とされていません。ただし、法科大学院で将来の環境法曹を養成するという立場から、環境法の現状とその限界、立法政策上の課題、など、その問題解決志向性は常に求められていると考えます。
他方で、環境法は伝統的な法学分野とは異なり、条文によって具体化される法律効果は現代世代だけでなく将来世代をも射程範囲に入れます。そのためには、経済学や社会学などの他の社会科学分野に加えて、自然科学分野との地道な共同作業が不可欠です。そこで、教える側は、教材を工夫し、実行可能な範囲内で環境問題の現場において学生達を教育することが環境法曹の育成に不可欠であると感じています。将来の環境法曹を目指す学生諸君も、この点を踏まえて視野を広く、意欲的に学習に取り組まれることを願っています。
1 年 次:「法と公共政策」、「立法と政治」
2・3年次:「環境と法Ⅰ・Ⅱ」、「環境法総合演習」、「展開・先端系総合指導(環境法)」
(奥田進一先生)