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法務研究科長あいさつ

法務研究科長 高倉成男 法務研究科長 高倉成男




考える力を伸ばし、新しい法的問題に対応できる法曹を目指そう!

「個」を大切にし、人権を尊重する法曹

 今から約20年前のことですが、司法制度改革審議会は、法曹需要の増大に対処するため法曹人口を大幅に拡大することを提言しました。しかし、単に司法試験の合格最低点を下げて合格者の数を増やすだけでは解決になりません。そこで、質を維持しつつ、数を増やすために、法学教育・司法試験・司法修習を有機的に連携させた「プロセス」としての法曹養成制度が構想されました。こうして法科大学院制度が2004年にスタートしました。
 このような社会的使命の一翼を担うべく、明治大学も法務研究科(法科大学院)を設置しました。多くの修了生を送り出し、過去13回の司法試験の累計合格者は832名に達しています。この数は全国7位です。法曹の道に進まなかった修了生もここで学んだことを糧にして官庁や企業の法務部門等で大いに活躍していることも強調しておきたいと思います。
歴史をさかのぼると、明治大学は1881年に創設された明治法律学校に起源を有します。本法務研究科は、その建学の精神である「権利自由・独立自治」を現代的に解釈し、「『個』を大切にし、人権を尊重する法曹」を目指すべき人材像として掲げています。「個」とは、だれ一人として同じものはない存在であり、「個」を大切にするとは、周りとは異なる考え方を認め、守り、発展させ、個がつながる全体に対して責任を果たすことです。このことは、環境の激変に対して社会秩序を強靭なものとして保ち続けるために、社会の枢要な構成員たる法曹が身につけておかなくてはならない大切な資質であると私たちは考えています。

学生の個性や習熟度に対応した少人数教育

 一般に法科大学院教育の目的は、理論と実務を架橋する高度な教育を通じて、法曹となるにふさわしい知識・能力・人間性等を涵養することにあります。本法務研究科では、この目的を達成するために、模擬法廷、ローライブラリー、自習室等の施設を整え、「法律基本科目」、「実務基礎科目」、「基礎法学・隣接科目」及び「展開・先端科目」の4つの科目群からなる効果的カリキュラムを編成し、研究者教員と実務家教員の連携の下、多方向・双方向の授業を展開しています。2018年度からは入学定員を40名とし、少人数教育を徹底しています。
 各科目群の特徴をあげれば、第1に、「法律基本科目」を中心とする必修科目については、少人数のクラス制度を導入し、「顔の見える教育」を進めています。第2に、「実務基礎科目」については、明治大学法曹会の支援を得つつ、模擬裁判、ローヤリングなどの実践的実務教育を行っています。第3に、「基礎法学・隣接科目」については、幅広い教養と法的思考力の涵養を目的とし、法哲学、法史学等の基礎法学、及び政治、経済等に関する隣接科目を設けています。第4に、「展開・先端科目」については、医事・生命倫理、環境、ジェンダー、知的財産等の分野において特色ある教育(例えば、実務家教員や外部講師による授業)を展開しています。
 全体の科目は、無理なく確実に学ぶことができるように調整されておりますが、それでも個々の学生の習熟の程度には差が出ることも考慮し、「クラス担任・副担任制度」(担任は専任教員、副担任は若手弁護士)を設け、「個に応じた学習」のための体制を整備しています。また、基本科目の基礎力の定着を図るため、各学年全員を対象とする「基礎力確認テスト」を定期的に実施しています。修了生のための学習支援体制も充実しています。

大切なことは「自ら学ぶ」姿勢と「考える」力

 しかし、学習環境が整っていても、それだけでは十分ではありません。大切なことは学生諸君の「自ら学ぶ」姿勢とそこから生まれる「考える」力です。この積極性・主体性は司法試験に合格するためにはもちろん、よき法曹となるためにも必須の資質です。法律を所与のものとしてただ「覚える」のではなく、その趣旨・精神を「考える」ことにより、法的応用力・判断力を育み、新規で多様な事件に対応できる法曹になることができるのです。
 繰り返しになりますが、自分で考える力は、「個」を大切にする法曹であるための基本です。その力は、教育を通じて伸ばすことができます。そのための1つの学びの方略は、条文・定説・判例を疑い、「なぜそうなのか」を何度も繰り返して深く掘り下げることです。私たち教員は、どうすれば学生諸君の「考える」力を伸ばしていくことができるかを常に意識しながら教育を進めています。「夢」の実現に向けて一緒に学んでいきましょう。